リデュース、リユース促進法制定を目指し、今秋、全国署名
リサイクルだけではごみもCO2も減らないとして、生活クラブ連合会などの生協でつくる「びん再使用ネットワーク」は7月21日、東京都内で「リデュース(ごみの発生抑制)、リユース(再使用)促進法の制定を目指して―東京集会―」を開きました。同ネットワークや、約200の市民団体などでつくる「容器包装の3Rを進める全国ネットワーク(略称・3R全国ネット)」は、容器包装リサイクル法(容リ法)を2R(リデュース、リユース)の促進に役立つ法律に改正することを求めて、今秋から全国署名運動を展開する予定です。(2010年8月2日掲載)
リサイクル費用の85%が税金
1995年に制定された容リ法で、リサイクルへの意識は高まり、分別回収などが進んだとされていますが、ごみの減量にはつながらず、リサイクル費用の約85%が自治体の税金でまかなわれる結果となりました。 生活クラブは、リデュース、リユース、リサイクルの「3R」の活動のうち、より環境負荷の少ないリユースを重視し、容リ法制定前の94年から、調味料類などを繰り返し使えるリユースびん(Rびん)に詰めて供給しています。また、同じ年には首都圏コープ事業連合(現パルシステム連合会)、東都生協やグリーンコープ連合とともに「びん再使用ネットワーク」を設立するなど、リユースで先駆的な役割を果たしてきました。
一方で、容リ法がごみの減量に役立っていないことから、生活クラブは2003年に結成された「容器包装リサイクル法の改正を求める全国ネットワーク」に参加、回収からリサイクルまでを製品の製造者が責任を持つよう求めた容リ法の改正運動で中心的な役割を果たしました。この運動で約100万人の請願署名が集められたものの、06年の改正は不十分なまま終わりました。
「改正を求める全国ネットワーク」は06年に、現在の「3R全国ネット」に改組、その後も地道な活動が続けられています。今回の運動は、11年に容リ法の見直しが想定されているためで、3R全国ネットは既に、容リ法の「改正市民案」を策定、国会請願に向けた準備を進めています。
現行の法律は明らかに不公平
この改正市民案では、これまで税金でまかなわれてきたリサイクル費用をすべて製品価格の中に含め、購入する消費者が負担することで、製造者も消費者も環境に配慮した容器包装を選択するよう促し、ひいてはリデュースとリユースの促進につながることを目的にしています。
この日開かれた「東京集会」には、生活クラブのほか、パルシステム、東都生協などの生協組合員約100人が参加しました。
集会の冒頭で、東都生協組合員常任理事の池田京子さんが「今回の学習会ではわたしたちの活動が先進的な取り組みであることを再確認して、それぞれの生協での取り組みに生かしていきたい」とあいさつしました。
続いて、びん再使用ネットワーク代表幹事の中村秀次さんが「リデュース、リユース促進法の制定を目指して」と題して基調報告を行いました。中村さんは日本でのごみとリサイクルの歴史に触れ「1989年(平成元年)にごみの量は初めて5000万トンを超えて高止まりしている。平成は大量生産、大量廃棄の時代になっている」と指摘しました。
また「容リ法はリサイクルするための法律で、ごみを減らそうという効果は少ない。税金でリサイクルしていることが一番の問題で、税金が使われていないリユースびんの利用に取り組むなど、ごみを出さないようにしている人の税金もリサイクルに使われているため、明らかに不公平だ」として、法改正の必要性を訴えました。
秋からの署名活動への決意表明が
引き続き、3R全国ネット事務局の中井八千代さんが、国会や審議会の最新情報について「残念ながら国は2Rを推進しようという気はない状況で、審議会でもリサイクルをどう進めるかに集中している」などと報告、リサイクル費用の9割以上を占めているプラスチックの回収問題などに言及しました。中井さんは「前回の改正時は与党に取り合ってもらえなかったが、政権が交代し、前回とは大きく違う。今決めないと、2度とこういうチャンスは来ないという思いでやっている。大きなうねりをつくり、浪費社会から今こそ転換しましょう」と呼びかけました。
さらに会場からの質疑に答え、中村さんは「経済的な不公平がなくなってもいきなりリユースびんに替わるということではないが、少しずつ時間をかけて社会は変わっていくと思う」と述べ、中井さんも「リサイクルコストを商品価格に含めることで、消費者は環境に配慮した商品だと認識でき、一緒に協力しようと理解できるようになる」と語りました。 参加者からのメッセージとして、生活クラブ神奈川副理事長の鈴木伸予さん、生活クラブ静岡理事の五十嵐葉子さんらが発言し「秋からの署名活動のため、まずは学習会を企画している」「後悔を子どもたちに残さないために、2R促進の法制化に取り組みたい」などと決意を表明しました。
最後に、生活クラブ千葉理事の小畑聖子さんが「前回改正のときの悔しさを忘れることはできない。前回以上の署名を集めるため、地域に持ち帰り、共感を広げて法改正につなげていきたい」と閉会のあいさつをしました。 3R全国ネットは10月7日、東京で請願署名運動のキックオフ集会を開き、法改正に向けた本格的な署名活動などをスタートさせる予定です。