「卵肉兼用」で「純国産鶏種」「岡崎おうはん」の飼養実験を開始
産卵は高い水準を長く維持し、うま味と歯ごたえのあるジューシーな鶏肉などを特長とする「岡崎おうはん」の実験飼養が、9月末から(有)鹿川グリーンファームで始まりました。卵と肉、両方の能力を兼ね備えた卵肉兼用種は、日本の風土や食習慣に適した純国産鶏で、国内で持続的に再生産が可能です。(2010年11月10日掲載)
「種の自給」の視点から
生活クラブは「種の自給」という視点から、採卵鶏、鶏肉で国産鶏種の取組みを進めてきました。採卵鶏では、1990年に(有)鹿川グリーンファームで外国鶏種から国産鶏種「ごとう360」へと切り替えたことを皮切りに、すべての提携先で国産鶏種への変更が済み、肉用鶏種も、(株)群馬チキンフーズ、(株)秋川牧園で国産鶏種「はりま」が導入されています。
この延長線上にあるのが「岡崎おうはん」で、2006年度に方針化された鶏卵政策により、今後の少子高齢化に対応した卵肉兼用の鶏種としてクローズアップされました。そのきっかけは、07年に生活クラブが「国産採卵鶏振興協議会」を設置した際、育種改良を手がけた(独)家畜改良センター岡崎牧場から、実験取組みの提案を受けたことでした。これを受けて同年、(有)鹿川グリーンファームと常盤村養鶏農業協同組合(青森)で飼養実験が行われました。結果は、「産卵成績は良く、卵重もM、L中心で良い結果が得られた」(鹿川グリーンファーム)という一方、肉用鶏として雄を飼育した場合、ブロイラー事業としては飼料代がかさみ、経営負担になるなどの課題も明らかになりました。
08年には、(独)家畜改良センター岡崎牧場主催による、外部団体も含めた「純国産鶏岡崎おうはん振興協議会」が設置され、これに生活クラブ連合会も参加、翌09年から(有)鹿川グリーンファーム、生活クラブ連合会での実験取組みの検討を進め、10年2月に(1)実験飼養は(有)鹿川グリーンファームで行う、(2)実験取組みは登録制の可能性も含め埼玉単協での検討をお願いする─など5項目の方向性を(有)鹿川グリーンファーム、生活クラブ埼玉、生活クラブ連合会、(株)後藤浮卵場の4者で確認しました。
来年から埼玉単協で実験取組みも
埼玉単協の実験取組みとして、11年の13週から51週にかけて卵が、また、13週から肉の供給が始まる「岡崎おうはん」は、日本の気候風土に適合するとともに、消費者ニーズに合うように育種改良された純国産の卵肉兼用種です。国が育種開発した原種から作り出した、祖先までさかのぼれる素性のしっかりした純国産鶏で、「強健で環境適応力のある純国産鶏」「産卵は高い水準を維持」「卵黄が大きく、卵かけご飯に最適」「うまみと歯ごたえのあるジューシーな鶏肉」などの特長があります。開発コンセプトにはこれらの特長に加え、限りある国内資源の有効活用として、肉用の「親鶏と雄ひなの活用」が挙げられています。
実験飼養の位置づけについて、生活クラブ連合会開発部の守屋馨畜産課課長はこう話しています。
「現段階では、もみじ、さくらの採卵鶏と親鶏、はりま食用鶏との間に明確な位置づけはありません。家畜改良センターの国産鶏種の開発に協力し、飼養試験で能力を判定することが先決となります。また、食味試験の評価を行い、将来的に卵肉兼用種が必要か総合的に判断する目的で実施します」