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50年の節目に生活クラブを再発見 アメリカの協同組合を視察

生活クラブ連合会では、国の違いを超え共通する社会の課題を解決しようと、2001年から断続的に「協同組合の旅」を実施、世界の協同組合との交流を続けている。生活クラブが生協として誕生して50年を迎えた昨年は、これを50周年記念事業の一環と位置付け、米国の協同組合の現場を視察。連合会や単協の理事を中心に、働く人の協同組合であるワーカーズコレクティブや生産者組織・親生会の代表など、総勢12人が参加した。帰国後、参加メンバーを代表して5人がそれぞれの発見を語り合った。

座談会に出席したみなさん。左から、北東京生活クラブ理事長 加瀬和美さん、エスコープ大阪理事長 岡公美さん、生活クラブ連合会常務理事 伊藤由理子さん、コーミ株式会社専務取締役 川澄亮太さん、ワーカーズコレクティブ・ネットワーク・ジャパン運営委員 木村満里子さん

ルーツは生活クラブ?

伊藤由理子(生活クラブ連合会常務理事 団長・司会) 米国での協同組合の可能性、私たちの活動との共通点についてどう感じたでしょうか。

岡公美(エスコープ大阪)
 米国でも日本と同様、貧困や高齢化などが深刻になっていて、特に若い世代で今の社会の在り方に対する疑念が高まっているようでした。その解決に、さまざまな形で協同組合が活用されていると知ったのは大きな発見でした。

加瀬和美(北東京生活クラブ)
 米国は移民が多く、有色人種が多い地域では格差が大きな社会問題になっています。ウィスコンシン州マディソンでは町から小売り店舗が無くなってしまい、行政からの要請を受け生協が動いて店舗をつくったという話を聞きました。「ただ物を売るだけでなく、地域の人たちを教育して、コミュニティーを再生するという力が発揮できるのは協同組合なんだ」という言葉が心に残っています。活動が人を育てていることに協同組合の力を感じました。

川澄亮太(親生会
) 今回、生産者として初めて参加しました。リーマンショック以降、米国でも若者の職場の安定性が脅かされているそうです。そんな中で、今後の働き方として協同組合が注目されていることを知り、事業者としても、とても参考になりました。

木村満里子(ワーカーズコレクティブ・ネットワーク・ジャパン)
 視察した先々で多様なワーカーズコープ(労働者協同組合)があり驚きました。ただ、出資・労働・経営を担う原則的理念を掲げるものは意外に少なく、逆に日本での私たちの活動の意義をもっと伝えたいと思いました。

加瀬
 地域で農業を支える団体「CSA」を訪問する機会がありました。生産者と消費者が一年契約で野菜の共同購入をしているのですが、みんなで場所を借りて、生産者が毎週野菜をそこに届け、当番が仕分けしておくと、人々が取りに来るという仕組みです。どこか懐かしい風景だと思っていたら、実はそれがもともと生活クラブの活動をお手本にしたものだと聞いてびっくり。米国でこれほど生活クラブが有名だとは知りませんでした。生活クラブの原点を見たような気がします。

伊藤
 生活クラブは、1989年に「もう一つのノーベル賞」といわれる世界的に有名な賞、「ライトライブリフッド賞」を受賞しているのです。生産者と消費者との直接提携の仕組みがヨーロッパで高く評価されたのですが、それが米国に伝わり広がったということでした。移民が中心となって空き地を農園に作り替え、移民のコミュニティーにしようと活動する団体を訪問した際もその話が出ました。米国の協同組合の進展に大きな影響を及ぼしたようです。

ミレニアル世代の希望


伊藤
 80年代から2000年代初頭に生まれ、00年以降に成人を迎える世代を「ミレニアル世代」といいますが、米国では団塊の世代が日本より遅く、団塊ジュニアがちょうどその世代にあたり一つの層を形成しています。彼らの印象はどうだったでしょうか。

加瀬
 ニューヨーク市のブルックリンで視察した二つの生協店舗に、全員ワーク参加という仕組みがあるのに驚きました。従業員は少なくほとんどの労働を組合員全員で担っています。大きな店舗の方は組合員数が1万8千人で、全員が4週間に1回2時間45分の無償労働を提供して業務を回していました。

 資本主義大国、米国で無償のワーク参加、それも若い人たちが多く参加していることに驚きました。組合員になることに誇りとステータスを感じていて、そこで働くことがかっこいいというのです。今の社会や働き方に対抗する行動とも受けとれました。

加瀬
 私たちは毎月千円を出資して生協運営に参加しているけれど、彼らはそれを「オーナーになる」と表現していました。自ら経営するということなんですよね。だから意見も言えるし、みんなで作り上げる実感があるようです。

川澄
 出会った人たちはみんな、厳しい経済環境にあってもあきらめるのではなく、社会にどう働きかけていくかを考えていました。インターネット上のプラットフォームを通じて個々がつながることで、一部大手企業に奪われていた個人情報を自分たちの手に取り戻して事業化しみんなが豊かになるという「プラットフォームコーポラティズム」の実践は、とても興味深く多くの可能性を感じましたね。

木村
 ニューヨーク市でコーディネートしてくれた若い女性は堂々と誇りをもって協同組合について説明してくれました。日本では協同組合に参加すること自体ハードルが高いと思われがち。私たちも自信を持って協同組合の価値を語っていきたいと思いました。

伊藤
 協同組合自体は米国に昔からある仕組みですが、ますます広がる格差社会に疲れた若者たちがこれに出会い、自分たちの新しい場として活用し始めている印象でしたね。安全とか安いということだけではなくて、自分が主体になって参加すること自体に魅力を感じているようでした。

生協店舗でワーク参加する米国の若者たち 写真提供:加瀬和美さん

参加する価値を再発見


 今の社会が生きづらい、いやだなと思う人たちが、そこを変えるために協同組合という手法を使って、今とは違う新しい実態を作り出していました。そこでは、協同組合という形ではなく、協同組合で何がしたいのかが大事なんだと感じました。

加瀬
 「組合員による民主的な管理」や「自主・自立」など、協同組合7原則がさまざまな場所に掲げられているんです。あれほど目にするとは思いませんでした。私たちは日々、それを生活の中で実践しているのだから、これを見習い、その価値を改めて社会に発信したくなりました。

川澄
 世の中を良くしたい、社会的問題を解決したいという視点に立てば、組合員であれ提携会社の社員であれ、同じところを目指して共に活動しているんだと実感しました。

木村
 若い人たちは何かを探している時代だと思うので、米国のようにもう一つの道として、ワーカーズという働き方を提起していきたいです。

伊藤
 米国の主流とはいえずまだまだ一部ですが、参加することに魅力を感じる新たな世代が出てきていること、その人たちが協同組合という枠を活用して新しい流れを興していることは大きな発見でした。日本でも、今後そうした可能性は大いにあると思っています。それぞれの現場で発信していけたらいいですね。
 

撮影/永野佳世 構成/戸田美智子

『生活と自治』2019年1月号の記事を転載しました。

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