消費材をつくっている生産者の集まり「生活クラブ親生会」が30周年を迎えました。
「生活クラブ親生会って、よく聞くけど何?」という組合員も多いのでは。生活クラブの消費材をつくっている提携生産者どうしが互いに連携を深めようと、自主的に発足した組織です。「生活クラブと親生会は車の両輪」と喩えられますが、その親生会が30才を迎えました。
「お客さんと業者」ではない「対等互恵」の関係
「遺伝子組み換え作物や食品は、食べたくない」「もっと容器が簡易化されたらいいのに」…。そんな組合員の要望に応えつつ、「安全・健康・環境」生活クラブ原則に沿った消費材を研究・開発し続けてくれる生活クラブの提携生産者たち。生活クラブ親生会は、そういう生産者どうしが情報交換や交流する場、また組合員からの要望に応えるための架け橋の役割を担っています。
「私たちは消費材を生産している担い手です。昨年30周年を迎え、これまでいろいろと変遷がありましたが、最近はただ材を開発するのではなく、O-157、遺伝子組み換え、環境ホルモンなど大きな問題を、生産者みんなで解決してきたのです」と話すのは、生活クラブ親生会事務局長を務める日東珈琲株式会社の川端勇雅さん。
生活クラブ親生会は、生活クラブの理念に共感した提携生産者が自主的な研究活動を行おうと集まった組織です。発足当時から「生産と消費は対等」という考えを持ち、生活クラブと「対等互恵」の関係を築きあげながら、つくり手のプロとして、より良い消費材づくりに取り組んでいます。
組合員との交流は年に1300回!
現在、親生会に加入しているのは121社で、交流部会、広報部会、自主管理部会を持ち、生活クラブと連携して活動しています。組合員にとって最も身近なのは、交流部会が関わる「生産者交流会」「見学会」、また「おおぜいの自主監査」など、生産者と出会う機会でしょう。これらの開催回数は、年間なんと1,300回ほど(2006年度実績)。一生産者が年に90件もの交流会を受け入れることもあるそうです。
「生活クラブでは、組合員が企画すれば、どの生産者でも招いて話をすることができるし、産地の見学にも行けます。こんなふうに生産者が直接消費者に会える機会というのは、デパートやスーパーの業者会ではまずありません」と川端さんは言います。
「組合員との交流のほかにも、『生産者交流会』を10数年やってきました。これは、生産者どうしが互いの産地を見学する会です。食品の生産工場というのは、扱っているものが異なっていても、衛生管理で配慮すべき点はほぼ似ています。それをオープンに見せてもらって、学ぶ。企業秘密というのはまずないんですよ」(川端さん)とのこと。
また、親生会では生活クラブの定める自主基準づくりにも委員会をつくって参加しました。自主基準対応のマニュアルや報告書の作成、学習会開催などは「自主管理部会」が担当しています。
そのほか、広報部会では、隔月の会報誌「親生タイムス」、年2回の組合員向け冊子「こんにちは親生会です」を発行するほか、会員名簿や記念誌の作成、ホームページ上で生産者と消費材を閲覧できる「生産者事典」も編纂して情報の発信にも努めています。
この自主的で活発な活動、そして生産者どうしのフレキシブルで密な結びつきが、他の組織にはない生活クラブ親生会の大きな特徴なのです。
生産者どうしのつながりが、安心できる消費材を生む
野菜や肉、牛乳、油、調味料など、原材料となる消費材が確かな品質を持っていれば、それらを組み合わせて安心できる加工食品が連鎖的に生まれます。たとえば消費材の「中華肉まんじゅう」。豚肉やたけのこ、長ネギやショウガのほか、醤油、鶏ガラスープなどの調味料まで、13の提携生産者の19もの素材が一つの食品となってできているのです。これまでに生活クラブが、お菓子やお惣菜など市販のものでは真似のできない安全性の高い食品を多数開発できたのは、生産者どうしの連携の賜物でもあるのです。
「以前は班での配送が中心でしたが、最近は個別配送が増えて、『この材のこんなところがいい』という口コミが減ってきたのではないかと思います。だから今度は、私たち生産者が組合員のいるところへ出て行き、直接想いを伝える機会を増やしたいな、と思っているんですよ」。川端さんは新たな想いを熱い口調で語ります。
この1月、親生会の新会長に就任した平田牧場株式会社社長の新田嘉七さんも、親生会の今後について、次のように抱負を語ってくれました。
「生活クラブがこだわっていることの一つに国内自給があります。私たちが生活クラブに貢献するということは、国内自給にも寄与するということ。これからも、めざすところは同じなのですから、『食べる手』側と『つくり手』側の両輪がうまく回るよう努力していきます」
【2007年4月30日掲載】