ふくしまの子どもたちを「北海道の夏休み」に招待、生活クラブ北海道
全国各地の生活クラブで福島の子どもたちを支援する『リフレッシュ企画』が開催されています。その活動の一つ、生活クラブ北海道が開催した「戸外で遊ぼう!涼しく遊ぼう!北海道で夏休み13日間」(7月31日~8月12日)のようすを「さらむぱ通信(NO.80)」から、ご紹介します。
- 「さらむぱ通信」とは・・・生活クラブ北海道「脱原発・市民エネルギー委員会」が発行するニュース。「さらむぱ」とはアイヌ語で「さようなら」という意味で、原発にさようならするという意味で命名されました。
「戸外で遊ぼう!涼しく遊ぼう!北海道で夏休み13日間」
~福島からの一時避難支援活動に寄せて~
委員 小笠原 はや子
福島の子どもたちを招いて、戸外で安心して遊んでもらおうという計画。沸いて出たような急な話でしたが、何か出来たら嬉しいという気持ちは、委員会の全員が一致していました。前回「さらむぱ通信」の富塚さんの現地報告を聞いて思いは更に強くなっていました。
実現に向けて、福島の組合員に呼びかけ、5家族、16人を招待することが出来ました。たくさんの人の、たくさんの協力を戴きました。歓迎会での理事長挨拶に曰く、「ミステリーツアー」とは、招く側も参加する側にとっても同じ思いの始まりでした。滝野すずらん丘陵公園、旭山動物園、小樽、石狩あそびーち等々、楽しい思い出をたくさん作ってもらえたと思います。子どもたちは、みんなかわいくて、孫と遊んでいるようでした。泣いたり、笑ったり、駄々をこねても元気が一番です。
「福島で今出来ないこと、外で思い切り遊び、海で泳がせてあげたい。」という願いが実現できて幸せでした。これからもずっと元気でいてほしいと願います。
「石狩あそびーち」のすぐ後ろに、本郷新の「無辜(むこ)の民」という彫像があります。戦争や災害で、傷ついた罪無き人々に、心を寄せて作られたものだと言います。こんなことがあってはいけなかった原発事故。日本はまだ福島をどう捉えたらいいのか、戸惑ったままなのでしょうか?この夏は、TVで戦争に関するものばかり見ていました。核は戦争のために作られ、原発は核と同じ。平和に利用など出来ない。安全など無かった。国策で原発は動いているのに、その事故処理に確かな策が無い。政治がとても遠く感じられます。
健気な福島のお母さんや子どもたちに、頑張ってと言いたくない。我慢しかない理不尽な現実をどうにもできないのです。涙ぐみ、声を詰まらせて「ありがとう」と言ってくれたけれど、感謝なんかいらない。たまたま原発事故は、泊ではなく福島だっただけです。原発事故は、生活の根幹を奪い、脅かし、命を危機にさらし、長い年月を不安の中に陥れます。原発の存在だけで、これほどの恐ろしいリスクを負います。
問題を経済や理化学、政治の仕組みとするなら、難しいかもしれません。しかし、チェルノブイリの今を知り、25年後の福島を案じる気持ちがあれば、福島の悲しみや悔しさをわが身のことと感じることができます。原発があってはいけません。二度と福島と同じことがあってはいけません。
ふくしまのこどもたちが気づかせてくれたこと
委員 切明 澄枝
脱原発・市民エネルギー委員会が、ふくしまの子どもたちの保養のための支援に取組めたのは、生活クラブ北海道の息長い脱原発運動があって、その延長として実現出来たことと思っています。あまりに突然なことで組合員には事後承諾になってしまいましたが、それほど急な出来事でした。
想いが形になったことに喜びを感じると同時に複雑な気持ちで準備をすすめました。微力ですが「森と子ども」をテーマとして行動してきた私は原発事故のために子どもたちをこのような境遇に置いてしまったことに大人として申し訳ない気持ちを抱えていたからです。5家族16人という少人数で、しかも短期間ではありましたが生活クラブを通じて、つながった子どもたちに縁を感じています。
どの子もはじめはちょっと緊張していて、これからどのようなことになるのか不安があったと聞きました。そうですよね、突然の私たちの申し出に戸惑ながらも応えてくださった5家族の正直な気持ちだったと思います。私たちは子ども心にふさわしくない複雑な思いを抱いている子どもたちにせめて外で何の心配もな く遊びきってもらいたいという気持ちと、お母さん達にも喜んでもらえるような観光もと、少し欲張りな計画を立てました。
滝野すずらん公園、旭山動物園・美瑛の丘・富良野ラベンダー畑、小樽・天狗山運動公園、石狩あそびーち海水浴などの合い間に自由行動日をはさみました。 幸いにもそのいずれもが良いお天気に恵まれました。
