NON-GMトウモロコシの供給継続を米国関係者と確認
「遺伝子組み換え(GM)作物、食品は基本的に扱わない」ことを基本方針とする生活クラブは、9月18日~29日にかけて米国に代表団を派遣し、遺伝子組み換えではない(NON-GM)トウモロコシの種子を生産する会社などと協議を行ないました。その結果、NON-GMトウモロコシを2022年まで日本に供給する基本合意を得ることができました。(2013年12月11日掲載)
NON-GMO政策をあらためて堅持
トウモロコシは家畜の飼料の主原料で、ほぼ全量が輸入されています。ところが世界では遺伝子組み換え(GM)トウモロコシの生産が進み、主産地の米国では栽培面積のうち90%がGMトウモロコシとなっています(2013年)。
一方、生活クラブのGM作物や食品を扱わない方針は家畜の飼料までおよび、JA全農グループと連携して米国からNON-GM(遺伝子組み換えでない)トウモロコシを指定して輸入してきました。この間、NON-GMトウモロコシの種子を生産するパイオニア社と2015年までの種子開発を全農とともに取り決めてきましたが、その後のNON-GM種子開発の継続について協議する必要がありました。
代表団派遣に先立ち、生活クラブは6月から8月にかけて連合会総会や連合理事会、各地に32ある生活クラブの理事会で、あらためてNON-GMトウモロコシの取組み方針について討議を行ないました。それは今後もNON-GM種子の開発を要請することは、とりもなおさずNON-GMトウモロコシを給餌した食肉などの消費責任をもつことになるからです。
生活クラブの総意をもって「NON-GMO政策を堅持する」ことを確認し、その方針をもとに訪米した代表団は、イリノイ州にあるパイオニア社を訪問。2016年~2020年までのNON-GMトウモロコシの種子開発を要請しました。
この要請に対しパイオニア社のダニエル・ジョーンズ博士は、「生活クラブの取組方針を支持するとともに、NON-GMトウモロコシ種子の需要が維持されるのであればパイオニア社はJA全農グループとともに持続的な種子の生産・供給に取り組んでいきたい」と答えました。
2020年までの種子開発の合意は、収穫され日本で家畜飼料となるNON-GMトウモロコシが2022年まで確保できたことを意味します。代表団の一員の増田和美さん(副連合消費委員長/生活クラブ東京・副理事長)は、「今回のミッションをクリアできたことでホッとするとともに、NON-GMO政策の継続性には利用する人を増やすこと、NON-GMOを選択するマーケットを広げることは私たちに課せられた大きな役割と受け取りました」と振り返ります。
米国でもGMO表示を求める動きが
パイオニア社からは日本でNON-GMトウモロコシの需要が低下していることへの不安の声も聞かれ、生活クラブだけでなく国内の食品加工業者がNON-GMトウモロコシを利用するよう活動を広げることが重要です。
代表団はNON-GMトウモロコシの栽培農家を確保し、分別して集荷する業務を担うCGB社とも協議を行ないました。そして、グレグリー・ベック副社長から「CGB社はNON-GMトウモロコシの需要が持続する限り、全農グループとして供給を継続していきたい」との回答を得ることができました。
CGB社との協議やNON-GMトウモロコシの分別管理の点検、農家との交流を代表団は行なうとともに、飼料原料としているNON-GM大豆かすや牧草(アルファルファヘイ)の視察を行ないました。NON-GM大豆かすは工場で2カ月に1回だけつくられる希少な飼料原料であること、牧草では遺伝子組み換え検査でGM混入比率が分かりづらいことなどを知ることができました。
代表団の元木知子さん(連合消費委員/湘南生活クラブ常務理事)は、「エサまでNON-GMOは運動性を示す観念的なものではなく、食べるチカラによって獲得しうるもの」だと再確認できたと述べています。
11月にはワシントン州で、すべての農畜産物にGMOかNON-GMOを表示する議案の州民投票が実施されるなど、米国内でもGMO表示を求める動きが出ています。それに対し食品業界では莫大な予算を使い、否決に向けたキャンペーンを展開している状況も聞き取りました。牧草の集荷販売を担う全農ヘイ(株)のジョン・ハース副社長は「アメリカでは所得の格差が情報の格差になり、消費者が正しい選択ができなくなってきている」と問題を指摘しています。
生活クラブでは今後、パイオニア社およびCGB社からの回答を踏まえ、NON-GMトウモロコシの需要拡大に向け、以下の活動に取り組んでいきます。
- 生活クラブ畜産物の利用結集
- 提携生産者、消費団体、食品加工業者にNON-GMトウモロコシの使用を呼び掛けていく。
- トウモロコシ以外の飼料原料に対する対応方針の検討
- GMO表示に関するアメリカ国内の動きと連携し、GMO表示を求める国際連帯の推進