神奈川から脱原発社会発信(生協流通新聞)
2011年12月05日:生協流通新聞
生活クラブ神奈川が提案─風車電力を事業所に
市民によるエネルギー自治推進
生活クラブ神奈川は11月20日、横浜市内で「脱原発・再生可能エネルギー中心の地域社会を神奈川からつくろう」の緊急フォーラムを開催し、首都大学東京・教授の宮台真司氏が「自然エネルギー社会に向けての展望~共同体自治への転換」と題して基調講演。パネル討論には宮台氏のほか、同生協・副理事長の鈴木伸予氏、参議院議員の大河原雅子氏、日本大学・准教授の高橋巌氏がパネリストとして参加した。同生協も含めた生活クラブの首都圏4単協では、秋田県に建設中の風車による電力を事業所に使用するなど、自然エネルギーの「地産都消」による自給圈づくりを進めている。今後は「市民によるエネルギー自治」の確立をめざし、神奈川県など自治体にも市民発の政策提案を行っていく。
フォーラムでは、首都大学東京・教授の宮台真司氏が、「自然エネルギー社会に向けての展望~エネルギー共同体自治への転換」として基調講演。
参加者全員で、地域が中心となった分散型エネルギー体系の新たな構築に向けたフォーラム宣言「脱原発!再生可能エネルギー中心の地域社会をづくりを神奈川からすすめよう」を採択した。
宮台氏は、今回の震災前から日本社会は終っているとし、「価値を発信する社会」への転換を強調。日本における“共同体自治”を活性化するために「食」と「エネルギー」は重要な手段となりうるが、福島原発事故を契機とした電源選択の問題から、「善いことをすると儲かる社会」へと向かうような合理性をつくっていく新たな社会選択の行為が必要なことを指摘した。
パネル討論には宮台氏のほか、同生協・副理事長の鈴木伸予氏、参議院議員(民主党)の大河原雅子氏、日本大学生物資源科学部準教授の高橋巌氏がパネリストとして参加。早稲田大学教授の坪郷實氏がコーディネーターを務めた。
鈴木氏は、秋田県にかほ市に建設中の「生活クラブ風車」を皮切りとした再生エネルギーによる新たな地域間連携への取り組みについて説明。
首都圏4単協の生活クラブ事業所に風車の電力を供給。発電した電気と環境価値を「グリーン証書」のかたちで生活クラブが購入し、事業所で使うという新たな試みを提示。鈴木氏によると、風車への取り組みを通じて、秋田米など産物での提携も進めていく。
今後は、生活クラブとして(1)アンペアダウン運動と「生活クラブ節電発電所」への登録、(2)組合員への太陽光パネルの普及と生活クラブ施設での市民共同発電所づくり、(3)基金創出の検討、(4)県内自治体への市民政策の提案─を運動として進めていく。