栃木の牛乳生産者が独自の放射能対策に取り組んでいます
生活クラブの牛乳は独自の放射能検査によって、昨年4月後半以降、一日も放射性物質を検出することなく今日にいたっています。しかし、環境や農作物から放射能が検出され、報道されることがあります。栃木県北部の提携先である箒根酪農協同組合(以下、箒根酪農協)では、さらなる放射能対策を実施し、万全を期して消費者の不安を払拭しようとたたかっています。
一般に牛乳の放射能汚染の原因は、牛が食べる餌とそれを栽培する土であるといわれています。牛は草食動物で、飼料の多くは牧草類です。そこで箒根酪農協は今春、新生酪農(株)と千葉県の酪農家組織である新生酪農クラブとともに出資して放射能測定器を購入。この測定器を箒根酪農協内に設置して、牧草類とそれを栽培している土壌の自主検査をスタートさせました。
福島第一原発事故による被害は箒根酪農協の酪農家にも及んでいます。土壌については、表土と下部をひっくり返す「天地返し」などの除染対策を実施してきました。ただ、今年サンプル調査した土壌からは、放射性セシウムが検出されています。
一方の牧草類。牧草類には種をまいた後に数年にわたって収穫できる「永年性牧草」と、毎年種をまいて収穫する「単年性牧草類」があります。箒根酪農協では「永年性牧草」は、畑の除染対策を優先して今年は使わないことを決めました。
「単年性牧草類」については飼料として与えることを前提としました。というのは、栃木県のモニタリング検査の結果、「給与しても構わない」という判断が下されたからです。ただ箒根酪農協では、畑によって条件が異なることから、安全性をさらに確かなものにするために栃木県の給与前検査と並行し、全27戸の酪農家ごとに自主検査を実施しました。ほとんどは国の暫定許容値(100Bq/Kg)を下回る値ですが、放射性セシウムが検出される場合があります。
このため箒根酪農協は「単年性牧草類」について、1日あたりの給与上限を決め、カルテによる管理を始めました。「単年性牧草類」の不足分は輸入で補うことで、飼料から原乳への放射性セシウムの移行を抑えようというわけです。その結果、箒根酪農協から出荷される原乳からの放射性物質は「不検出」が続いています。
「単年性牧草類の数値が国の暫定許容値を下回っているとはいえ、牧草類から原乳への放射性物質の移行が心配です。そこで牧草類の放射性物質の量を細かく測り、原乳からのセシウム検出が『3ベクレル/kg以下』となるよう酪農家ごとに給餌量を決め、これを超えて与えないようにしたのです」(箒根酪農協・業務課長の山田勝己さん)。
原乳の放射能検査は新生酪農(株)が箒根酪農協内の測定器を使い、箒根酪農協の酪農家から集乳する全コース(4コース)ごとに週1回実施しています。牛乳の放射能検査はこれに加え、生活クラブが埼玉県の戸田DCで消費材の放射能検査を実施しています。こうした2重のチェックを経て、安心できる牛乳が届いているのです。
生活クラブのパスチャライズド牛乳を紹介した「消費材Navi」はコチラをご覧ください。