生活クラブのポリシーに合うと考えたのが「われ葉しいたけ」。毎年、利用が伸び続け、感謝の気持ちで一杯で
皆さんは乾し椎茸をご存知でしょうか。昨今、夫婦共働きのため、調理時間を短縮したいなどの理由から「生椎茸」を使われている方が多いのではないでしょうか。
OSKとは「大分・椎茸・組合」、我々の親会社の大分県椎茸農業協同組合の略で、当社は大分県産の乾し椎茸のみを扱う生産者です。
椎茸の歴史は古く、今から350年前に豊後の国(現在の大分県津久見市)で炭焼きをして生計を立てていた源兵衛さんという人が、椎の木に鉈(ナタ)で傷ついた所から椎茸が出ているのを発見。今とは全く違う栽培方法で、これを「鉈目(ナタメ)式椎茸栽培方法」と言っていました。その昔は、はるか遠くニューギニアからの季節風で運ばれてくる椎茸の胞子が自然と倒木などに付き、そこから発見・採取と・・・完全な自然まかせでしたが、この源兵衛さんが人工栽培方法を開発した事は、その後の椎茸産業にとって大変な業績と言えるのです。
当社は大分県産の乾し椎茸を100%扱っています。それも原木栽培という栽培方法です。他県の椎茸生産者はコナラの木を用いるようですが、大分県の椎茸生産者はほとんどがクヌギ原木です。クヌギの木の表皮は非常に厚く、木に菌を植え、発生まで約3年を要します。その間ゆっくりと、確実にその厚い木の表皮を破って出てくる生命力があり、力強い椎茸となるわけです。
生活クラブとの取り組みは1979年9月。現在の「Sマーク乾しいたけ100g」が年4回の取り扱いというところから始まりました。生活クラブは当時、日本生協連から宮崎県産の椎茸を仕入れていたと聞きました。1978年に生活クラブ5単協が連合本部を設立。この年、連合職員が山口県の日本果実工業(株)(温州みかんジュースなどの生産者)を訪ねた際、「全国的な椎茸不足で入手しにくい椎茸を、山口県で供給してくれるところはないだろうか」という話から、当時の日本果実工業(株)の営業本部長の大学時代の友人であった大分県椎茸農協職員に話が伝わり、「消費材の独自開発」の一環として、乾し椎茸の独自開発へと話が進んだのです。
その中で同様に「生活クラブのポリシー」に合う材として考えたのが、「Sわれ葉しいたけ」です。昨年、Sマーク見直しで新たに認証してもらい早1年がたちました。当社の五味(統括部長)が、「市場では商品価値が形によって左右されるものの、味も栄養も変わらず、ダシとしても刻んで料理にも使える傘の割れた椎茸は、見栄えを商品価値としない生活クラブにとって、価格的にも有効ではないか」と提案しました。その後、「われ葉しいたけ」の利用は毎年伸び続け、昨年、「乾しいたけ100g」をも上回る13万9千袋の共同購入がありました。組合員の方には感謝の気持ちで一杯ですが、同時に「どう調理して食べたのか、どう我々を知っていただいているのか」も聞いてみたいところです。
乾し椎茸は戻すのに数時間を要します。現在の「速くて・安くて」とは少しかけ離れているかもしれません。レンジでチン等ではなく、時には手間ひまを掛けて材の価値をそのままに食べてみて下さい。冷水で戻す事で椎茸の成分も壊れず、ボールに椎茸を入れ水を張った状態で10分ほど日光にあてる事で成分のビタミンDも増え、より一層美味しくいただけます。乾し椎茸の中に含まれるエリゴステロールという成分が日光の紫外線によってビタミンDに変化し、日光にあてないものに比べ約10倍もの数値になるという結果が出ています。
国内産椎茸の高騰、さらに地球温暖化と、冬の寒さが必要な椎茸にとっては頭で痛くなる様な事ばかりですが、組合員さんとの交流で元気をもらい、笑顔で是非、またお話ししたいと思います。「これからの食」を考え、お子様にも若い組合員さん方にも、まず食べてもらう・知ってもらう。簡単で基本的なことですが、大事な根っこの部分だと思います。大きな責任と大きな期待を胸に、生産者交流会などでお会い出来れば、お声をお掛け下さい。
(2010年8月掲載)
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