アジア脱原発社会に向けて共同宣言‐「2012年アジア姉妹会議」
2012年10月25~27日に韓国ソウルにおいて、2012年アジア姉妹会議が開催されました。生活クラブ連合会からは女性委員会メンバーを中心に総勢13人が参加、韓国女性民友会生協の組合員・生産者・女性や若者たち、共に参加した台湾主婦連盟生協メンバーたちとのさまざまな活動の報告と交流を通じ、3ヵ国それぞれの状況について理解を深め、アジアの仲間として共に運動をすすめる決意をあらたにする機会となりました。(2012年12月3日掲載)
協同組合の地域社会への貢献
今回の「アジア姉妹会議」は、2012年が国際協同組合年にちなんで協同組合第7原則の「地域社会への貢献」が全体テーマでした。25日に開かれた全体会では各国の報告に先立ち、ソウル市長からのビデオメッセージ、女性、青年、農民それぞれの活動団体から「協同組合に望むこと」についてアピールがありました。
韓国からは「女性民友会生協の地域社会への寄与」と題して学校給食条例の制定運動や食生活学校ネットワーク創立、単位生協でのさまざまな福祉活動について紹介。さらに2010年から始まった協同福祉基金「幸福の羽」事業について報告がありました。これは月額1000ウォンの募金をあつめ、子育て、高齢化への対応、女性の就労支援など地域社会の福祉活動を支援するしくみで、現在555人が参加する1180万ウォン(約90万円)の基金になっています。
日本からはふくしま単協の竹田京子理事が3・11震災後の福島の状況について報告しました。震災後から継続している「青空市」の活動やりんご農園の支援、放射能測定と甲状腺検査の情報開示、リフレッシュツアーなどの活動を報告するとともに「これからも福島を心にかけてほしい」と呼びかけました。
台湾からは生産者とともに開発から藻礁(Algal Reef)を守る運動、各店舗での子育て一時預かりやタイとミャンマー国境の子どもたちの支援、障がい者・高齢者支援の活動などについて報告がありました。
次いで、日本で起きた福島第一原発事故の経験をふまえ、これ以上原発事故を起こさないようアジアでの脱原発運動の推進と再生可能エネルギー、低エネルギー社会の実現を宣言する「いのちや地球環境に配慮した脱原発社会に向けた共同宣言」を三者で確認、文書に調印しました。※原文はコチラからご覧ください(PDFファイルが開きます)。
全体会の後、2つのテーマに分かれて活動報告と議論を深めました。また、26日は各国における協同組合法制度の報告と比較討論を行ないました。
- フクシマ以後、協同組合が模索するエネルギーの対案
分科会1では、原子力に頼らない代替エネルギーをテーマに女性民友会生協から脱原発の活動と省エネ生活材の取組み、生活クラブは埼玉単協の清水泉理事長から首都圏4単協の風力発電事業について、そして主婦連盟生協からは台湾の原発の状況と太陽光パネル設置の活動が紹介され、最後に脱原発宣言3か条を全員で復唱し、今後も運動をすすめていくことを誓いました。
- 女性消費者の参加でつくる健全な協同社会経済
分科会2では、組合員の参加と利用をすすめる方法について議論しました。女性民友会生協から「生産する消費者」としての生活材の改善・開発活動とこれを支える利用結集活動の紹介、とくに今年実施した「生協しましょうキャンペーン」の報告、生活クラブ都市生活の山田多美子理事長から個別配送組合員の参加を促す「14000人のほっとコミュニケーション」活動の報告、主婦連盟生協から「食の安全を守る」と題して国産の小麦や大豆を利用し、食料自給率を高めるなどの活動が共有されました。
- アジア3ヵ国の協同組合法制度の比較討論会
比較討論では、韓国から今年12月から施行される「協同組合基本法」に関する報告、日本は2013年に予定されている生協法の改正とそれに対する生活クラブの意見、台湾から協同組合法改正について報告がありました。多くの質疑がなされましたが、法制度については各国の違いも大きく、理解を深めていくにはさらに時間がかかりそうです。
アジア姉妹会議は1999年の三者姉妹提携以降、3ヵ国持ち回りで毎年開催し、今回で8回目を迎えました。この間の活動の成果により、それぞれ組合員数も増え、より多様な活動について交流報告する場になっています。そして日々の活動を海外の志を同じくする仲間と共有することで、さらに視野の広い活動ができるようになっています。2013年は日本で交流会を開催する予定です。