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「まるごと」の提携をめざして

「まるごと」の提携をめざして

 北海道のオホーツク海沿岸のほぼ中央に位置する雄武町。豊富な水産物とともに牛の飼養でも知られている地域で、生活クラブのホタテやサケ、牛肉の提携先があるところです。生活クラブは個々の生産者との交流のみならず、町ぐるみで「まるごと」の産地提携をめざしていくため、今年の4月に「雄武と生活クラブの提携懇談会」を設置しました。その活動の一環として、9月8日から10日の3日間、生活クラブの組合員ら10人が雄武町を訪れ、生産者との交流会を実施しました。(2009年10月7日掲載) 

畜産も自然の影響を受けることを改めて確認

草を食むアンガス牛

 「あの黒い牛たちがアンガス種です。とても警戒心が強く、なかなか人になつきません。でも、欧米では肉質が良いと評価されている肉専用種で、アンガスの飼育はここ雄武町が日本一です。それは生活クラブのみなさんが食べ続けてくれるからです」
  牧草地が見渡すかぎり広がる雄大な景色のなか、牛たちが草を食んでいます。その牛たちを指し示しながら北海道チクレン農業協同組合連合会(以下、チクレン)理事の貞廣修さんが、生活クラブの組合員に説明をします。
  今回の交流会は、4月に初めて開催された「雄武と生活クラブの提携懇談会」の活動として実施されたもの。これまで開かれていた農協や漁協との個々の交流ではなく、雄武町の生産者を横断する第1回目の交流会です。
  チクレンは生活クラブの牛肉の主要な生産者。その肉牛の肥育先が雄武町にある「おうむ農業協同組合」や「(有)おうむアグリファーム」です。一般的には牛肉に「さし」を入れるためトウモロコシなどの配合飼料をたくさん与えますが、ここでは放牧を基本に肥育期間でも牧草や乾草グラスサイレージなどの粗飼料を多く与えています。それは生活クラブが牛肉市場の「霜降り信仰」に対して、「健康な赤身」をめざしているからです。
  おうむアグリファームの取締役で場長である牛嶋竹弘さんは、次のように話します。
  「生活クラブはホルスタインの雄も取り組んでいますが、アンガスは飼料の自給という面でも優れた品種です。というのも牧草などの粗飼料中心で育てられるからです。雄武町は牧草地が東京ドーム2300個分に相当する1万800haもあるので、粗飼料はすべて町内でまかなえます。国内自給のみならず、いわば“町内自給”が実現できているのです」
  とはいえ、今年は全国的な冷夏。北海道の東北部に位置する雄武町も例外ではありませんでした。
  「今夏は扇風機すらいりませんでした。低温と長雨が続き、お年寄りも『こんな夏はいままでまったくなかった』と言うほどです」

今年のデントコーンの作柄について話を聞く組合員たち

 牛嶋さんはこのように話し、「お見せするのも恥ずかしい」と顔を曇らせながら飼料となるはずだったデントコーン畑を案内します。通常なら大人の背丈ほどに伸びているはずのデントコーンが50cmくらいしにしか育っていません。場所によっては長雨による水害や鹿の食害によりほとんど生えていないところもあります。交流会に参加した生活クラブ連合消費委員会の委員らは、畜産も自然の影響を受けることを改めて確認しました。

定置網による秋鮭漁も体験

雄武漁協・流通加工部長の高橋譲さん(中央)から、定置網漁について説明を受けました

 雄武町はオホーツク海に面し、約35kmの海岸線を有しています。冬は流氷に閉ざされる厳しい環境の地域ですが、流氷は同時に栄養分をもたらしホタテや毛ガ二など豊かな水産物に恵まれています。折しも9月9日から定置網による秋鮭漁が解禁。交流会の参加メンバーは10日の朝5時から船に乗り、鮭漁を見学しました。
  「漁は9月上旬から11月末の3ヵ月ですが、網の手入れなど準備は6月くらいからすでに始めています。ひと口に網といっても、長いものは3000mもあります」
  大きく揺れる船の中で雄武漁業協同組合・流通加工部長の高橋譲さんが説明します。
  漁を行う船では船員が横一線に並んで網を引き揚げています。徐々に銀色に輝く魚影が見えてくると組合員から歓声が起こりました。というのも昨年の水揚げが例年より3割近く落ち込み、今年はさらに減少するとの予測をあらかじめ聞いていたからです。
  「原因は究明されていませんが、毎年、オホーツク海の水温は上がっています。地球温暖化も影響を与えていると思います」(前同)

