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新しい価値を求めて 健康・安心一直線【東谷 隆幸さん】

牛肉のおいしさとは何か。社会に広がる「霜降り信仰」に、生活クラブと北海道チクレン農業協同組合連合会は30年前から挑み続けてきた。ともにつくってきた健康な赤身肉の価値が今、見直されつつある。

健康で元気な牛が一番

岩戸稔さん▲牧草を食べさせると牛の体調がよくなる 北海道古平町にある古平牧場の岩戸稔さんの朝は、牛の顔を見ることから始まる。歩く格好、耳のたれ具合、顔色などから1頭1頭の健康状態がわかる。まず牧草などの粗飼料を、その後1~2時間置いて配合飼料を与える。「順番が重要なんだ。配合飼料は穀物だから胃に負担がかかる。先に与えると具合が悪くなってしまう」と岩戸さん。
 牛はもともと草食動物。配合飼料に頼りすぎると胃にガスが発生してしまう。成長を妨げたり、場合によっては心臓を圧迫して突然死を招いたりするから牛の肥育には大敵だ。

健康な牛の肥育に牧草は欠かせない だが、配合飼料を適量与えなければ、肉にほどよく脂肪がつかない。そこで、ガスの発生を抑えるために一般に使われるのが配合飼料に添加するモネンシンナトリウムという抗生物質だ。この薬剤には肥育効率を高める働きもある。

牛舎に敷くおがくず。近年高騰しているが、牛舎を清潔に保つための必須アイテム 「あれを使うと下痢も起こさないし成長も早いんだよ。でもうちは一切使わないからさ」と岩戸さんは苦笑する。その分、食べさせ方を工夫し、道内産の牧草を1日3キロ以上与え、清潔でゆったりとした飼育環境を保つことで、牛の健康維持に努める。
 「サシ(脂)を入れようと思えば配合飼料を増やせばいいんだけど。やっぱり健康で元気な牛が、おいしい肉になるんだと思うよ」
 牛にストレスを与えないこともおいしい肉づくりには欠かせないと考え、牛舎に敷くおがくずはこまめに交換し、換気に気を付け清潔な環境を保つ。牛舎内は干した牧草の香りが漂い、アンモニア臭など嫌な臭いはほとんど感じない。

薬剤NO!のプログラム

東谷隆幸<span>(あずまや・たかゆき)</span>業務部長<br>■提携先  北海道チクレン農業協同組合連合会  (株)北海道チクレンミート<br>■提携品目 牛肉 ビーフカレーなど 古平牧場のこうした肥育方法は、北海道チクレン農業協同組合連合会(チクレン)の管理プログラムに基づく。チクレンでは、古平牧場をはじめ、道内18の指定農場に牛の肥育を預託し、哺乳期から肥育期・育成期まで、えさの質や与え方・環境整備などきめ細かに対応を定め、指導・管理を徹底する。米国産牛肉でしばしば問題になる成長促進のためのホルモン剤はもちろん、国内でも一般にはあたりまえに使われる抗生物質や遺伝子組み換え作物、収穫後に農薬散布した作物は使用しない。
 「このプログラムは、かつてのチクレンの肉牛づくりの名人が長年かけてつくりあげてきた。薬を使わずにいかに健康に育てるかを追求した歴史ですよ」とチクレン業務部長の東谷隆幸さん。
 それは生活クラブの組合員と話し合い、課題を解決してきた歴史でもある。薬剤を使わなければロスは増え、遺伝子組み換えでないえさは割高だ。市場価格に左右されず、生産原価を考慮して購入する提携関係があったからこそ実現できたという。
 一方で、せっかくていねいに育てた牛も、市場ではその価値が価格に反映されないことは多い。ここ数年来続く牛肉の消費量の低下は経営を徐々に圧迫している。
「生活クラブの利用も以前は年間4500頭の利用があったが、昨年はついに2500頭を切りました。このプログラムをどこまで維持できるか、非常に難しい段階にきているのは確かです」

赤身肉の価値が原点

生活クラブの牛肉生産発祥の地・古平牧場 古平牧場は、実は生活クラブが自ら牛肉生産を行うため1979年に建設した。脂肪の交雑する霜降り牛肉がもてはやされた時代に、健康な赤身主体の肉こそが本来の牛肉という独自の理念を掲げ、福祉施設との連携も見据えた事業を始めたが、牧場経営は厳しく、計画は行き詰まった。
 そんなとき出会ったチクレンと1982年に提携を開始した。

