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鶏種も飼料も自給力向上へ

鶏種も飼料も自給力向上へ

 生活クラブの鶏肉の生産者である(株)秋川牧園は、昨年度から「飼料用米」の取組みを始めましたが、今年度は実に前年の100倍もの面積(36ha)に拡大しました。西日本ではあまり盛んとはいえない飼料用米の意欲的な拡大への挑戦を続ける秋川牧園を取材しました。(2010年10月12日掲載) 

前年の100倍の面積で栽培

頭をたれる飼料用米の稲穂

 「この田んぼは見事です。元気に稲が育っていますね」
  山口県で飼料用米を栽培する生産者は、それぞれの農法や生育状況を確認する視察会で熱心に意見交換を行っています。
  視察会の主催は、生活クラブの鶏肉の生産者である(株)秋川牧園。参加者はいずれも秋川牧園が飼料用米の栽培を呼びかけ、それに賛同して今年度から作付けを始めた人たちです。米づくりはみなベテランですが、「もみロマン」など飼料用の品種を栽培するのは初めて。“新たな作物”をつくるため、研究に余念がありません。

視察会には山口県農林総合技術センターも参加し、坪あたりの稲の株数などを計測。飼料用米を今後栽培するうえで、貴重なデータを収集しました

 そもそも秋川牧園が飼料用米の取組みを始めたのは昨年度から。0.31haの試験田で山口県の気候に合う品種や栽培方法を検討することからのスタートでした。それがわずか1年で21人(法人含む)の地域農家が手を挙げて、36haと実に前年の100倍の面積で飼料用米づくりが行われるようになったのです。
  秋川牧園の秋川正社長は、飼料用米づくりを広く呼びかけた理由を次のように語ります。
  「きっかけは2008年に起こった世界的な穀物の高騰です。ご存じのように鶏の主たるエサはトウモロコシで、日本はほぼ全量を海外に依存しています。そして、その多くはアメリカから輸入していますが、現地では遺伝子を組み換えたトウモロコシの作付割合が9割にせまる勢いで広がっています。このような状況のもと、私たちは食の安全や食料の安全保障を考えた時、飼料をふくめた自給力の向上が欠かせないと判断したのです。とくに飼料用米は遺伝子組み換えではないので安全性はもちろんのこと、減反された田んぼが有効活用できるという点でも強みを発揮できると考えます」

地域営農のモデル・「FOEAS」も導入

FOEASについて説明する「農事組合法人 二島西」の村永充さん

 地元農協の協力のもと、秋川牧園は昨年、試験田での栽培の様子を農家に公開。沈滞ぎみの地域農業を活性化させたいなどと以前から考えていた農家の人たちが、飼料用米の栽培に集うことになりました。
  それらの農家のなかにはFOEAS(フォアス)と呼ばれる、田んぼの水位を地下設備で制御する仕組みを導入している生産者もいます。これは田んぼでの輪作を容易にする新しい設備で、これからの地域営農のモデルとして全農(全国農業協同組合連合会)も勧めているシステムです。
  「一見、田んぼに水がないように見えますが、地下を通るパイプから稲の根元に水が供給されています。FOEASは地下水位を細かくコントロールできるので、飼料用米の前に作付けていたニンジンの栽培では非常に有効でした。今後も今年のような猛暑、日照りが続く場合は、稲作の前後に行う畑作での活用が期待できます」と、FOEASを導入した「農事組合法人二島西」の村永充さんは説明します。
  全国で脚光を浴びている飼料用米の栽培ですが、さきがけとなったのは生活クラブの豚肉の生産者である山形県の平田牧場とJA庄内みどり遊佐支店、生活クラブ連合会の取組みでした。1996年にスタートした当初は荒唐無稽と思われたこともありましたが、現在は平田牧場で年間16万頭生産されるすべての豚に対して、肥育前期後期からの配合飼料全体の10%を米で与えられるまでになっています。
  一方、今年度から本格的に始まった秋川牧園の取り組みは、同社が年間に飼養する国産の肉用鶏「はりま」約50万羽すべてに米を与えることができると見込まれています。

鶏糞堆肥の使用で資源の地域循環も

秋川正社長

 「1年を通して『はりま』の後期飼料の約1割を、トウモロコシから米に替られると予想しています。鶏は豚などと違って、『砂肝』という器官があるため、籾のまま給餌しても消化する能力があります。したがって、籾すり作業が省けるというメリットがあります」(秋川社長)  
  秋川牧園の飼料用米の取組みでは、当初から資源の地域循環が行われていることも特長のひとつです。前述した山形県での取組みも平田牧場でできた堆肥が遊佐町の米農家で使われていますが、秋川牧園でも鶏糞からできた堆肥が飼料用米の圃場10aにつき1tが使われています。  
  「抗生物質も遺伝子組み換え飼料もいっさい使っていない鶏ですので、安心して肥料として利用できます。また、今回の『もみロマン』という品種は堆肥を十分に施せば、10a当り1tもの米が収穫できることが実験で明らかになっています。食用米に対して飼料用米生産のポイントは、多収量とコストダウン、そして省力化です。気候にも恵まれている西日本は二毛作ができるので、農家経営の面からも可能性を持った作物といえるでしょう」  
  秋川社長はこう話すとともに、「来年以降は栽培面積を拡大するのではなく、継続的に農家が栽培できるようにコストダウンや省力化の研究をすすめたい」と語ります。  
  秋川牧園は農家が収穫した飼料用米は全量を買い取るほか、鶏糞堆肥も無償で支給し、飼料の自給力向上を図るとともに地元山口の農業に貢献したいと考えています。  
  このような目標に挑戦する秋川牧園に対し、生活クラブ連合会の福岡良行専務理事は次のように話します。  
  「西日本ではあまり盛んとはいえない飼料用米の栽培に先鞭をつけたことに敬意を表します。秋川牧園と生活クラブで共同購入している『はりま』は、種を国内で生産管理できているところに特長があります。つまり、今回の取組みは鶏種も、飼料も国内自給をめざすもので、自給力の向上をすすめる生活クラブのひとつのモデルといえます。今後も提携を深め、共に頑張っていきたいと思います」  
  国内自給をめざす挑戦の成否は、消費者が何を選んで食べるかにかかっています。秋川牧園の取り組みの意義を組合員はもちろん、おおぜいの人と共有し、購買力を結集していくことが重要です。

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