【東日本大震災から1年 vol.1】加藤会長に聞く、震災対応方針の成果と課題
2011年6月24日、生活クラブ連合会は第22回通常総会を開催。同年3月11日に発生した東日本大震災への対応方針を可決しました。
内容は(1)被災地の復興に全力をあげて努力する (2)「非常事態宣言」状態でのリスクシミュレーションを強化する (3)国際協同組合年のテーマを東日本大震災からの復興とする (4)「脱原発」に向けた運動を強める─―の4項目です。
生活クラブ連合会が発行する月刊紙「生活と自治」3月号では、この成果と課題について加藤好一生活クラブ連合会会長に聞きました。ホームページではその一部を抜粋して掲載します。
──被災地の復興に全力をあげて努力するという一番目の方針について何ができ、どんな課題が残りましたか?
[加藤] 地震や津波で物流センターや電算システムに大きな被害を受け、東北の多くの生協が業務停止に追い込まれるなか、青森、岩手、福島の生活クラブは通常の共同購入事業を続けることができました。
これは埼玉県飯能市にある生活クラブの飯能デリバリーセンターが機能し、青森、岩手、福島の各配送センターが使える状態にあったという幸運もありますが、被災地の組合員への消費材の配達が継続できたことの意味は実に大きいと思います。
津波で壊滅的な被害を受けた提携先の岩手県宮古市の重茂漁協や宮城県石巻市の高橋徳治商店の支援についても生活クラブ岩手を中心に、多くの組合員と職員が力を尽くしてくれていますし、ふくしまは被災した組合員の生活支援に全力で取り組んでいます。こうした成果を踏まえたうえで、あえて申し上げたいことがあります。
生活クラブが「主要品目」と位置づけているコメや牛乳、肉類や青果物の産地は東北と北関東が中心です。その主要品目の生産者は幸いみなさん無事で、重茂漁協や高橋徳治商店のように大きなダメージを受けていません。しかし、これを地方経済という枠組みで見れば、主要品目の生産者も大変な状況に追い込まれ、窮地に立たされていることは明らかです。
生活クラブは提携産地との関係強化、共同購入の強化、利用結集の強化を常に基本姿勢にしていますし、それは今後も変わることはないでしょう。購買力を集中し、これを社会的な力にしていくことが被災地の復興に直結するといえるはずです。ところが、主要品目の利用は、その数字だけを見るかぎり、誠に残念な結果になっています。
──どういうことですか。
[加藤] 一部産地のコメの利用が突出して伸び、エコや節電をアピールした生活雑貨の利用は増えましたが、主として大事にしたい主要品目の肉類や牛乳については、ことごとく利用が低迷しています。重茂漁協や高橋徳治商店への支援については、かなりの成果をあげることができたことは間違いありませんが、他の東北・北関東の生産者の支援(利用結集の維持・強化)は十分にできていないのが実状です。
たとえば肉類の利用低下の背景には原発事故の風評被害があります。「飼料の稲わらからセシウムが検出された」というマスコミ報道以降、「牛肉は食べてはダメ」ということになり、生活クラブと提携する北海道チクレンの牛肉の利用まで総崩れになってしまいました。飼料の中身はもちろん農場から食卓までの動きを明らかにする共同購入をしているのですから、風評なんていうものを跳ね返すだけのことができなければならないのにとても残念なことです。
「生活と自治」2012年3月号より抜粋。
対応方針(2)「非常事態宣言」状態でのリスクシミュレーションを強化する―の成果と課題など、詳しくは同紙をお読みください。
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