すべては「味力」のある食のために(三浦 千代さん)
丸善食品工業(株)は1962年の創業以来、自然素材にこだわり、鶏や豚、牛などのオイル・エキス・ブイヨンなどの研究開発を続けてきました。本社は東京、生産拠点は山形県鶴岡市にあり、スープ、ブイヨン、カレールウなどと業務用の食品原料の製造を行なっています。目指しているのは、人のカラダにやさしく、本当に安心できる魅力ある味=「味力」です。
私たちが毎日のように使っている「いただきます」という言葉。それは、「さまざまなものが持つ命や力を、私の命にかえさせて“いただきます”」という意味です。素材の持つ命や力を隅々まで無駄なく大切に使い、その美味しさを最大限に引き出していきたいと考えています。また、同じ思いから、ブイヨン抽出後の廃棄物をさらに処理し、栄養価の高い肥料原料に変える「循環」を意識した、エコロジーな事業も行なっています。
月島食品工業より製造を引き継ぎ、そして3年がかりのリニューアルへ
当社がカレールウの製造を開始してから早11年が経過します。2002年に業務用・家庭用マーガリンなどを主に製造している月島食品工業(株)と縁があり、生活クラブ向けのカレールウの事業を引き継ぐことになりました。カレールウの製造に関わるのは初めてでしたので、正式移行の前に、製造のノウハウを取得するべく、当社の社員1名が数カ月間、研修させていただきました。今でも月島食品工(株)には大変お世話になっております。
翌年の2003年には「みんなでTRY!消費材開発」の取り組みを行ないました。容量を100gから120gに増量することと、味のリニューアルがテーマでした。月島食品工業(株)から引き継いだカレールウはごま油を使うなど和のテイストがあるものでした。それを牛・鶏のうまみを生かした現在のような味にかえたのですが、このリニューアルのために会合が20回、40種の試作品をつくり、17回の試食が重ねられました。あれから10年経ちますが、今でも鮮明に覚えています。ひとつの消費材に力を注ぐ組合員や連合会の皆さんの姿は本当に素晴らしいものでした。このカレールウには、3年間というこだわりの時間と、組合員の皆さんの声がたくさん詰まっています。
市販品との違いは、原料へのこだわり
カレールウの原料にはこだわりがあります。
生活クラブの提携生産者でもある前田食品(株)の国産小麦をメインに使用し、(株)北海道チクレン農業協同組合のビーフエキス、天野実業(株)の粉末鶏がらだし、(株)スリーエイトの純粋はちみつ、タイヘイ(株)のウスターソースなど、生活クラブの提携生産者の製品を使用しています。もちろんうまみ調味料は使用しておりません。カレールウのコクとうまみは、このような厳選された素材から生まれたものです。
以前、交流会に参加した際に、組合員の方に「生活クラブのカレールウは胸焼けしないカレーだね」とおっしゃっていただいたことがあります。よい原料にこだわり、添加物を使わずに作り続けてきた結果だと自負しております。
日々、進化し続ける努力
リニューアル後は、やっと完成したとゆっくりした気持ちでした。しかし、交流会に参加し、いろいろな意見やアドバイスを聞いているうちに、もっとよい商品を作っていきたいという気持ちになりました。
以前、ルウのトレーフィルムを開ける際ははさみや包丁を使っていました。手間がかかり、また、刃物で手を切る危険性もあったかと思います。私は簡単に開けられるイージーオープン式*に改善したいと切に思い始めました。
当時は、固形ルウの製造に携わること自体が初めてでしたし、トレー包材の改良の知識もなかったため、いろいろと試行錯誤を繰り返していました。いちどは費用や機械構造の面から断念したこともありました。しかし、毎年、交流会でふれあう組合員の皆さんの期待に応えたいという想い、そして、少しでも多くの方々に安心・安全なカレーを召し上がっていただきたいという想いから、もういちど取り組むことにしました。そして、包材メーカーからの助けもお借りし、2010年にやっと実現することができました。組合員の皆さんに開けやすいと喜んでいただけたのが、とても嬉しかったです。さらに、2013年からは徐々にですが、ルウを入れる箱を折りたたみ式タイプからワンタッチ式タイプ**へ改良し始めています。これで箱から取り出すとき、底が抜けて中のルウが落ちてしまう心配もなくなります。
これからも「消費材の向こうに組合員の皆さんの顔が見える」ことを自覚し、丸善食品工業は社員一丸となって「魅力ある味・品質=味力」、そして安全・安心をお届けできるよう力を注いで参ります。
これからも末永くご愛顧いただきますよう、何卒よろしくお願い致します。
*フィルムの粘着剤がついていない部分をつまんで開けやすくしたもの。
**箱の底の一部を貼りつけて、重いものを入れても底が抜けないようにしたもの。
(2013年12月掲載)
※掲載時期によりパッケージが現在のものと異なる場合があります