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遺伝子組み換え技術の現状を知る

生活クラブは遺伝子組み換え(GM)作物に反対するとともに、「種の自主管理」に向けた取組みを進めています。「種子農法検討会議」は2013年11月29日、GM技術の最新情勢と同会議が指定品種としている長ねぎの品種「あじぱわー」の特性を学ぶ集いを、連合青果部会のメンバーと生産者らが参加して行ないました。(2013年12月27日掲載)

進むGM作物の開発

GM技術の懸念を払拭するために「コミュニケーションが大切」と強調する田部井豊さん 青果物の種子は大手種苗メーカーによる寡占化が進んでおり、ほとんどの種子を購入しなければならない時代になってきました。またトウモロコシや大豆に限らずコメなどについても、遺伝子組み換え技術(以下GM技術)を用いた品種の開発が進められています。この流れが加速した場合、生産者が種子を選択し持続可能な農業を続けることができなくなる恐れがあります。
 このため「種子農法検討会議」は、自家採種が可能な固定種や在来種の調査研究を通して種子の自主管理のあり方を検討しています。今回の学習会は、GM技術の最新情勢を把握するために実施しました。
 GM技術について講演したのは、(独)農業生物資源研究所遺伝子組換え研究推進室(茨城県つくば市)の田部井豊さん。同推進室はGM作物の研究開発を行なっており、2007年にイネの複数の病気に耐病性のある遺伝子を発見。2012年からこれらの遺伝子を組み込んだ耐病性のある飼料用イネの野外試験栽培を始めました。このほか血圧調整米、スギ花粉症治療イネなどを研究開発しています。
 田部井さんは講演で、GM技術の利用状況と安全性評価などについて説明しました。それによると現在、トウモロコシ、ダイズ、ナタネ、ワタ、アルファルファ、ジャガイモのほかにも、GM技術を利用したウイルス抵抗性のカボチャやピーマン、日持ち性を改良したメロンなどが海外で実用化されています。コメについてはGM技術を用いてビタミンAを増強した「ゴールデンライス」(フィリピン・国際イネ研究所が開発)の第2世代の開発が進み、2014年には市場に出回ることが予定されています。
 GM技術について田部井さんは、その長所として全生物の遺伝子を利用できること、新しい性質のみを付与できることをあげました。一方、短所としてGM作物をつくるために使える有用遺伝子が多くはないこと、詳細な安全性評価が求められているために開発費用と時間がかかること、さらにGM作物に対する懸念がある点をあげました。

「種の主権」は渡さない

あじぱわーの品種特性を説明する東野裕広さん GM技術の最新情報の学習の後は、種子農法検討会議が指定品種として栽培をすすめる長ねぎの品種「あじぱわー」の説明がありました。あじぱわーは強健で栽培が容易のほか、白根が柔らかくて味の良い品種として開発されました。
 しかし、あじぱわーを栽培する生活クラブの提携生産者では、自家採種までには至っていません。会議では「栽培で苦労している」との意見が出されました。それについてJA全農営農・技術センターの東野裕広さんは「あじぱわーは高温に弱い一方、低温で育つ特性があるので秋からぐんぐん伸びてきます。この時期にうまく施肥してください」とアドバイスしました。
 種子農法検討会議ではGM作物の開発が広がるなかで、「種の主権は渡さない」を目的に自家採種可能な品種の実験栽培に取り組んできました。会議は今後も「種の自主コントロール」と「生活クラブのこだわりの農産物づくり」を進めることをあらためて確認しました。

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