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生協の食材宅配【生活クラブ】
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栃木でも進む、「まるごと」の産地提携

「まるごと栃木」の自給モデルづくり─耕畜連携による資源循環の実現へ

 2007~2008年にかけて、トウモロコシなど畜産飼料を筆頭に様々な輸入農産物の価格高騰が進み、国内で自給力の向上が叫ばれました。国も農林水産省が自給率向上策の一つとして飼料用米の補助事業を施行し、その先進的な事例として平田牧場の「こめ育ち豚」が各メディアに取り上げられています。そんな中、生活クラブと提携する栃木県内の水稲、園芸、畜産に携わる生産者が参加して「まるごと栃木生活クラブ提携産地協議会」が08年に発足、食料自給率向上などを目的にした活動を展開しています。(2009年5月26日掲載) 

飼料用米と稲発酵粗飼料の給餌実験

稲発酵粗飼料

 生活クラブのデポーは、栃木県開拓農業協同組合(以下・開拓農協)の生産者が育てた肉牛を牛肉として扱っています。品種は乳用種ホルスタインの雄と、ホルスタインと黒毛和牛の交雑種で、前者を「開拓牛」、後者を「ほうきね牛」とネーミングしています。
  餌はトウモロコシを中心にした配合飼料と乾燥牧草ですが、これまで、その多くを輸入に頼ってきました。これは日本の肉牛、乳牛、豚、鶏、鶏卵すべてに共通することです。その現実は米の消費量低下とともに、「自給率低下要因の大きな一つ」と指摘され続けてきました。というのは、家畜を国内で育てても飼料のほとんどを海外に依存しているために、カロリーベースの自給率は低くなってしまうからです。実際、牛肉の品目別食料自給率は40%前後で推移していますが、飼料自給率を考慮するとわずか10%程度に落ち込んでしまいます。「肉は国産でも餌は海外のカロリーに頼っている」というわけです。豚肉、鶏肉、鶏卵もこの事情は変わりません。

畜産と米・野菜の生産者でもある磯進さん

 そうしたなか、開拓農協では2008年から飼料自給率を上げるために飼料用米と稲発酵粗飼料(ホールクロップサイレージ=WCS)の給餌実験に取組んでいます。飼料用米は、栃木県でも肥育されている生活クラブの豚肉の平牧三元豚もその対象ですが、WCSは開拓牛とほうきね牛で実験が続けられています。08年は肉牛の生産農家である磯牧場で4.2haの作付けが行われました。収穫された稲は磯牧場の全頭を対象に、4~10ヶ月齢の肥育前期に1頭あたり1日3㎏が与えられています。それまで粗飼料はカナダ、米国から輸入されていた乾燥牧草を1日4㎏与えていましたが、このうち4分の3がWCSに置き換わった計算になります。
  磯牧場の磯進さんは、自給の重要性をこう話します。
「つねづね、粗飼料に関しては国産でやってみたいと思っていました。うちは米もつくっていますが水田は減反につぐ減反。それを畑にすることも可能ですが、雑草が出たり連作障害という問題も発生してしまう。水田のまま稲を作れるなら私たちは抵抗ありませんからね。輸入飼料が止まるようなことがあればどうなるのか。それを考えれば自給力を上げることは不可欠でしょう」
  WCSはこの他、生活クラブの原乳生産者である箒根酪農業協同組合でも利用が進められています。

飼料用米の作付けは栃木県内で

 WCSの取組みは、「まるごと栃木生活クラブ提携産地協議会」(以下・協議会)が掲げた4つの目的を具体化する活動の一つです。目的は、1、生活クラブ提携生産者間の有機的な提携関係の構築、2、資源循環型農業の構築、3、食料自給率の向上、4、生活クラブ組合員との交流。これに向けて、(1)飼料用米の作付け利用及び給餌実験、(2)WCSの作付け利用と給餌実験、(3)耕畜連携の資源循環の実現、(4)組合員との交流会の開催―に取組んでいます。
  食料自給率の向上ではWCSの取組み以外に、今年から開拓農協でも飼料用米の給餌実験が始まっています。肉牛の飼料は、トウモロコシや大豆粕などを成分とする濃厚飼料と、牧草などの粗飼料に分けられます。いずれも輸入に依存している構造に変わりありません。そこで協議会はWCSを粗飼料の、飼料用米は濃厚飼料の代替に自給率向上策の一環として取組んでいます。

