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「木桶造りの酢」の伝統を守っていたことが、生活クラブとの提携の大きな要素となりました【私市醸造株式会社】

私市醸造株式会社 竹山 和男さん

私市醸造は、千葉県鎌ヶ谷市に本社工場があります。創業は1922年、東京・杉並区で先々代が起こし、現在の社長が3代目になります。現在の地に移転したのは1946年です。主なお客様は個人経営の寿司店でした。現在でも数では最も多いお客様です。 

当初は千葉県長生郡の鵜沢酢店に醸造酢を造って頂き販売していましたが、昭和30年代になって当社でも醸造を始め、製造・販売をするようになりました。この昭和30年代は高度成長期で大量生産、大量消費の時代になってきていました。お酢の業界だけでなくそれまで木桶を使って醸造していた、お酒、お味噌の業界がホーロー製容器に変わっていきました。木桶では発酵効率が低く、また、衛生面でも管理が難しいとの理由でした。しかしながら当社では木桶を使ったお酢の製造を継続していきます。 

その理由は主に寿司店のお客様にありました。ホーローと木桶では同じ原料を使っても味が違うのです。わが社の木桶で造る酢は、長期熟成させた酒粕を使った、昔ながらの江戸前寿司で使われた赤酢と呼ばれるお酢です。時代とともに様々なものが変化していきますが、味覚もそのひとつです。木桶によって生み出される独特の深い香りのお酢はその独特さ故に、この酢はくせがあるとも言われますし、この味でないと物足りないと言う方もおられます。当社の主なお客様である寿司職人の皆様は、後者の方が多かったのです。ただ、この木桶から造ったお酢だけではさすがに個性が強すぎて現代の味覚にはあわず、合成酢とのブレンドだったそうです。当時(昭和40年代始めまで)は、大手の会社でも合成酢をブレンドしたお酢を販売していたようです。 
 

木桶

この木桶造りの伝統を守っていたことが、図らずも生活クラブとの提携を結ぶ際に大きな要素となりました。1978年から生活クラブとの提携は始まります。提携が始まる1年ほど前から当社の営業が、「こんなこだわった酢を造っている会社ですが、生活クラブさんはご興味ありませんか」と訪問しておりました。そこで生活クラブの担当者の方々が当社工場を見に来られ、取り組みへの試行錯誤が始まったそうです。

生活クラブでは「木桶発酵のみの酢が良いのでは?」との提案でした。木桶のみの酢でしたら「伝統を守って頑張っている」というイメージができて語り易いのですが、私どもは味にもこだわりたかったのです。もちろん生産量の問題もありましたが、長年寿司職人の皆様と仕事をしてきた実績が会社の蓄積としてありました。「木桶発酵のみの酢では、味覚面で決して長続きはしない、やはりある程度現代にあったものでなければ」というのが当社の考えでした。昭和40年代に入り、日本にもアセテーターと呼ばれる近代的発酵法のプラントが使用されるようになり、合成酢がだんだん使用されなくなって、現在ではほとんど見かけなくなりました。当社でも1968年に導入し、木桶の酢とブレンドした酢を販売していました。このブレンドの比率を生活クラブと協議し、木桶の酢50%、その他純米酢やホワイトビネガーとよばれる酢をブレンドしたものがSマークの食酢です。

アセテーターによる近代的な製法によって造られる酢には、またその良さがあります。酢業界での長年の課題だった匂い(臭み)を抑えた醸造酢ができるようになりました。現在供給している純米酢、純りんご酢はアセテーターで造っており、組合員の皆様にも評価を頂いています。


びん重鎮


生活クラブと提携が始まってから32年がたちました。業務用のお客様がほとんどだった当社が、組合員の皆様から直接お話を聞くことができるようになり、会社も成長させて頂きました。生活クラブの組合員は、決してお客様ではなく、共に生産する仲間という考えは、生産者にとって大きなモチベーションになります。

今、盛んに「顧客満足」という言葉が使われていますが、実態は売らんがための体裁を整えているのに過ぎないのではと感じています。おおぜいの自主監査、生産者見学、交流会で組合員の皆様と話ができる生活クラブのあり方が、本当のニーズを得られる場だと思います。そこは環境問題、地域の話、生産者の事情や状況も話せる場なのです。それは組合員がお客様でなく、仲間だからだと思います。その仲間のために、今後も誠実な酢造りに励んでいきたい、今の消費材に満足することなくもっと良い材に組合員の皆さんと共に育てていきたい、と考えています。

【2010年12月28日掲載】
※記事の内容・画像等は記事制作時点のものです。

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