「生活クラブ共済連」の創立総会を開催
10月29日、「生活クラブ共済事業連合生活協同組合連合会(以下、生活クラブ共済連)の創立総会が開かれました。11月9日には厚労省の認可を受け、2010年4月からの事業開始に向けて準備を進めています。(2009年11月18日掲載)
生協法の改定で兼業禁止に
10月29日に全国から約140人が東京の新宿文化センターに集まり、「生活クラブ共済連」の創立総会が開かれました。午後2時から行われた議事審議では全議案が可決されました。日本生協連から組織分離したコープ共済連に次いで、「COOP共済」を取り扱う共済連が誕生したことになります。
生活クラブ連合会では、各単協での共済をはじめとした地域でのたすけあい活動や事業の広がりを受けて、2001年度から共済事業を開始。ところが、08年に改定された生協法で共同購入事業と共済事業の兼業が禁止されたため、新たに生活クラブ共済連の設立を準備してきたのです。
当日は議事に先立ち来賓からの祝辞がありました。主管する厚生労働省の社会・援護局地域福祉課生協業務室長の吾郷俊樹さんからは、「厳しい経済環境のもと、人と人がたすけあう理念に基づいた地域福祉への尽力を期待します」との言葉を寄せられました。
また、ワーカーズ・コレクティブネットワーク・ジャパン事務局長の藤木千草さんからは、次のような挨拶がありました。
「組合員の発意によって生活クラブの活動は進んできましたが、今回は生協法の改定によって設立されることになりました。でも、組合員は転んでもタダでは起きません。むしろ新生協連の設立を通じて何が実現できるのか、構想を練られ準備してきたと思います。ワーカーズ・コレクティブも労災保険などでさまざまな課題があるので、今後の共済連の取り組みに期待します」
議事では生活クラブ共済連の代表発起人である福岡良行生活クラブ連合会専務理事が議案を一括提案。その冒頭で、法改定の背景にある共済と保険とを同一に見なそうとする考え方に対し、「保険・金融業界の動きが昨年来、世界的に大混乱を起こした金融危機の一因となりました。一方、共済は組合員の相互扶助であり、保険とは明確に違います」とし、「生活クラブ共済連は、組合員主権を貫いて地域福祉の拡充や独自共済の開発を目指すとともに、協同組合の社会的地位を高め、協同組合法、保険法、生協法、共済法などを考えていくきっかけにしたい」と方針を述べました。
2010年4月から事業を開始
議案に対し代議員で生活クラブ静岡の理事長である赤堀ひろ子さんは、「現在の共済事業は09年度末に10万件の保有はむずかしい状況ですが、生活クラブ共済連の安定した経営を目指すために、各単協は頑張って計画達成を実現しましょう」と発言。会場から拍手が起こりました。
創立総会では役員も選出され、さっそく理事懇談会を開催。そして、生活クラブ共済連の会長に福岡良行(生活クラブ連合会・専務理事)、専務理事に麻生純二(同連合会・常務理事)が互選により内定したとの報告が参加者にありました。厚労省の認可を受けた後の11月10日に開かれた第1回理事会で、正式に選任されました。
また、総会後には明治大学商学部の押尾直志教授による「改正生協法と共済の未来」と題した記念講演会が行われました。
押尾氏は「学会では共済事業を研究している学者は少数だが、全国で共済に加入する人は約6800万人(05年)で保有契約は約1億4600万件と、社会保障を考えるうえで無視できない存在である」と指摘。
「共済では組合員一人ひとりが共済者(助ける人)になるとともに被共済者になるのが特徴で、国民の『社会参加』の形態のひとつ。共済を守ることは、国民の基本的人権を守る取り組みであると言っても過言ではありません」などの話がありました。
生活クラブ共済連は厚労省からの認可を受けました。今後は、2月2日に臨時総会を開催して共済事業規約を決定し、2010年4月1日から事業を開始することになります。