復興庁の被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)に対して意見を提出しました
生活クラブ連合会は9月17日の理事会で政府へ提出する意見を決定し、復興庁に提出しました。8月30日に復興庁が発表した「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)」は、2012年6月に全会一致で国会を通過した「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下、「支援法」)を実施するためのものです。
この法律は、放射性物質が広く拡散していること、放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていないことを踏まえ、一定の線量以上の放射線被ばくが予想される「支援対象地域」からの避難、居住、帰還といった選択を、被災者が自らの意思によって行うことができるよう、国が責任をもって支援しなければならないと定めています。また、健康被害の未然防止の観点から、定期的な健康診断や、医療費の減免に関する規定が盛り込まれています。
しかし「支援法」を実施のためのものであるはずの基本方針案は、法律の目的や理念とは程遠いものです。生活クラブ連合会の意見の全文は次のとおりです。
2013年9月20日
・「支援法」第5条3には、基本方針を策定する際、政府はあらかじめ、「その内容に東京電力原子力事故の影響を受けた地域の住民、当該地域から避難している者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする」と書かれています。しかし、この基本方針案が発表されるまで、公聴会などは開かれていません。この方針案は、「支援法」違反です。
・「支援法」では、「支援対象地域」を「その地域における放射線量が政府による避難に係る指示が行われるべき基準を下回っているが一定の基準以上である地域」と線量によって定めることとしています(第8条)。しかし、基本方針案に書かれた支援対象地域は、「福島県中通り及び浜通りの市町村(避難指示区域等を除く)」とされており、線量にもとづくものとは言えないうえ、あまりに対象が狭すぎます。福島県全域と少なくとも追加被ばく線量1mSv以上の幅広い支援対象地域を設定し、この地域の人たちの自己決定(避難する場合もその場にとどまる場合も)に応じた十分な支援をしてください。
・支援法を実施・推進するため、被害当事者や支援者を中心とした様々な主体の意見を反映させる常設機関を設置してください。
・福島県内、および県外についても、国が責任をもって、幅広い専門家や当事者の参加を得た上で、健康管理体制を構築してください。
以上