牛舎に積み上げられている稲発酵粗飼料

 飼料用米が給餌されるのは出荷直前の3ヶ月間。1日10㎏与えられていた濃厚飼料を減らし、粉砕飼料用米1㎏を農家が手作業で混ぜて給餌します。開拓農協の加藤効示・農畜産次長は「加工を必要としない玄米で与えることも検討しましたが、それだと消化率が落ちることが分かったので、粉砕することになりました。牛は喜んで食べてますよ」と話しています。前出の磯牧場でもこの実験が進められています。
  08年の飼料用米の作付けは栃木県内で行われ、30tの収穫量がありました。この約3分の1を実験で使い、残りは平牧三元豚の餌として利用しています。また、黒磯米の提携生産者「どではら会」では08年、翌年に向けた会全体での説明会を実施、今年から作付けが始まりました。
  WCSの原料になる稲と飼料用米を栃木県内で作付けし、それを地域内の畜産飼料として利用する飼料自給率向上の試みは、確実に地域に広がってきています。
  こうした取組みを生活クラブ連合会の福岡専務は「耕畜連携をはじめとした、生産者と組合員がともにつくる自給モデルづくり」としてこう続けます。
  「畜産飼料はトウモロコシや大豆粕が主な成分ですが輸入に依存し、多くがGMО(遺伝子組み換え作物)という状況です。これら穀物価格は一時に比べれば沈静化しています。しかし、中国が大豆の大量買付けを行ったことで世界の大豆の期末在庫率は4.2%と危険ラインの水準にあり、経済が減速しているとはいえ食料需給は依然として逼迫状態にあります。自給力向上の課題はより重要になってきています」

堆肥を野菜農家が利用

 協議会ではまた、「耕畜連携による資源循環の実現」も目指しています。開拓農協では肉牛のほかに平牧三元豚も肥育しており、ここから出る堆肥を野菜農家が利用するというものです。協議会発足前すでに、開拓牛とほうきね牛の生産牧場から県南地区のきゅうり、たまねぎ生産者に堆肥の供給が始まっていました。08年にはこれが広がり、平牧三元豚の生産農家からレタスなどの高冷地野菜農家へ堆肥の供給がスタート。09年は、安定した有機質肥料の確保に向けた循環システムについてさらに検討を進めるとともに、利用可能な生産者から随時供給を行っています。
  ちなみに、栃木県開拓農協は、戦後に県内各地に入植し、酪農、畜産、レタスなどの高冷地野菜の栽培を始めた開拓農家が結成した農業協同組合で、生活クラブとは東京単協の提携から始まり、すでに25年の関係があります。産地では、畜産ふん尿を堆肥化し、減反田も利用して多くの野菜を輪作する循環型農業を実現し、これが生活クラブに供給されています。
  昨年9月には、協議会に参加するどではら会、JAなすの、箒根酪農協、新生酪農、生活クラブ栃木、生活クラブ東京、そして生活クラブ連合会とともに「まるごと栃木まつり」を開きました。トマト、きゅうり、ピーマン、たまねぎなどの野菜、いちごなどの果実に、牛乳、豚肉、牛肉、そして黒磯米……これらは栃木県から生活クラブに届けられる農畜産物です。これらを「つくる人」と「食べる人」たちが同じ場で交流する一大イベントとして企画され、500人を超える参加者がありました。生活クラブ組合員だけではなく、参加生産者団体間の交流促進も大きな目的で、今年も開催を予定しています。
  「庄内に続け」とスタートし、新たな取組みが広がる「まるごと栃木」。産地を育て、持続的生産を保証するのは、まるごと食べ続ける組合員の存在に他なりません。

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