2014年度 生活クラブのGMナタネ自生調査の結果がまとまる
生活クラブは「GM(遺伝子組み換え)ナタネ自生調査」に2005年から毎年取り組んでいます。このほど2014年度の検査結果がまとまりました。(2014年9月5日掲載)
2014年度GMなたね自生調査
ナタネは食用油の原料として主にカナダから日本に輸入されています。そのカナダで栽培されているナタネの9割以上がGMナタネです。輸入されたGMナタネは、荷揚げされる港の周辺や製油所に通じる幹線道路沿いに、こぼれて自生しています。生活クラブでは毎年の自生調査と抜き取り作業、製油所や地元の自治体への申し入れなど、自生の広がりを防ぐための活動を行ってきました。
今年の自生調査では、検査紙を使った一次検査(タンパク質検査)を、18都道府県で477検体について行ないました。検体数は昨年より7検体増えました。一次検査で、GMの陽性反応があったのは、41検体でした。除草剤ラウンドアップに抵抗力を持つものが15検体、除草剤バスタに抵抗力を持つものが23検体です。
一次検査を行った検体のうち、検査紙の反応が薄かったものやこれまでGMナタネが見つかったことのなかった地域で採取したものなど14検体について、より精密なPCR検査(遺伝子検査)を行ないました。その結果、内陸部の群馬県で初めて見つかった検体が、確かにGMナタネであることが分かりました。
おおぜいの調査ではじめてわかってきた事実
7月7日に東京で開かれた「GMナタネ自生調査全国報告会」でも、この群馬の調査結果が注目を集めました。四日市大学の河田昌東さんは、「環境省の職員が数人で調査するのでは見つからないことも、運動の広がりによって見つけることができる」と市民による調査活動を大きく評価しました。
鹿島港、千葉港、清水港といったナタネの輸入港での調査でも、あいかわらず遺伝子組み換えナタネが見つかっています。遺伝子組み換え作物の輸出入による環境への影響を防ぐために、「生物多様性条約カルタヘナ議定書」という国際条約がつくられ、日本もそれを実施するために「カルタヘナ国内法」を2004年に作りました。しかし、この法律が日本在来の野生生物のみを保護の対象としているため、遺伝子組み換えナタネの自生をくいとめる手段となっていないのが現状です。法律改正が急務です。
9月には、調査結果について環境省・農水省の担当者と意見交換を行ない、9月末から韓国で行なわれる生物多様性条約のカルタヘナ議定書締約国会議にも調査結果を届けます。