阻止ネットフォーラム「六ヶ所再処理工場と核のゴミ問題を考える」を開催
東京都内で12月1日、阻止ネット(*)フォーラム「六ヶ所再処理工場と核のゴミ問題を考える」が開催され、100名が参加しました。福島第一原子力発電所の事故後もなお、核のゴミを押し付けられている六ヶ所村。六ヶ所の現状を共有し、原子力市民委員会が作成をめざす脱原子力政策大綱をヒントに、原発のない未来への道筋について考えました。*阻止ネット:「六ヶ所再処理工場」に反対し放射能汚染を阻止する全国ネットワーク(2013年12月27日掲載)
映画「福島 六ヶ所 未来への伝言」の上映
この日のフォーラムは、第一部の映画上映と第二部の講演会から構成されていました。第一部では映画「福島 六ヶ所 未来への伝言」が上映されました。この映画は、核燃施設が建設された青森県六ヶ所村と原発事故後の福島をテーマにしたドキュメンタリーで、写真家の島田恵さんが初監督をしています。参加者からは、「農業・漁業・子ども達への取り返しのつかない現実に泣いてしまいました」「今の自分に一体何が出来るのか考えさせられました」「原発のある福島以外の地域の人達にこの映画を是非ともみて、他人事と思わず、目先の経済効果を追うのではなく、ずっと先の将来の人達の生存権を守るためにも、特に原発設置の地方自治体の人々に必ず見て欲しい」など多くの感想が寄せられ、「自分の地域でも上映会をしたい」という声もあちこちで聞かれました。
三陸の海を放射能から守れ!
午後の講演会「六ヶ所再処理工場と核のゴミ問題を考える」の冒頭では、檀上に上がった重茂漁業協同組合の北田敦夫さんから阻止ネットへの連帯のメッセージがありました。続いて「三陸の海を放射能から守る岩手の会」世話人の永田文夫さんは、講演「再処理工場(東海、六ヶ所)の大事故を防ぐために」で「再処理工場のアクティブ試験では、大量の放射能が放出されました。本格稼働が始まれば、もっと大量の放射能が放出されます」と語りました。
脱原発政策大綱の中間報告から
二人目の講演者は、原子力資料情報室の伴英幸さん。脱原発社会に向けた市民のシンクタンクである「原子力市民委員会」は、「脱原子力政策大綱」を2014 年3 月までに作成する予定です。これに盛り込まれる主要な論点をまとめた「原発ゼロ社会への道―新しい公論形成のための中間報告」を10月12日に発表しました。伴さんは脱原子力政策大綱をまとめるにあたって「核廃棄物管理・処理部会」のコーディネーターを務めており、中間報告では「再処理から撤退」し、「プルトニウムは廃棄物とすること」、そして「六ヶ所再処理工場、東海再処理施設は廃止措置をとり、現在まで発生した高レベル放射性廃棄物は固化の上、処理方法が定まるまで貯蔵・管理を行う」ことを提案しています。
「中間報告の意見交換を各地で開催しており、声がかかればどこへでも話しに行きます」(伴さん)と、3月の最終報告に向けて活発な議論が繰り返されています。
原発に頼らない、再処理のいらない未来に向けて「阻止ネット活動宣言」
阻止ネットは、核燃料サイクルと再処理事業、そして原子力発電を含めた国のエネルギー政策全体の転換を求め、すべての原発を廃炉にすることを求めて活動しています。集会の最後には2014年度の活動にむけて、「すべての国会議員・地方議員・首長・そしてそれらの立候補予定者たち一人ひとりと、その所属政党等で区別することなく、ていねいな対話と話し合いを繰り返す」ことを柱とする「阻止ネット活動宣言」を採択しました。
集会参加者からのアンケートには、「まだまだ分からない事だらけなのですが、こういった機会に学ばせていただく度に、とても怖くなります。しかし、きちんとした情報を得て、きちんと怖がっていかなければならないと強く感じました」「子を持つ親として、いま何をすべきか、改めて考える機会となりました」など、厳しい現実を目の当たりにしながら、今後の行動に向けた力強い言葉が多く書かれていました。
生活クラブ京都エルコープの柳澤とよ子さんは、集会を終えて次のように話しました。「六ヶ所をかつて訪れた時のことを思い出しています。六ヶ所に運び込まれた核のゴミが、再処理によっていっそう深刻なゴミにすることには反対。原発の地元が原発依存から抜け出すのも重要ですが、私たち消費者こそ、原発の電気に依存しない自立した生活への舵をきるべきです。」