総勢66名で山形の生産者に会いに!第41回庄内交流会
生活クラブの生産者との交流会で最大規模となる生活クラブ「庄内交流会」。41回目となる今年度は、Aコース7月21日(月)~24日(木)、Bコース7月22日(火)~24日(木)の日程で開催しました。参加したのは組合員代表と職員の総勢66名。山形県の生産者が連携して実践する「食の自給力向上の取組み」「地域循環型農業」「地域内農工連携」や、主要品目である「米」「豚肉」「青果物」を中心とした生産状況を確かめ、日々の共同購入とどのように結びついているかの理解を深めてきました。ほんの一部ですが、視察した内容をご紹介します。(2014年8月20日掲載)
『田んぼを守る飼料米、食べる保障で続く探究心』JA庄内みどり遊佐支店
「一生懸命作って売って赤字だから補助金なしではやれません。」
遊YOU米(ゆうゆうまい)の生産者であるJA庄内みどり遊佐支店共同開発米部会副会長の尾形長輝さんの本音です。それでも作り続ける意思は、田んぼを田んぼとして守る心意気とその価値をわかっている先駆者だからこそ。「コメ余り」による国や県の減反指針に真正直に対応する遊佐の生産者は、飼料向けのコメづくりや輸出米の可能性追求などに余念がありません。
無農薬米もしかり。組合員との意見交換会の場で出た「本当に無農薬で作れるのか?」との質問には、「愛情以外は添加していません」と笑顔で答えてくれました。
また、循環型農業だけでは生産の継続性は成り立ちません。共同開発米部会では「執行部は30歳代を中心に組織できました」と、きちんと作り手の代替わりを果たしました。そして、生活クラブの組合員へは「皆さんも次の世代にバトンタッチして下さい。」とエールを送られました。
遊佐の水田は桁違いに広く、見渡す限りの緑じゅうたんはとても美しい景色でした。
『育つ環境・肥育期間・餌が違う!豚、目指したのは一頭買い』(株)平田牧場
生活クラブで取組む豚肉『こめ育ち豚』は飼料用米を与えた肥育豚です。飼料用米を与えた分、トウモロコシを減らします。平田牧場の豚肉は、一般でも「おいしい」と言われますが、そのおいしさはあくまで副産物。この取組みの第一人者である平田牧場はもっと壮大な思いで生産してきました。
日本の食料自給率は、先進諸国中最低で40%を下回りました(*)。トウモロコシなどの穀物飼料のほとんどは海外に依存しています。一方、日本の水田は、米の消費減少により休耕田や転作田が増えています。水田だった土地には他の作物を作ることが難しいため農家は収入も減り、また、荒れた遊休農地は、害虫の巣にもなって地域の環境悪化を招いています。そのため農業はさらに衰退し、食料自給率の低下に歯止めがかからない状態になっているのです。
「おいしいと喜んで食べてくれて生活の成り立つ事業は幸せです。」と社長。「口に入るものだから手を抜くな。」との会長の姿勢を受け継ぎます。
(*)2013年度の食料自給率は39%(カロリーベース)
『最初の取り組みはポークウインナー』(株)平牧工房
生活クラブのハム・ソーセージなどの「加工肉」は、一般ではあまり見られない「無添加」のものです。その生命線とも言える良質な原料肉は、平田牧場で安全に品質管理された豚肉を使用しています。副原料は自然だし(ポーク・カツオ・コンブなど)をベースに、化学合成食品添加物に頼らない、豚肉本来の旨味・結着・食感を最大限に引き出す材です。
工場内だけでなく建物内すべてが清潔で、従業員も非常に礼儀正しく、ここなら無添加の加工肉を作れるのも納得です。
「安心・安全なりんごとトマトづくり」JAさがえ西村山大江営農生活センター
市場では価値のない見た目の悪いりんご、でも食べるとおいしい。大江町りんご部会では、自然の立地条件と施肥を工夫した栽培技術によって味の良い、しかも農薬の散布回数を最大限削除した安心・安全なりんご作りに取組んでいます。
大江町はりんごの他、トマトの取組みも盛んです。トマトは農薬なしでつくることが難しい作物です。市場にあふれるトマトの薬漬けをわかっているからこそ、少しでも少ない散布で多くの人においしいトマトを届けたいという思いで生産しています。新規就農にも意欲的に取り組み、トマト部会は当初3名から11名になりました。
『赤かぶを中心とした輪作農業で荒廃地を守る』(有)月山農場
鶴岡市羽黒地区の膨大な国営地の一部を譲り受け、何とか土地を荒廃させないように農業を続けている希少な産地です。もともと開拓地のため土地条件は悪いものの何とか在来種の赤かぶを作付け、漬物の原料として出荷できる産地になりました。年2回播種~収穫を行う赤かぶを中心にした畑のローテーションでは、枝豆・馬鈴薯・そば・加工用トマトなどを栽培しています。
「作り続けるために一緒に考え食べてくれるパートナーをさがしています。」問いかけるように斉藤氏(説明担当)は語ります。「農業は文化。だんだん食べ方がわがままになってきたようだけれども、みんなの知恵と工夫で上手に食べていきましょう。」
一年に一度の視察では、訪れる顔ぶれは変わりますが、出向く方も出迎えてくださる生産者も、まるで旧知の仲のようなふれあいを実感できます。お互いに何も隠さない。この、作り手(生産者)と食べ手(組合員)の信頼関係は生活クラブならでは。一気に時間も距離も縮まり、国内農業の明日を真剣に語り合った数日間でした。
最後に、視察に協力いただいた山形県の生産者を紹介します。(あいうえお順)
- 月山トラヤワイナリー
- (有)月山農場
- (有)月山パイロットファーム
- JAさがえ西村山大江営農生活センター(旧;大江町農協)
- JA庄内みどり遊佐支店+女性部せっけんミニプラント(旧;遊佐町農協)
- (資)杉勇蕨岡酒造場
- 鈴木食品製造(株)
- 羽黒・のうきょう食品加工(有)
- (株)平田牧場
- (株)平牧工房+羊腸加工所「NORIコーポレーション」