交流会の参加者は塩のすり込み方を学び、実際に塩鮭づくりに挑戦しました

 組合員は漁に続いて鮭の選別作業を見学。港では7時前にもかかわらず、すでに漁協の女性部や職員などが準備を整えて、船が帰ってくるのを待っています。そして寄港するや否や、鮭を雌雄や品質によって手早く分けていきます。時より叩きつけるような雨が降りますが、作業の手を休めることはありません。水揚げされた数千尾の鮭は1時間弱で選別され、氷水の張られたコンテナに仕分けられます。鮮度にこだわる姿勢が見学する者にもおのずと伝わってきました。
  水揚げされた鮭の一部は港にある雄武漁協の加工場に移され、すぐさま加工されます。ここで組合員は実際に、塩鮭をつくる作業を体験しました。塩は尾のほうから頭にむかってすり込みます。そうすることで鱗が取れ、塩分が均一に浸透することができるからです。
  体験した組合員はこう話します。
  「見た目より重労働でした。私がすり込んだのは1、2尾ですが、これを1日中行うことを想像すると、塩鮭づくりはつくづく大変な作業だということが分かりました」
  加工場では通常ホタテ貝の加工も行っていますが、この時期はすべて秋鮭の加工に集中します。ホタテについては、稚貝を育てて海に放ち、自然に育ったものを4年後に漁獲する「栽培漁業」に取り組んでいることや、ホタテの収入は漁の権利を持つ漁協組合員にすべて均等に割り振っていることなどの説明を受けました。

雄武の人たち、山と川、海を実感できた

稚貝を育成するネットを持ちながら、ホタテの栽培漁業について解説する雄武漁協の三河俊克参事補

 雄武漁協の組合員数は111人。けっして大きな漁協ではありません。しかし、一定程度の漁獲が見込める「栽培漁業」に早くから取り組んだことで、半数近くの組合員に後継者がいます。
  雄武漁協・専務理事の稲船敏一さんは、「燃油高などで漁家経営は厳しい環境にあるものの、栽培漁業で安全な水産物を後世に残していきたい。その意味でも生活クラブとの提携は大きな力になります」と抱負を語ります。
  交流会に参加した生活クラブ連合会理事で、自主管理委員会・漁業部会長を務める丸山美佐さんは次のように感想を話します。
  「雄武では後継者が育っている印象があります。やはり栽培漁業が軌道にのっているからでしょう。このような事業が他の産地でも考えられるのではないでしょうか。雄武の事例を伝えていく役割を生活クラブが担えたらと思います」
  また、生活クラブ連合消費委員で北海道単協の佐藤典子さんは、「道内でも雄武町の生産者とは交流がありませんでした。特にホタテが4年計画で育てられていることに感動しました。今回知ったことを組合員に伝えていきたい」と話します。
  一方、鮭漁の視察にも参加した前出の貞廣さんは雄武町についてこう話します。
  「北海道は畜産もふくめ農業や漁業など第一次産業がさかんなところですが、従事者は年々減っているのが現状です。しかし、雄武漁協は違う。町の将来を築くためにも、農協と漁協が協力していくことが重要だと思います」
  今回、畜産と漁業を横断する交流会を開催した意義について、生活クラブ連合会・福岡良行専務理事はこう語ります。
  「雄武町は大事な食料の生産基地。畜産と漁業の生産者のみならず、行政も一緒に歩調を合わせようとしている。ここでの取り組みはこれからの日本の第一次産業の発展を視野に入れるなかで貴重なモデルになると思います。地域格差などいろいろなひずみが社会を覆っていますが、問題を解決するにあたっては生協、農協、漁協など様々な協同組合が中心になることが大事なことではないでしょうか」
  最後に連合消費委員会副委員長の植田泉さんは次のように交流会を総括しました。
  「交流会を主催した『雄武と生活クラブの提携懇談会』は、農協と漁協が一体となって地域のことを考えるきっかけになっていくと思います。また、消費材を利用する私たち生活クラブとお互いを知ることを通じて、支え合っていくことができると思います。今回の交流会はそのよい場でした。とくに漁協の女性部の方たちと“顔がつながった”ことはとても有意義でした。雄武の人たち、山と川、海を実感できたのは貴重な体験でした」

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