六ヶ所村で見た核燃料サイクルの現状
生活クラブは阻止ネット(*)に参加し、六ヶ所再処理工場の稼働を止めるための活動を全国の団体と協力してすすめています。5月9日から11日の3日間、生活クラブからの11人を含む22人で六ヶ所村を訪れ、再処理工場を操業する日本原燃の話や青森県のモニタリングについて聞き、現地で核燃料サイクルに反対する方々と交流しました。
(*)「六ヶ所再処理工場」に反対し放射能汚染を阻止する全国ネットワーク
六ヶ所村で反対を続ける人々との出会い
今回の六ヶ所ツアーは、「核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団」事務局長の山田清彦さんに案内いただき、基地の町三沢から放射性廃棄物の再処理工場がある六ヶ所村、20基もの原子力発電所の建設が計画されている東通原子力発電所までの下北半島をバスで北上しました。
この地域では、原発関連施設の用地買収や三沢基地の騒音問題のために、多くの住民が自分の開墾した土地や生活を支えた漁場から集団移転を迫られてきました。
「山田清彦さんが案内してくださって、下北半島が核の半島になっていった経過がよくわかりました」とツアーに参加した生活クラブ千葉理事長の木村庸子さんは言います。
そのような中、「花とハーブの里」の菊川慶子さんは、両親の開墾した六ヶ所の農地に残り、再処理に反対し続ける数少ない村民の一人です。3年前までは、チューリップ祭りを毎年開催していた菊川さんですが、その後、大病を患い、いまは「村に仕事を作りたい」とルバーブとその加工品づくりを中心に暮しています。
「菊川さんのように六ヶ所村で反対している村民がいるからこそ、私たちが活動できます」と木村さん。菊川さんが「みんなでそれぞれが自分のできることをやっていっこうね」と日本各地から集まったツアー参加者に静かに語りかけた言葉が、皆の心に響きました。
生活クラブ愛知の寺島明美さんは、初めて訪れた六ヶ所再処理工場について「一番驚いたのは、周辺はもともと湿原で、山からの土で埋め立てた所にあることです。もし、震源が近く大きな地震があれば脆弱な地盤は、あの巨大で危険な建造物を支えられるのか?と、背筋が凍る思いだった」とツアーを振り返ります。「これ以上核のゴミを出さないように私達は原発の廃炉に向けて頑張らなければと強く感じたツアーでした」(寺島さん)。
東通原発(青森県)と女川原発(宮城県)にはさまれた生活クラブ岩手から参加した佐藤直子さんは、2012年に取り組んだ「岩手県民の命と暮らしを守るための請願」の成果をツアー参加者たちに報告しました。「請願が採択された結果、『岩手県地域防災計画・原子力災害対策編』が作られました」と佐藤さん。「知事を通じて東北電力と日本原燃に事故の際の情報提供を要請し、協定の締結につながりました。」
5月21日には阻止ネット院内集会開催
六ヶ所ツアーの参加メンバーは、それぞれが感じた課題を地域に持ち帰ることになりました。「地元で頑張っている皆さんには貴重な時間を割いていただいて本当に感謝しています。共に連携して国の政策転換をしていきたい。」(寺島さん)
阻止ネットは5月21日、衆議院第一議員会館の多目的ホールで「『核燃料サイクル』の現実から『エネルギー基本計画』を検証するシンポジウム」を開催し、ジャーナリストの鎌田慧さんと原子力資料情報室の伴さんのお話を聞き、今回の六ヶ所ツアーについても報告します。それらを受けて、資源エネルギー庁と原子力規制委員会と意見交換します。
*5月21日「阻止ネット脱原発フォーラム(院内集会) 」について詳しくはコチラから