韓国で開催された国際会議で、韓日の市民が心と声を合わせ「遺伝子組み換えにNO!」
9月29日から10月3日の一週間、韓国のピョンチャンで第7回カルタヘナ議定書締約国会議(MOP7)が開催されました。食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク(食農市民ネット)の一員として生活クラブから13名がオブザーバーとして参加。韓国の生協など市民団体と協力し、遺伝子組み換え(GM)作物への懸念を訴える活動を展開しました。(2014年11月10日掲載)
カルタヘナ議定書は生物多様性条約に付属する国際的取り決めです。遺伝子組み換え作物の輸出入による生物多様性への影響を防ぐために作られ、167か国とEUが批准しています。この議定書の加盟国政府や国際機関、市民団体など、130か国以上からおよそ600人が集まり、MOP7が韓国のピョンチャンで開かれました。ピョンチャンは2018年の冬季オリンピック開催地で、首都ソウルからバスで西へ3時間ほど移動した山の中にあります。
GMナタネの自生調査について発表
生活クラブがこの国際会議にオブザーバー参加した主な理由は二つあります。一つ目は、毎年行なっているGMナタネの自生調査の結果を多くの人びとに知ってもらうこと。もう一つは、私たちと同じように遺伝子組み換え作物に懸念を持つ多くの韓国の人びとと一緒に行動することです。
GMナタネ自生調査について、MOP7の会議の昼休みを使って開催される「サイドイベント」で、木村庸子さん(生活クラブ生協・千葉理事長)が、発表しました。サイドイベントには、政府代表たちの多くも参加します。「GMナタネが知らず知らずの間に環境に広がり、食べものにもGM食品が入ってきていますが、表示が不十分なため消費者の多くは気づいていません。どのような影響が将来出てくるのか分からない不安から、この調査を続けています」と木村さん。会場に集まったおよそ70人を前に日本の現状を訴えました。このサイドイベントは、韓国の生協や農業者グループなどで作られた「韓国MOP7市民ネットワーク」と日本の「食農市民ネット」との共同で開催されました。韓国でも生協の組合員たちがGM作物の自生調査を始めたところです。今年の調査ではGM作物は見つかりませんでしたが、かつての政府による調査ではGMトウモロコシなどの自生が見つかったため、今後も韓日の市民による調査の継続が重要です。
韓国MOP7市民ネットワークとの共同行動
10月2日の午後には、韓国の女性農民、生協の組合員らと共同で、MOP7の会場前をパレードしました。韓国の女性農民たちは、自分たちが守り育ててきた在来の種子がGM作物に汚染されることを恐れています。韓日をはじめバングラデシュ、台湾、フィリピン、ブラジルなどの国々からパレードに参加した人びとは、「NO! GMO!」「YES! 私たちの種子!」と声を合わせて歩きました。
「都会から離れた山間部での開催だったため、パレードコースに人通りが少なかったのは残念でしたが、韓国の女性たちがとてもパワフルだったのが印象的でした」と生活クラブ埼玉から参加した内山豊美さん。「女性たちは、韓国の農村開発庁がGMを推進していることに対し、『農民のための国の機関が何たることか』と怒りをあらわにし、農民の権利を主張していました。日本で活動を続ける上で、みんなに知らせなければ、という思いです」。
また、生活クラブ東京の植田泉さんも、「各国の農民の方たちとの交流は、たいへん有意義でした。一緒にアピールやパレードをする中で思いを一つにして、GM反対の声を大きく上げたことは運動をこれからも続ける励みとなりました」と感想を語りました。
これからも国際的なネットワークで、GMの問題に取り組んでいきます。