合成添加物を使わない、生活クラブオリジナルの『おさかなソーセージ』を開発しました!
合成添加物抜きの魚肉ソーセージ、お正月明けから注文できます!
化学調味料、着色料、保存料、つなぎの卵、たん白加水分解物さえ使わず、組合員と生産者とで完成させました。すり身も14%を国産に、包装材は塩ビではなくポリプロピレン。常温で保管でき、安心なおやつ、おつまみ、非常食、料理素材にアメリカンドックに―。「みんなでTRY!」ならではの画期的な消費材の登場です(80g×4本、300円・税別)。
「塩ビではない安全な包材も使いたい」
子どもの頃にお肉の代用品として食べた世代はつい手が伸びてしまい、子どもはキャラクターや味付けに惹かれてほしがる。魚肉ソーセージは子どもから親世代、お年寄りまで、じつは隠れたファンの多い食品。でも、市販品には添加物が多くて子どもには食べさせたくない。そう思っていた組合員が多かったのです。
「組合員がこんな消費材があったらいいなという中に魚肉ソーセージは上位で残りました。私もこれぜったいほしいと思ったし添加物のことも勉強できるので、開発チームに選ばれてとても意欲がわきましたね」。生活クラブ・多摩きたの田中且枝理事はそう話します。
市販の魚肉ソーセージには、魚のすり身に結着剤、化学調味料、着色料、保存料など多種多様な合成添加物が加えられているものがほとんどです。淡白な味の魚のすり身を、色や歯ごたえ、味、香りなどを付けて”ソーセージらしく”加工するのに合成添加物は欠かせないと考えられているからです。
「そういう添加物を抜いて原材料にこだわったもの、しかも常温で保管できて安い。そういう魚肉ソーセージを開発したい」と、「みんなでTRY!消費材開発活動」に手を挙げ集まったのは、多摩きた、埼玉、千葉の3単協からの9人の代表者たちでした。今から2年少し前のことになります。2006年8月30日には、その9人と連合会担当者とで「おさかなソーセージ」チームを結成。そのときの開発主旨は次のようなものでした。
「魚ぎらいの子どもや家族に安心して食べさせられる添加物のない魚肉ソーセージ」「つなぎにはアレルゲン源の卵、大豆、小麦を使いたくない」「塩ビでない安全な包装材を使いたい」「常温で保管できて、いろいろ使える消費材にしたい」「子どもを持った若い世代にも食べてもらいたい」。
通常の添加物を除いてなお「魚肉ソーセージらしく」という欲ばりな目標。はたして生活クラブらしいおさかなソーセージの開発は成るのか、みんなのTRY!が始まりました。
市販品を調べ尽くし製品規格を固めたが
みんなでTRY!ではまず「市場調査」を行います。チームは魚肉ソーセージを手に入るだけ買い集め、食べ比べと同時に原材料、価格、包装、規格、製造者などを調べて持ち寄り、比較表を作成しました。「添加物が多いのと、魚肉ソーセージと言いながら動物性原料がけっこう入っているものが多い。豚脂を混ぜてあったり、牛乳を加えて『カルシウム入り』とするなど、表示と中身のギャップがけっこうあるんです」と話すのは、チームの生活クラブ千葉、辻成子理事です。生活クラブ埼玉の細貝敏子理事は、「塩分が相当高いのと、実にいろいろな味付けのものがあることがわかりました」。
こういう市販品の現状から、自分たちの望む魚肉ソーセージの生産者を見つけなくてはなりません。形状や包装形態は市販品と変わらないものを求めていたので、それができる生産者は既存の大手に限られます。大手メーカー1社に絞り、つくってもらった何種類かのサンプルを各単協に持ち帰り、目隠し試食をしたそうです。
同時にチームは、そのメーカーの工場見学へ。「工場は殺菌剤の次亜塩素酸ソーダの臭いが強く、衛生的なのですが、いかにも大量一貫生産という様子で違和感がありました。私は天然着色料のコチニールのすごいピンク色が目に焼きついてしまって」。千葉の辻さんはそう感じたそうです。かなり目標の製品に近づきながらも、生活クラブのこだわりゆえ生産者の選びなおしとなりました。
生産者を変更し、どんどんシンプルに
生活クラブの提携生産者である株式会社ニチロの吉田香代子さんが、業務提携したばかりの株式会社マルハの担当者を紹介してくれました。担当者は「無添加の魚肉ソーセージに挑戦してみましょう」と意欲的な返事。それからはとんとん拍子に事は進みます。
チームは宇都宮工場の見学を行い、生活クラブの生産者の工場に近い印象を持ったこと、原材料の履歴もすべて情報公開してもらったことで、マルハを生産者とすることに。チーム事務局の生活クラブ連合会開発部特別企画課の志村保幸は、「マルハには毎回3~4種のサンプルを10回ほど試作してもらいました。この段階に至っては、原材料に対する事細かな注文やコメントを出していき、サンプルの中身はどんどんシンプルになっていきました」と振り返ります。
魚肉ソーセージ業界の常識2つがここで破られました。一つは、味付けにしょうゆを使ったこと。「提携生産者のタイヘイのおしょうゆをいずれ使えたらという考えがありまして」と多摩きたの田中さん。もう1点は、「たん白加水分解物」を抜いたこと。たん白加水分解物によってソーセージらしい味と食感が出るとされているのを、抜いても味になんら問題ないと判断したことから不使用としたのです。
すり身の味付けには砂糖、たまねぎ、マグロエキス、塩、しょうゆ。配合を微妙に変えてもらったサンプルを各単協に持ち帰って大勢に試食してもらいました。決め手は子どもの「おいしい」という反応。魚肉ソーセージへの先入観がない子どもたちだけに、シンプルな味でも行けるのだと開発チームには新鮮な驚きだったそうです。
完成品のサンプルができ、3単協で注文を取ったところ、とくに埼玉では約2400もの注文が集まり、急遽1000近い追加発注をしたほど。3単協全体では約4700袋という人気ぶりでした。
主原料であるスケトウダラとホッケのすり身にもふれておきましょう。冷凍輸入すり身100%が当たり前の業界で、今回、ホッケを中心に14%を国産すり身にしました。北海道紋別市の広瀬水産のすり身工場にもチームは訪問。港に朝揚がった魚がすり身になる工程などを確かめました。包装は安全なポリプロピレンですが、とめ具は通常の金具のまま。ごみ分別に少し手間がかかることが課題として残りました。
埼玉の細貝さんは、「お魚らしさを残した飽きない味に仕上がったと思います。まずは何もつけないで召し上がって、素材の味を愉しんでください」と、チームの "自信作“を大いに薦めています。