自由行動日には彼の地から避難してきた方たちとの交流も持たれたということでした。お母さんたちの配慮があったからこそでしょうが2歳の男児2名がみんなの心配をよそに体調を崩す事無く一緒に行動できたことはとても嬉しいことでした。
さすがに最終日には疲れた様子でしたが、苫小牧行きのバスを無事に見送ることが出来ました。ささやかに歓迎会・送別会を予定しましたが、たくさんのお手伝い、差し入れ等があり、ふくしまのみなさんも大感激でした。期間中の各支部からの温かいサポートはふくしまへの熱い思いを共有できてとても心強く思いま した。
手話を伴なった「世界中の子ども達」の歌は帰ってからも札幌を思い出してハミングしてもらえると嬉しいですね。「海で遊べたことがとてもよかった」「アー、遊んだ気がした!」と感想を書いてくれた子どもたち。自然により近い子どもに、自然の中で心底から解放されて遊べるように保障すること こそが大人の責務だと強く思いました。
この度の支援が出来たことは私たちにもたらされた幸運と思っていますが、ふくしまよりは汚染されていない北海道があってこそのことです。この豊かな世界 にも誇れる大地がどんなにかけがえのないものであるか、ふくしまが教えてくれています。世界中の全ての原発廃炉にむけての輝かしい第一歩として、泊原発が 廃炉へと名誉な勇断ができるように知恵を寄せ合って粘り強く実現に向けて行動していきましょう。
幌延サマーキャンプに参加して 7月30・31日
委員 渡辺 真由美
今年の幌延サマーキャンプは、大人34名子供13名で行われました。私も初めて参加しました。子供を3人連れて行きましたが、周りのあたたかいサポートのおかげで、楽しい2日間を過ごすことができました。
30日は豊富町で行われる全国交流会の講演会で、福島第一原発から16kmのところに住み避難している、福島県農民連会長の亀田俊英さんの話を聞きました。実際に被害を受けた方の言葉には重みがありました。夜は豊富町セミナーハウスで夕食のカレーライスを食べ、幌延の現状や、幌延町を戸別訪問した参加者の話を聞きました。31日は酪農を営む久世さんが作ったパンとチーズで、ピザトーストの朝食をいただきました。
久世さんのチーズとジェラートアイスの店に寄って、幌延町の地層処分実規模試験施設に行きました。 幌延町にこの施設がある事を知ったのは、3、4年前支部活動をしているときでしたが、難しい話はなかなか自分の中に入ってこなくて、どこか遠いところの話になっていました。今回はとにかく現地に行って、話を聞き、見てこようと思って参加しました。この施設の50mの高さの展望台からは、360度豊かな自然が広がるのが見えます。とても素敵なところでした。その中にこの施設がありました。ものすごい違和感です。そして、福島と重なって見えました。福島県も自然豊かな場所で、第一次産業が盛んです。その場所が汚染された事で奪われた土地は、住むだけの場所ではありません。農業や酪農を営む人たちが育ててきた、野菜やお米、牛・・・など、計りしれない被害です。人口が少ないからと選ばれた土地は私たちが生きていくうえで大切な場所です。もし、幌延に核のゴミが来るようなことになり、汚染されたら・・・とても怖いことです。
ここに放射性廃棄物を持ち込まないと約束されていることを知っていても、PR館を見学するうちに、ここに放射性廃棄物が埋められるのか・・と感じさせられていて驚きました。あれ?ここじゃないよね・・・。何でじゃあここで研究してるの??何の意味が???と自問自答しながら見学しました。そして見れば見るほど不安になりました。こんなに何重にも守って埋めますよということでしょうけど、これで守れるの??と。素人の私は、研究ならば、研究の結果地層に埋めるのは困難ですという結果があってもいいのではないかと思いますが、それは無いのでしょうか。難しいことはよくわからないままですが、1000年の間耐久するらしいのです。今から1000年前はどんな時代ですか?それを考えたら、今から1000年後はどんな時代なのでしょう。研究の数字からは1000年は安全ですと言えるのでしょうけど、本当にそう言えるのでしょうか?そして、放射性廃棄物が無害になるまでには数万年かかるというのに、1000年後はどうするのでしょうか?想像もできません。
そんな事を思いながら見学しました。
帰りには風力発電の「はまかぜ」ちゃんを見てきました。それぞれの発電にはマイナス面もありますが、故障した時には人の手で直すことができる物が絶対条件だと私は思います。
かぜに吹かれて回る「はまかぜ」ちゃんを見て、穏やかな気持ちになりました。
みなさんもぜひ、一度現地に足を運んでみてください。