生活クラブ検査室の視察レポート
生活クラブは独自に「検査室」を持ち、消費材として配達する青果物中の残留農薬、加工食品中の微生物、畜肉に含まれる合成抗菌剤の測定、遺伝子組み換え検査を実施しています。
また検査室とは別に飯能DC(デリバリーセンター)、戸田DCに「放射能検査室」を持ち、消費材の放射能検査を行なっています。
今回は生活クラブ連合会の川上職員が、この生活クラブ検査室を見学した際のレポートをご紹介します。
こんにちは。生活クラブ連合会職員の川上です。
研修の一環として生活クラブ検査室を見学しました。その様子をレポートします。
もともと生活クラブでは、「消費材は生産者と組合員が直接提携する関係性の中で供給されているもの」という原則論から検査は不要、という考え方がありました。しかし、生産者が気づかない原因で問題が発生することもあるため、「組合員の目を補強する」という意味で1989年に検査室が設立されました。
当初は新生酪農(株)(千葉県長生郡睦沢町)の牛乳工場の一部を間借りして、工場職員3人が兼任で消費材の検査を行なっていました。現在は検査室は生活クラブ大宮センターの2階に検査室が置かれ、5人の専従職員が検査業務にあたっています。
当日は、残留農薬検査と微生物検査を実施していました。
2013年度の検査状況理化学検査
残留農薬検査
生活クラブの青果は、残留農薬が国の基準の10分の1以下であることを目標としています。残留農薬検査は1検体につき、約300種類(成分)の農薬について調べています。生産者の努力もあり、ほとんどが不検出です。
微生物検査
生産者も自主的な検査を行なっていますが、それでは発見することのできなかった問題にも対応できるように検査室では消費材として供給している「物流品」の検査を行なっています。検査項目は一般生菌数や大腸菌群、大腸菌(E.Coli)、腸炎ビブリオ菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌などです。
検査室の見学を通して…
生活クラブ連合会検査室を見学して感じたことは、一つひとつの作業が簡単ではないということです。これは残留農薬検査(理化学検査)と微生物検査に共通しており、サンプルひとつ採取する場合でも他から移染をしないように気をつけながら注意深く作業を進めます。細かい作業の連続で、神経を使う場面が多くありました。
加工法や保存技術の進歩に伴い、より加工度の高い食品が流通するようになりました。加工・製造・物流・保管の過程がより複雑になるにつれて、トレースが難しくなったり、微生物等による食品汚染の危険性も高まります。こうした現代の食品事情に柔軟に対応するためには、確実な品質管理を行なわなければなりません。
より安全で確かな品質の消費材を組合員へ届けるために生活クラブ連合会検査室は、日々の検査業務を通じて食品に関するさまざまなことに目を配る“監視役”という、重要な役割を担っています。
今回の見学で、食品の安全性について評価する際に必要になる食品検査の重要性を再確認するとともに、その必要性についても理解を深めることができました。また、このような重要な役割を陰で担っている検査室について、より多くの組合員に認知してもらいたいと感じました。