「反GMO活動」の東アジアでの広がり実感!!
生活クラブ連合会の女性委員会が韓国女性民友会と台湾主婦連盟環境保護基金会という二つの市民団体と「三者姉妹提携」を結び、「韓・台・日 女性交流集会」を開催したのは1999年。女性たちが“主体”となる組織であること、生協(購買事業部門)を持っていること、地理的に東アジアに位置しているなどの共通点を持つ「三者」が、互いに有益な活動交流を重ねながら協力していくことを目的としたものです。その後、会議の名称は「アジア姉妹会議」と改められ、韓国と台湾の市民団体も生協に。昨年で8回目を迎え、台湾で開催された「アジア姉妹会議」では、遺伝子組み換え(GM)食品や作物に対し、韓国や台湾でも反対運動が展開されていることがホットな話題となりました。(2009年2月9日掲載)
韓国や台湾で「GMOフリーゾーン」を求める動き
GMO反対の学習会や調査活動も活発に
世界的に穀物が不足し、国際相場が高騰を続けていた2008年2月27日。韓国政府は遺伝子組み換え(GM)トウモロコシの輸入に踏み切ることを宣言しました。こうした韓国政府の動きに「GMとうもろこし輸入反対国民連帯会議」を組織し、100万人の署名活動を展開した生協があります。韓国女性民友会生協(以下、女性民友会生協)です。
女性民友会では、GMトウモロコシからつくられるコーンスターチを利用しないように企業に呼びかける「GMOフリー共同宣言活動」を展開し、08年9月までに大手食品メーカー22社の賛同を得るという大きな成果を挙げました。「食」の非遺伝子組み換え(NON-GM)化を求める女性民友会の活動は継続され、いまも学習会や調査活動が行われています。
台湾でも「GMOフリーゾーン運動」が進められています。この運動の中心となっているのが台湾主婦連盟生活消費合作社(以下、主婦連盟生活消費合作社)という生協です。主婦連盟生活消費合作社は「有機農業はNON-GM作物を栽培する農業でもあるべき」との方針を掲げ、国内の農地ではGM作物を栽培しないことを求め、関係機関への働きかけを強めてきました。この結果、昨年11月には台湾で第1号となるフリーゾーン宣言の看板が立てられています。現時点では大規模にGMOが商業栽培されているわけではありませんが、試験圃場から持ち出したGMパパイアの苗を繁殖させ、生産農家に販売していた業者の存在が明らかになったことが主婦連盟生活消費合作社の活動の原動力となりました。
2006年に埼玉で「第7回アジア姉妹会議」
分科会での「GMO反対決議」が具体的な形になった!
こうした韓国と台湾の生協の活動が発表されたのは、08年11月5日に台湾で開催された「第8回アジア姉妹会議」です。アジア姉妹会議は韓国、台湾、日本の生協の活動交流を目的に、1999年12月2日に生活クラブ連合会(以下、生活クラブ)の女性委員会の呼びかけで結成されました。その後、各生協が受け入れ団体となり、2000年から持ち回りで年1回の「アジア姉妹会議」を開いています。女性たちが“主体”となる組織であること、生協を持っていること、地理的に東アジアに位置していることなど共通点を大切にしながら、互いに有益なコミュニケーションを重ねてきました。
生活クラブ連合会の女性委員会・担当事務局は「04年から姉妹会議では国際協同組合同盟(ICA)の掲げる協同組合原則をテーマとする全体会を持ってきました。今年は第4原則の『自治と自立』です。韓国と台湾の生協は政府を含む外部からの資金援助を受けることも少なくなく、その干渉を受けがちです。こうしたことを排し、自主・自立性を保つための努力を続けていることが具体的な事例報告の形で発表されました。生活クラブ連合会からは総代会での組合員代表による意思決定と理事会による執行という自主運営・自主管理の仕組みについて説明しています。08年はGM作物・食品反対の動きをめぐって各生協が活動を報告したのも特徴的といえるでしょう」と話します。
韓国と台湾の生協の発表内容は前述した通りですが、生活クラブは継続的に実施しているGMナタネの監視活動をはじめ、GMOフリーゾーン運動や作付け禁止条例運動、オーストラリアで進められているGMナタネの作付け規制緩和に反対する運動について報告。報告者の生活クラブ神奈川の鈴木優子理事長は「2年前に埼玉で開催された第7回アジア姉妹会議の分科会での『GMO反対決議』がその後、各国で具体的な活動につながり、他団体との連携も生みながら、それぞれの国で広がっていることがわかりました。この姉妹会議を続けてきたことの意味が実感できた瞬間です」と、8年間の活動交流に確かな手応えを感じたようでした。
2009年のアジア姉妹会議は韓国で、2010年は日本で開催される予定です。