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「紀伊半島エリア再生産組織(KARP)」を支える人びと

ミカンやカキ、梅干しなどの農産物の共同購入を通し、生活クラブ生協と提携する紀伊半島の生産者団体が、地元の主要産業である農業を維持発展させ、地域の著しい人口減少に歯止めをかけることを目的に株式会社「紀伊半島エリア再生産組織=Kiihantou Area Re Production」(KARP)を2018年5月に設立しました。その詳細は生活クラブ連合会ウェブ記事「活動情報」でお伝えしました(*)。
今回は設立から半年になろうとしているKARPの事業を支える人たちの横顔をご紹介します。

常に前向き、地道な一歩を 和光農園グループ・内芝和哉さん

紀伊半島エリア再生産組織(KARP)の最初の仕事は、「生活クラブみかん生産者部会」を立ち上げ、有機肥料を使い、慣行(一般的な)農法で使用が認められている農薬の成分回数を半分以下に減らした「特別栽培(特栽)」で生産した温州ミカンを出荷することに決まった。その責任を担うのがKARP社長の和光農園グループ(和歌山県海南市)代表の内芝和哉さん(57)だ。
「紀伊半島の地域の衰退ぶりは激しい。このままでは農業はもとより、いまも家族で暮らしている生まれ育った地域そのものが消滅してしまうと不安になり、農家同士の連帯を模索した」と言う。
KARP設立以前は紀州果宝園(和歌山県紀の川市)と和光農園グループという2生産者団体が個々に生活クラブ向けのミカンを出荷してきたが、今後は生産者グループ間で農法や作物出荷基準の「目合わせ」が可能となり、新規就農希望者や研修生を受け入れる器も大きくなった。「今後は栽培技術の共有や労働力の融通のし合いにも力を入れたい」と内芝さんは意欲的だ。
和光農園グループには、今年から3人の新たなミカン生産者が加入し、25歳の農業研修生もやってきた。とはいえ、周囲を見やれば耕作放棄地が目に付くばかり。「何としても必要なのは労働力。新規就農者が増えれば、耕作放棄地を再生し、新たなミカン栽培にも挑戦できる。とにかく焦らず、地道に一歩ずつ進むしかない」と内芝さんは眼前のミカン畑をじっと見据えた。

「異才」の人の活躍に期待 旬彩くまの代表・中平英也さん

生活クラブ生協と提携する紀伊半島の奈良県の王隠堂農園(五條市)、和歌山県の紀州果宝園(紀の川市)と和光農園グループ(海南市)とともにKARP設立に参加したのが和歌山県田辺市龍神村の「旬彩くまの」代表の中平英也さん(57)だ。
温泉地として名高い龍神村で生まれ育った中平さんは、地元の国民宿舎で社会人生活を送り、その接客能力の高さから南紀白浜のリゾートホテルの支配人を任されるまでになった。さらに友人の誘いで紀州備長炭の製造販売会社に移り、新商品の開発から販売を手がける営業マンとして手腕を発揮した。
そうしたなか「建築コンサルタントをやってみないか」との声がかかり、仕事を通して出会った農家に「作物の売り先を見つけてもらえないかと」と頼まれたのが縁で、一流のシェフや料理長や外食産業の経営者との関係を築き、農産部の販路を開拓してきた。
そんな異才の持ち主が故郷の龍神村に戻り、妻の実家で農業をはじめたのは52歳になってからだ。妻に教わりながら自家用のコメや野菜を育て、旬の山菜の収穫や地元特産の無農薬ユズの栽培にも力を入れた。有機肥料を使い、慣行(一般)栽培での使用が認められた農薬成分回数の半分以下で作物を育てる特別栽培(特栽)にも取り組み、王隠堂農園のカット野菜加工場「オルト」(和歌山県紀の川市)にピーマンなどを出荷している。
「生産農家が紀伊半島南部の紀南に点在している関係で、これまでは集荷から納品までを僕が請け負ってきた。今後は個々の農家単位でKARPと取引してもらうことになるが、物流が大きな課題になるはず」と中平さん。
それでも紀南地方にしかない作物を掘り出し、コンサル経験を生かした製品化と販路の確保を実現したいと意気込む中平さん。KARPでの異才発揮に期待したい。

