生活クラブ東京「40周年記念のつどい」を盛大に開催!
〈奪わない食 共に生きる地域〉をメインスローガンに掲げ、設立40周年を迎えた生活クラブ東京は2月22日、世田谷に誕生した「生活クラブ館」の竣工お披露目式と「40周年記念のつどい」を盛大に開きました。つどいには500人以上が参加、生活クラブ過去、現在、そして未来の可能性を語りあいました。(2009年3月10日掲載)
<奪わない食 共に生きる地域>を掲げ
ドキュメンタリー映画『おいしいコーヒーの真実』と座談会で構成された「40周年記念のつどい」(以下・集い)の第一部は、奥田雅子副理事長のこんな挨拶で始まりました。
「40年前、東京で1000人からスタートした生活クラブは、いまや北海道から大阪まで19都道府県、29単協になりました。東京も組合員が7万人を少し越えるところまで来ています。日本社会はいま、次から次へと浮上してくる社会問題に対して解決策が見つけにくい状況にあります。生活クラブはこの間、こうした社会問題を解決する道具として機能してきたと思っています。ただ、私たちが望むような社会にはなっていないのは、まだ生活クラブの力が足りないのかもしれません」
続けて、昨年の40回総代会で特別決議した内容をこう読み上げました。
『私』の数だけ主人公がいる生活クラブだから、いつの時代も『おおぜい』の私。
みんなのまちで、さまざまな場で、多様なテーマで、これからを語ろう。
地球は今、貧富の格差と環境破壊に苦しんでいる。
私たちにできることを考えよう。
『一人の私』から始まり、『おおぜいの私』になって分かった、私たちの社会を変える力。
たとえば、共同購入の力。
食べる側とつくる側が手を結び、国内で生産し国内で消費することの積み重ねは、他国の農地や水や文化を『奪わない食』のあり方につながっていること。
びんを洗って返し、また詰めて届ける。お互いが見える消費者と生産者のやりとりが、プラスチック容器の製造と廃棄の削減を実現していること。
食料輸入大国・日本に暮らす私たちが、毎日、何を選び、何を食べるかは、何を拒否し、何を食べないかの意思表示でもある。
みんなが共に生きる地域づくりは、みんなが共に生きる地球づくりにつながっている。
社会のあり方を変えていくために、私たちができることはまだまだたくさんある。
生活クラブ生協40周年のテーマは、“だれからも食を奪わない暮らし・多様な人々と共に生きる暮らし方”
もっともっと生活クラブの可能性が広がっていきますように。
『おいしいコーヒーの真実』上映とシンポジウム
ドキュメンタリー映画『おいしいコ-ヒーの真実』は、東京がテーマに掲げる「奪わない食」にちなんで選ばれました。全世界で1日あたりの消費量が20億杯にもなるコーヒー。原料のコーヒー豆は世界市場において石油に次ぐ巨大な国際貿易商品でありながら、生産者は困窮しています。その理由を作品は、貧困に苦しむコーヒー農家の人々を救おうとする、エチオピアのコーヒー農協連合会の代表の戦いを追うことで、コーヒー産業の実態を暴き出しています。
生産者から企業、消費者までの道のりを丁寧に取材し、多くの貿易の不公正なシステムを見事に抉り出した上映の後、「奪わない食・共に生きる地域をめざして」をテーマに座談会が開かれました。出席者は、コーヒーの提携生産者・(株)日東珈琲の川端勇雄さん、元生活クラブ東京理事長の河野栄次さん、それに、まち小平委員長(多摩きた)の豊崎千津美さんの3人。現理事長の吉田由美子さんがコーディネーターを務めました。
それぞれが映画への感想を述べるとともに、生活クラブや共同購入の意味などについてこう語りました。
「私たちも、コーヒー豆の生産農家と話し合いながら原材料を輸入することができ、製品在庫を持たなくて済むのは予約共同購入であるからこそ」(川端さん)
「生活クラブは、生産者と組合員が情報公開を元に話し合い、双方が納得してものごとを決め、生産し続けられる関係を築いている。これは大切なことだと思います」(豊崎さん)
この情報公開についは河野さんも触れ、こう強調しました。
「生活クラブにとって何より大切なのは情報開示です。食料価格は基本的に市場が決めていますが、そこには健康という概念はなく情報も開示されません。コーヒーについても、コーヒー豆を生産するにはどれだけの時間と空間を必要としているか。それを無視して価格や品質を市場が決めているのです。だから生活クラブは、市場の価値基準ではなく、情報開示を基にしてたとえばコーヒーは何が本来の価値なのかについて、つまり、空間と時間を考えた自分たちの価値基準を作ってきました。それが、生産者が再生産できる生産原価保障方式なのです」
歴代理事長のスピーチも
集いの第二部は、パーティー形式で進められました。冒頭、吉田理事長は、昨年から進めてきた40周年事業の準備作業を振り返りながら、こう挨拶しました。
「発足当時、生活クラブは今の形を正解として考えていなかったと思います。その時々の身の回りの課題に対して、解決策を示しつつ作りあげてきた。これが、共同購入の原点なのだと改めて気付かされました。いま生活クラブは、この姿を正解として守りにはいっているのではないかと感じることもあります。守るにしても攻めるにしても、なぜ、生活クラブなのかを改めて考える必要があると思います。今日を皮切りに、それを皆さんと一緒に考えたいと思います」
この後、来賓の挨拶があり、この中で生活クラブ親生会の新田嘉七会長は「親生会も皆さんと今後、50年、100年ともに活動していきたい」とエールを送りました。
生活クラブ連合会の加藤好一会長の乾杯の挨拶の後、会場は歓談の場になり、そこここで、生産者と組合員、組合員同士、また、生活クラブ東京の歴代理事長と組合員の間に会話の輪が広がっていました。
歓談の合間に、5人の歴代理事長のスピーチがありました。この中で、初代理事長だった岩根邦雄さんは、理事長時代を振り返りつつ未来の生活クラブにこう注文をつけました。
「日本、世界は未曾有の危機にありますが、こういう時こそ問題の本質を考えてもらいたい。食は人間の再生産の基本です。しかし、まだ多くの問題を抱えているわけで、これからも食についての活動は続きます。親生会の皆さんとともにそれを基本にしてもらいたい。また今後は、高齢者に向けた運動も作ってもらいたいものです」
その後、ブロック単協による活動紹介などがあり、集いは和やかなうちに終了しました。
なお、集いに先立ち、世田谷区に竣工した「生活クラブ館」で、生産者や建設関係者、組合員が出席してお披露目式がありました。同館は3階建て。生活クラブ東京の本部をはじめ、イベントスペースや子育て広場、クッキングスタジオ、惣菜カフェ・レストランが入ります。また、4月には1階に「デポーせたがや」がオープンします。式で、吉田理事長はこう挨拶しました。
「生活クラブ館は私たちの活動拠点。奪わない食、共に生きる地域というメッセージを強く発信していきたい」