自給率は5~7%。いまや貴重な国内産はちみつを生産しています(木村 眞實さん)
みつばちの独り言
住みにくい世の中になりましたなあ。人間社会はアベノミクスだとか、株価がどうとか言っていますが、しょせん人間社会に都合よく、自分さえよければよいというふうにしか見えませんねぇ。私たち蜜蜂を取り巻く環境はどんどん悪くなる一方です。
近頃、世界で私たちの仲間がいなくなって問題になっているようですが、人間が経済効率のみを追い求めているから当たり前です。
そもそも私たち蜜蜂が太古の昔から生き長らえてきたのは、自然に順応してきたからです。今の人間がやっていることはどうもその自然との順応ではなくて、自然を壊しているようにしか思えないんですけど。
この2、3年で仲間が急にいなくなったり、早く死ぬようになった気がします。私たちの親方に言わすと、いろいろ原因があるようだけれども、新しい農薬のせいらしい。その農薬は私たちの神経を麻痺させ、帰巣能力を阻害するようです。他にも携帯電話の電波も問題のようです。
今の私たちは長い間かけて、人間の都合がよいように、おとなしく蜜を集めるように飼い慣らされてきました。農業のお手伝いで虫のいないハウスの中に放されて、イチゴやスイカなどのくだもの、トマトやキュウリなどの野菜の花粉交配も努め、経済効果だけでも7000億円もの収益を上げています。 有名な物理学者のアインシュタイン博士が予言の中で、「蜂がいなくなったら、人類は4年以内に滅びる。植物が実らなくなるから」と言ったとか、言わなかったとか。もう少し私たちのことも考えてもらいたいものです。
明治時代から長野県で養蜂業を営んでいます
さて、当社、(株)スリーエイトは明治の後期に先々代が長野県大町にて蜜蜂を飼いはじめました。1949年に先代が東京に販売所を設け、現在に至っております。
国産純粋はちみつ(アカシア、マロニエ、サクラ、リンゴ他)は、当社養蜂部と長野県在住の提携生産者十数名とともに生産しております。冬は暖かい三重県尾鷲(おわせ)市、東京町田市(生活クラブのほうれん草の提携生産者・森政男さんの畑)にて越冬し、4~5月にミカン、サクラの採蜜を行ない、5月下旬に長野県安曇野の地に戻り、リンゴ、アカシア、マロニエ、菩提樹、ソバなどから採蜜します。11月、12月にまた尾鷲、町田に移動します。
すべての養蜂家に養蜂記録を記入していただき、それにもとづき、養蜂家ごと、採蜜回数ごとに、はちみつの残留農薬、残留抗生物質、感応検査(色・香り・味・糖度)を行ないます。また、年に1回、はちみつの種類ごとに放射能や品質の検査を行なっています。互いに養蜂や環境についての情報を交換しながら、品質の向上に努めています。
国産はちみつは、昭和40年代には8,500トンからの生産量がありましたが、現在では2,400トン前後で、自給率は5~7%しかありません。
採蜜作業には夢都里路(ゆとりろ)くらぶの協力も得て
また、日本の一次産業と同様、生産者の高齢化で労働力の確保に悩んでおりましたが、7年ほど前から夢都里路(ゆとりろ)くらぶ(生活クラブの組合員による援農・就業活動)に登録したところ、たくさんの方々に応募をいただき、採蜜作業に参加していただいています。
参加される方々は高い労働意識を持って意欲的に取り組み、生産者と同様の労働を自らに課しておられます。はちみつの採蜜というと「暑い・刺されて痛い・道具が重い」ときつい仕事ですが、皆さん、頑張っていただいています。提携生産者ともども感謝しております。また、生産現場でともに作業することにより、生産者と組合員の意識の共有にもなっています。
国産のはちみつ以外にも、アルゼンチン産、オーストラリア産のはちみつも提供しています。両国ともすべてトレーサビリティが撤底しており、生産者確認ができます。また、蜂産品として生ローヤルゼリー(台湾産)、プロポリス抽出液(原塊:ブラジル産)を提供させていただいております。すべて原産国に出向いて、養蜂家の生産現場を確認。同じ養蜂家同志、意識を共有しています。
生活クラブとの提携は、1974年に(株)マルモ青木味噌醤油醸造場の青木意吉氏のご紹介で、当時の岩根邦夫理事長にお会いしてから始まりました。今後も組合員と顔の見える関係を続けていきたいと思っております。
(2014年4月掲載)
※掲載時期によりパッケージが現在のものと異なる場合があります