竹田伸畜産販売課長 「北海道は酪農地帯。ちょうど、乳牛から生まれる雄牛と牧草地を生かした北海道ならではの肉牛生産を広げたいと思っていた時期でした。ただ、乳牛や牧草で育てた牛は霜降り肉には向かない。赤身肉を求める消費者との出会いはいいタイミングだったんです」と東谷さんは当時を振り返る。
 以来、生活クラブとチクレンはともに市場の評価とはちがう、独自の価値を表現する牛肉づくりをすすめてきた。チクレン畜産販売課長の竹田伸(しん)さんは言う。「チクレンの肉というよりは、生活クラブの牛肉なんですよ。互いに意見を出し合い、改善しながらいっしょにつくってきたんですから」
 各地の牛肉を食べ、味を研究してきた東谷さんと竹田さんは口をそろえて「好みもありますが、牛肉本来のうま味を味わうなら、断然、多少歯ごたえのある赤身肉です」。タレや脂の味でごまかされない本当の肉のおいしさを多くの人に知ってほしいと願う。

総菜もトレーサビリティー

消費材「ビーフカレー」の製造工程 トレーサビリティーという言葉が日本で一般に使われるようになったのは牛海綿状脳症(BSE)発生以後だ。だが、チクレンでは、もともとどこでどんなえさを与え、飼い方をしている牛かわからなければ納得できないという生活クラブの要請に沿って生産してきたため、トレーサビリティーは当初からあたりまえのことだった。

北海道チクレンミートでの加工惣菜の原料カット チクレンでは肥育やと畜・解体だけにとどまらず、総菜加工までと一貫している。協同会社である北海道チクレンミートがこれらの工程を担い、「ビーフカレー」「牛どんの具」など生活クラブの加工総菜品には、チクレンプログラムで健康に育てられた牛肉が使われる。 
 2011年の加工用牛肉における輸入の割合は92.6%(食肉協議会の食肉加工品等流通調査)。近年は、激安競争の中、増粘剤や植物性たんぱくの多用も問題点として指摘される。多少割高ではあるが、「特定原材料を使うことで得られる安心や品質の違いは明らかです」と竹田さん。
 肥育から加工まで一連の工程を貫くのは、いかに安心で健康な赤身肉を届けるかという思い。生活クラブとチクレンの原点にあるこの価値に、ヘルシー志向の時代がようやく追いつこうとしている。


これが牛肉本来のうま味 おいしい赤身肉の食べ方

北海道古平町の全景ヘルシー志向で赤身肉見直しの機運はみられるが、霜降り信仰は根強く、歯ごたえのある赤身肉のおいしさはなかなか伝わらない。そこで、牛肉本来のうま味が味わえる食べ方をチクレンの東谷隆幸さん、竹田伸さんに聞いた。

ステーキにチャレンジ!竹田さん直伝
おいしく焼くポイント


ポイント(1) 牛肉は冷蔵庫から出し、しばらくおいて常温に戻しておく。
ポイント(2) 塩、こしょうは焼いてから。せめて直前に。
ポイント(3) 火を通しすぎず、肉汁を逃さない。
ポイント(4) フライパンは鉄が最適。

ヒレステーキ
  1. 牛肉の脂身部分を切り取り、熱したフライパンにこすりつけ溶かす。
  2. 肉の片面を焼き、塩、こしょうする。
  3. 表面がツヤツヤとして肉汁がでてきたらひっくり返す。
  4. ひっくり返して塩、こしょうし、表面をさっと焼いたらいったん取り出す。
  5. 1~2分そのまま置くと肉汁が中に戻るので、その後-ロ大にカット。
  6. 再度、フライパンに戻し断面を軽く焼く。 (カットした際に焼き加減が十分と思ったらそのままでもOK。お好みで)
*ご家庭の調理器具、届いた肉の状態などによっても焼き方は変わります。肉の“顔”を見ながら、おいしい方法を自分で見つけるのがベスト、とは東谷さんのアドバイス。

赤身肉を軟らかく

赤身は本来、かみしめるとうま味が味わえるのでできれば食感も楽しんでほしいところ。それでも歯の丈夫でない人のために。

(1)部位を選ぶ
ヒレ、サーロイン、リブロース・ランプなどが比較的軟らかい部位。ステーキ、すき焼きなどで。カタ、バラも煮込めば軟らかく食べられる。

(2)マリネ
ダイコンやタマネギのすりおろしにつけてマリネする、塩麹(こうじ)につけるなどの方法も。ただ、これも肉の味が変わってしまうので赤身肉本来の味を味わうにはちょっと不向き。

牛肉をリーズナブルに

(1)加工総菜をリーズナブルにアレンジ
そのままだと少し割高に感じる総菜もひと手間加えれば立派な主菜に。良質の原料を使っているので、アレンジに最適。
 例)「牛どんの具」でひと工夫
  • ジャガイモといっしょに煮れば簡単肉じゃが。
  • ネギなどの野菜を増量して卵とじ。
  • 豆腐やしらたきを足して肉豆腐。
(2)おうちでつくろう!
牛丼が1杯300円の時代。でも家でつくればチクレンの牛肉を使っても300円。家族でたまにごちそうを食べるときも、外食せすに家で牛肉を囲めばずっとリーズナブル。健康で安心、おいしさも違う上、家族の会話もはずみます。

『生活と自治』2012年7月号の記事を転載しました。

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