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『びんリユースの未来を考える』シンポジウム開催

何度も洗って繰り返し使うRびん、そしてリユースを社会全体に広げていこうと、「びん再使用ネットワーク」と、「容器包装の3Rを進める全国ネットワーク」が「びんリユースの未来を考える」をテーマに6月8日、シンポジウムを開催しました。(2012年6月20日掲載)

「ひ孫」のためにリユースを!

「リユースびんを、絶滅危惧種ではなく環境を守る救世主に」という、容器包装の3Rを進める全国ネットワーク副運営委員長の羽賀育子さんの呼びかけから始まったこのシンポジウム。びん再使用ネットワークに参加している生活クラブ連合会、東都生協、パルシステム連合会、グリーンコープ連合、新潟県総合生協に加入する全国220万人の組合員にとっては、「R」マークのついたガラスびん容器のリユースはすでに生活に根づいています。一方、一般社会ではビールびん、一升びん牛乳びんのほかはほぼリユースされず、一回限りの使用ですべて破砕されている現状。液体飲料や調味料などの容器が軽量のペットボトルやプラスチック素材にとって代わられ、本来安全・安心であるはずのガラスびんが省みられていない状況です。
 独立行政法人製品評価技術基盤機構理事長で東京大学名誉教授の安井至さんによる基調講演のテーマは「びんリユースと未来社会 〜循環型社会の過去・現在・未来〜」。2000年に施行された循環型社会形成推進基本法によって、ごみの最終処分量を平成22年度には2800万トン(平成2年度の約1億1000万トンの約4分の1)にすることを目標に掲げ、結果的には平成21年度で約1900万トン、第一次目標を大きく上回る成果を上げています。最終処分場の残余容量及び残余年数は大幅に伸び、「ごみ自体の量は新しい最終処分場がいらないくらいまで減ってきている」と安井さんは言います。
 ごみの循環利用率、つまりリサイクル率に関しては、平成21年度で14.9%となり、2年連続で目標値である14〜15%を達成。安井さんは「これまで日本ではリサイクル主導で循環に取り組んできて、リサイクルはほぼ完了といえる。資源的に自立していない日本で、これから必要なのは、総資源投入量の削減が目標になる。それにはリユースというリサイクルよりも本来優先度の高い循環の実現が大切」と訴えました。
 安井さんはまた、「リユースは一石二鳥どころか、一石多鳥。環境負荷が低いシステムが可能で、地域のつながりを強くし、日本酒や焼酎など地域の伝統的な食文化とも結びつける、製品への愛着を深める、リピーターをつくる、環境を想う人々をつなぐことができる。リユースを、社会全体を変えるツールとして考えるべき」と言い、ひ孫のためにもリユースを、と呼びかけました。

法律や教育の見直し提案も

 続いて、第2部のパネルディスカッションでは、容器包装の3Rを進める全国ネットワーク運営委員の庄司元さんをコーディネーターに迎え、リユースに取り組む様々なネットワークを代表する方が事例発表をしました。
 熊本は水俣からやってきたびん商・田中商店の田中利和さんは、容器包装リサイクル法とリユースの流れについて説明。田中さんは南九州の焼酎メーカーとともに900mlボトルのリユースびんを開発し、地域循環型で高い回収率を実現していることにふれ、「ガラスびんは歴史的に古く安全で、安心して使える。傷つけばまた再生できるのも魅力。これが廃れるのはよくない」と語りました。
 大阪府からはRびんプロジェクトの西村優子さんが登壇。3Rのなかで優先順位があることを知らず、リサイクルをすればそれでOKだと考えている人が社会では多数ではないかという仮定から、学校教育のなかでリユースはどのように紹介されているのか、府内各地の小中学校の教科書を調査した結果を発表しました。リサイクルについてはどこでも取り上げられているものの、リユースに関する言及がない教科書もあり、「教科書では、ものを大切に使う事例として“リサイクルショップ”や“フリーマーケット”という名称を用いて取り上げているが、これでは誤解を招く。“リユース・ショップ”や“リユース・マーケット”という言葉に置き換えたらよいのではないか」と提案しました。
 びん再使用ネットワーク代表幹事の中村秀次さんからは、リユースびんを一般市民に広げるための活動の一環として、2012年1月から4月にかけて東京都新宿区内で販売した「十万馬力新宿サイダー」に、若者たちと開発したスタイリッシュなRびん「Rドロップス」を採用した事例を発表しました。
 十万馬力新宿サイダーは「鉄腕アトム」をイメージキャラクターに採用し、徳島県産のさわやかなすだちを搾ったサイダーで、販売価格は150円。リユースびんを返却すると新宿区内で使える地域通貨「アトム通貨50馬力」(50円分に換算)が戻ってきます。中村さんは「販売本数は12,936本で、回収は4,992本。“かわいい”と言って買っていく人も多く、記念保管以上に商品が出回るようになればもっと回収率は高まると思う」と話しました。今後は、6月20日に第2回目の十万馬力新宿サイダーの製造がおこなわれ、居酒屋やアトム通貨に参加していない地域のお店でも販売が可能になるほか、新宿区以外にも広げて販売・拡大していく予定だそうです。
 また、福井県池田町でRドロップス商品化第2号の「いけソーダ」の発売、奈良県でも商品化の動きがあることを明かし、「リユースが地域の活性化と人々を結びつけることが一般的に広がっていけば」と話しました。
 容器包装の3Rを進める全国ネットワーク運営委員の中井八千代さんは、容器包装リサイクル法(以下、容リ法)改正に向けての市民案について発表しました。容リ法の役割分担を見直し、分別収集・選別保管の費用負担のあり方を検討することなどを盛り込んだ「容リ法の見直しを求める請願」が2011年8月に国会で採択されたことを受け、「リサイクルによる自治体の財政負担が大きい。リサイクルは製品の生産工程の一部とみなし、拡大生産者責任を求めていく」と訴えました。また、学校給食ではリユースびん牛乳を普及させ、公共施設では2R商品を優先的に使用するなどの具体的提案も語られました。

 最後に、びんリユースに関わる団体や企業の代表者からの会場発言もありました。びんリユース推進全国協議会事務局長の小沢一郎さんは、「2030年、2040年の資源が枯渇する未来を見据えたロードマップをつくり、生協以外にもRびんを広げていく」と語り、生活クラブのRびんを洗浄している東京・トベ商事の戸部昇さんは「私たちの生活を鑑みると、食器、箸、コップや洋服などはすべてリユースしている。日常生活では何回も使うことで利益の二面性が出てくる。“環境”を切り口にリユースを訴えても相手にされないことが多い今、これまでとは異なる切り口でのリユースの普及が求められる」と話しました。
 「リユース」とは、Rびんを再使用して環境負荷を下げるという話にはとどまらず、日本の生活文化をどう見つめ直し、再構築していくかという話につながります。食料やエネルギーの自立ができていない日本で、市民の選択が問われている今。「賢い」消費者として、未来世代のためにリユースを選択をしていく姿勢が求められそうです。

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