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生協の食材宅配【生活クラブ】
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新しい放射能検査体制が始まりました!

新たな段階に入る生活クラブの「消費材放射能検査」…状況認識と使命

  生活クラブ連合会(東京都新宿区)は本日2011年9月5日より、独自に実施するほぼすべての取扱い品目を対象とする放射能検査の結果を公開します(15:00予定)。当会が従来行ってきた畜産品の検査と公開に加えて、農産物・水産物・加工食品にいたる、すべてのジャンルを網羅する食品の連日検査は例のない調査となります。この検査は当会の提携生産者の協力を得てはじめて実現するものであり、この場を借りてお礼を申し上げます。

 「レベル7」とされる東京電力福島第一原発の事故は、その後半年の時間が経過してなお政府の責任の下にこの種の調査が行なわれることもなく、その深刻さが過小評価されているかに見えます。本来であれば政府は、東日本を中心に広範囲の国土が汚染され、国民の生命と生活に多大な影響を及ぼすことを、事故直後に発表し、迅速な対応と徹底した情報公開のもとに、国民の協力を求めるべきでした。

 実際に政府がこの間行ってきたことは、「風評被害」の拡大防止を理由に、実際には東京電力・国の賠償責任の際限ない拡大防止が最優先で、国民とりわけ次代を担う子どもたちの被曝量を少しでも低減するための最大限の努力を怠ってきました。被曝量に「安全レベル」など存在しない放射能の拡散状況を正確に国民に知らせ、将来の健康被害を避けるための助言体制を整えることを遅らせてきたのです。公的発表を信じない消費者のあいだには国産とりわけ東日本産食品全般に対する買い控え行動が明白に見られ、「正しく怖れる」ことを国民に求めてこなかった政府が正に風評被害の原因となってしまいました。こうした状況を受けて、本来被曝した生産物を市場出荷することを望まない良識的な生産者や流通業者も、検査や情報公開を躊躇しています。国内経済の基軸ともいうべき「生産・消費」に相互不信と分断の楔が打ち込まれた不幸な状況は、一日も早く和解させなければなりません。

 「市民の盾」であるはずの報道もこうした政府の不作為とそれが招いている事態に対して「真実の追究」で抗する姿勢に乏しく、及び腰の報道を続けることによって結果的に危機意識の風化と事態の複雑化に加担していると言わざるを得ません。大量に放出された放射能が我が子の遺伝子にもたらしたかもしれない危害とそれがもたらす将来の結果に怯える国民の切実な不安と悩みを置き去りにしています。

 事故は終わっていません! 私たちはいまなお世紀の悲劇である福島第一原発事故の只中にあります。そのなかで市民による自衛手段として、良識あるメディアへの警鐘として、そして自分の頭で考え・判断し・行動する人々のために、このたびの検査体制を整え得られた結果を社会に広く公表いたします。

<備考> 今回の事故で生活クラブは、チェルノブイリ原発事故(1986年)による輸入食品の放射能汚染を想定して定めた自主基準(セシウム37ベクレル以下)の運用を停止し、国の暫定基準(同500ベクレル以下等)を採用しました。もちろんこの選択は、国の基準を「安全」と認めたからではなく、国の原子力政策と東京電力が招いた大災難のために「とらざるを得ない措置」だったからです。
 本来、放射能被曝に「これ以下なら安全」と呼びうる値(しきい値)はありません。放射能は1ベクレルでも少ないことが望ましい。しかし世界最大級「レベル7」の今回の事故は、私たちの土地と生命を将来にわたって著しく汚してしまいました。もはや放射能リスクのない《3・11》以前に戻ることはできません。
 多かれ少なかれこの放射能汚染と付き合いながら生きていくしかないこれからの時代に、一人ひとりが判断しながら日々の食物を選んでいくためには、客観的な情報が必要です。同様に、生活クラブが組合員と生産者の協同で再び「自主基準」を創っていくためにも、包括的な放射能調査がなされなければなりません。


ついに入手!食品放射能測定器
~短時間にどれだけ多種類の食品を測定するかが当面の最優先

 5月に発注した本格的な放射能測定器2台がようやく届き、2カ所のデリバリーセンター(飯能DC・戸田DC)に設置して生活クラブ自前の検査体制が9月から始まりました。外部委託検査から自前検査への移行で、問題解決への長い道のりはまだその端緒に付いたばかりです。さまざまな制約や限界はありますが、事実の調査と情報公開という社会的意義の大きな一歩であると考えます。
 今回の最大の特徴は、納品から出荷までの限られた時間で、いかに多種類の消費材の測定を行うかを最優先にしたという点です。これまで測定の体制が整えられなかった青果・水産物から加工食品にいたるまで、ほぼすべての品目の消費材を対象とする体制です(注―次頁参照)。
 一週あたり約600品目(青果物を産地別にカウント)の取扱い品は他の生協や小売店に比べて多くはありませんが、それでも納品から出荷までの限られた時間内に、消費材の小分け・組込作業と並行して行う検査はまさに時間とのたたかいです。
 一日に120品目(測定器1台で60品目)を調べるために「5分間簡易測定」を行うことにしました。検査精度は通常の1ベクレル(Bq/kg)単位の精度は得られませんが、国の暫定基準(多くの食品で放射性セシウムで500ベクレル以内)の超過がないかどうかを判定することはできます。万が一、国の規制値を超える値が検出された場合は、直ちに供給を停止するとともに、東京電力に損害賠償を求めていきます。  