運送業界も厳しいが―― ベルカーゴネットシステム・高田浩希さん

農作物を収穫しても、消費地に届けてくれる人がいなければ、その食材を口にすることはできない。ところが、そんな重要な役割を担っている物流業界が直面している状況に、世間の目はなかなか向かないのが実情だ。
物流業界も農業に負けず劣らず人出不足が深刻で「いくら求人広告を出しても、思うように社員が確保できない」と和歌山県紀の川市の運送会社「ベルカーゴネットシステム」専務の高田浩希さん(28)は嘆息する。
人出不足に加え、顧客から運賃値下げを求められる低価格競争も激しさを増している。むろん、仕事を選んでばかりはいられないが、可能な限り行きと帰りの双方で荷物が運べる効率的な配送が望ましいし、定期便が組める配送ならベストなのはいうまでもない。
とすれば、旬の時期には大量に動くが、その期間が終わると次第に小口になっていく農産物の配送は運送会社泣かせと言えそうだ。それでもベルカーゴシステムは和歌山から埼玉県の全農戸田センターまでのKARPのミカンの配送を引き受けてくれた。
「王隠堂農園さんの紹介で、すでに島根県浜田市のやさか共同農場さんの野菜の配送を請け負わせてもらっているし、生活クラブの関連会社の太陽ネットワーク物流(元・太陽食品販売)からの熱心な誘いに、何とか応えたいと思った」と高田さんは言う。
2018年5月のKARP設立総会で、同社の社長となった内芝和哉さんは「ベルカーゴネットの力添えで、従来よりも物流コストを35%削減できた」と喜びの報告をした。そんなに安くして大丈夫なのかと尋ねると「10代には王隠堂農園でアルバイトをさせてもらったこともある。今回の仕事で少しでも地元の農家の役に立てたのなら、とてもうれしい」という屈託のない笑顔が返ってきた。

戸惑い悩みつつでも、産地を応援したい 生活クラブ連合会開発部産地推進課 夢都里路くらぶ事務局 長谷川陽子さん

着々と少子高齢化が進む日本だが、「いのちの産業」と呼ばれる農林水産業従事者の高齢化と労働力不足は特に深刻だ。そんな状況を何とか打開しようと生活クラブ連合会(東京都新宿区)は、2007年に提携生産者への新規就農者の紹介や提携産地への移住希望者を募る役割を担う「夢都里路ゆとりろくらぶ」を立ち上げた。
設立当初から夢都里路くらぶ担当事務局として働いてきた長谷川陽子さん(63)は、この10年の歩みを「むろん、手応えも楽しい思い出もあるが、本当に生産者の応援ができているのかと悩み戸惑うことも少なくない」と振り返る。
毎年春と秋に開催する説明会や印刷物の「夢都里路通信」で伝えられる情報をもとに、産地での実作業に参加した人は、10年間で延べ1,749人を数える。なかには夢都里路くらぶの活動を機に生活クラブの提携産地で新規就農したり、移住を決めた人もいる。KARPを設立した奈良県五條市の「王隠堂農園」、和歌山県紀の川市の「紀州果宝園」、同県海南市の「和光農園グループ」からの要請に応え、夢都里路くらぶでは農業体験や農繁期の労働支援を企画し、これまでに260人を超える参加者があった。
生活クラブが共同購入している国産蜂蜜は、提携先の「スリーエイト」が長野県で採蜜したものだが、その作業に毎年のように通う7人の男性がいる。その人たちは自炊しながら泊まり込みで作業に参加。生産者からも「採蜜をしてくれる人が容易に見つからず、困っていたので大助かり。皆さん、見事な腕前で驚いている」と喜びの声が聞かれるという。
ただし、こうした事例はまれで、交通費や宿泊費の関係で参加者が集まらなかったり、参加希望者は多くても受け入れ団体の態勢が思うように整わないなどの事情から、希望者全員に参加してもらえない企画も少なくない。こうしたなか、産地からは「一時的な労働支援ではなく、長期就農者を紹介してもらえないかというという要望が年を追うごとに強まってきている」と長谷川さん。
だからこそ、その時々の産地の求めに対応できるような企画づくりに取り組み、1人でも多くの「生産する消費者」が現れてくれるよう参加募集に力を入れ、「KARPはもとより、多くの提携産地を応援したい」と長谷川さんは抱負を語った。

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