放射能測定器シンチレーションカウンターNaI(TI)。飯能・戸田デリバリーセンターに各1台を導入しました。測定器の上部。円筒形の空間に検体を投入。十分な重量が投入できない重さの軽い食品では検出限界を下げるために測定時間を数十分間に延長します。8月末に測定器がようやく納品され、検査スタッフの研修と試運転が行われました。大葉(しその葉)のような重量の軽い検体は規定の重量を満たすのに苦労します。350gに満たない場合は、測定時間を数倍(数十分)に延長して検出限界の低減をはかります。

測定器に接続したPCが検出結果を表示しプリントアウトします。  


提携生産者が“自主的”に行う検査…情報公開と購買行動の力関係

 もうひとつの特徴は、提携生産者の協力によって実現する、消費材を工場の製造段階または原材料段階で測定する検査です。これには農産物の圃場土壌や畜産品の家畜飼料、漁獲時期の魚介原料(加工前)なども含まれます。このための生産者の費用負担(外部検査機関)や“風評不安”はけっして小さくありません。しかし生産者自身の不安の解消やリスクの回避のためにも行って欲しい検査です。生産者からの検査結果はインターネット等で情報公開する方針ですが、東京電力・国の賠償責任範囲が不明確なため、生活クラブ組合員の反応や他社販売向け原材料の情報が広く知れ渡る影響を心配されている生産者も多くいるなかでのスタートです(下・写真注釈参照)。
 「暫定規制値以下の値が検出された食品は販売・購入してもらえるのか?」という生産者の不安。「放射能は1ベクレルでも避けたい!」という消費者の声。生産者の情報公開と消費者の購買行動は“綱引き”の関係にあるのが現実です。すでに特定地域の産物が忌避され価格暴落を招き国内生産者の生産・生活を直撃していることも報告されています。私たちが強化する放射能検査体制は、この重い課題を背負うリスクをはらみ、その動向が社会的にも注目されることでしょう。


当面の検査体制―制約と優先順位

 このたび購入した2台の食品放射能測定器「NaI(TI)シンチレーションカウンター」は1台約450万円の高価なもので、台数を容易に増やせるグレードの機器ではありません。より低価格なガイガーカウンター等の空間線量計を使用している例も他にはあるようですが、測定場所の環境放射線量の影響を受け、よほど高レベルの放射能でないかぎり検出できないなど、食品の放射能検査には不適当です。
 2台の測定器と専任検査員の配置―この条件のなかで行われる検査は以下のような内容です。

1)一日60品目×2DCの検査体制のなか産地や利用数量に応じて優先順位をつけます
2)一品目あたりの測定時間を5分間とし(簡易測定)、規制値の半分の値が出た場合のみ2時間の詳細な測定を実施します
3)連合企画品を優先させ単協独自企画品は選択的に検査します

 連合企画品(共通取組品)の週600品目の検査は、1日60品目を測定しても5日間かかり、さらに国の規制値の半分を超えた場合に行う2時間検査の時間を確保しておくために、例外や検査順番の優先度を設けます。具体的には、生鮮品では産地の対象を東日本(静岡―山梨―長野―新潟または富山県以北)に絞ります。また加工食品も含めて、サイズや規格重量が異なる同一品は1検体に代表させたり、明らかに産地と収穫時期が同じ原料の品目はシーズン初回取組み時に検査を済ませ時間枠を節約します。
 一方、生活クラブでは豆腐・パン等の「日配品」は単協ごとに異なる取組みで(単協独自企画)、他にも単協独自企画の消費材があります。しかし優先される連合企画品だけでもかなりの検査時間枠を必要とするため、単協独自品の検査は週あたり数品目に限定せざるを得ません。また検査日も週後半の空き時間を利用することになる見込みです。 


測定結果の情報公開のありかた

 検査結果はインターネットによって翌日には公開します。また公開に同意した生産者の自主的な検査結果(原材料等)も閲覧することができます。
 4月からこれまでは、「放射能汚染食品測定室」に委託してきた、畜産品に限定した2時間検査の結果を1ベクレル単位の検出値で発表してきました。これが対象全品目を簡易測定する体制になるに伴い、ホームページ上での表示方法にも変更があります。
 測定できる放射能の値の精度は測定時間に比例します。5分簡易測定では100ベクレル未満の単位は誤差が大きく、さらに長い測定時間をかけなければ詳細なデータを得ることはできません。2時間検査の必要がないとした250ベクレル以下(規制値が500ベクレルの場合)の検出結果は、データベースではA・B・Cの記号で表示します。大きな誤差を含んだ数値をそのまま表示することで生ずる誤解を避けるため「記号化」するものです。
 また測定器の納品以後行った試運転で分かったこととして、体積あたりの重量が軽い食品では、簡易測定でも既定の検出限界が得られず、測定時間を数倍(数10分)に延長しても100ベクレルの範囲におさまらないケースがあることもわかりました。そこで測定器の示す結果には相当量の「不検出」という結果があることを前提として、3段階の実測数値記号と合わせて、不検出検体の「検出限界」についても記号で示すことにしました。

〔簡易測定〕結果の公表 検出値が検出された品目
→検出値
不検出となった品目
→検出限界
100ベクレル未満 A
100ベクレル以上200ベクレル未満 B
200ベクレル以上250ベクレル未満 C

 いずれにしても2時間検査となった消費材や生産者による自主検査のほかは、多くの品目の具体的なベクレル数値が分からないことに違和感をもたれる組合員も多いと思いますが、冒頭に述べたように当面は食品全般の傾向を把握する時期であることとご理解ください。


数カ月の全品目検査の後に

 今回の全品目検査により全体の傾向が分かり、「自主基準」を再び持つために必要な情報が集まると考えています。その際には、簡易測定の対象品目を絞り込み、重点品目の2時間検査に作業割り当てを増やすことができます。それによって現在よりも、より詳細な測定値が発表できる体制に段階的に移行する予定です。 

【2011年9月5日掲載】
 

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