北海道チクレン産地点検レポート
生活クラブでは定期的に産地を訪れ、指定通りの生産がされているかを点検しています。今回、生活クラブ連合会の満山職員が、牛肉の生産者北海道チクレン農業協同組合連合会(以下、北海道チクレン)の産地点検に同行した際のレポートをご紹介します。
2014年9月4~5日、連合消費委員会の代表と一緒に、生活クラブの牛肉生産者 北海道チクレンへ、産地点検に行ってきました。目的は、牛が生活クラブの指定通りに育てられているのか、大切に育てられた牛がきちんと加工されているのかを確認することです。
【抗生物質を使わずにゆったり育てる】
まずは、乳用種去勢牛(素牛導入型)の牛を育てている美生ファームを訪問しました。北海道中心部から少し南、帯広空港から車で一時間程度の場所にあります。乳用種去勢牛とは、お乳をだす白黒ブチ柄のホルスタイン種(乳用種)を去勢した牛、素牛導入とは、別の場所で7ヶ月育てた仔牛を連れてくることです。
美生ファームは、北海道チクレンが提携している生産者の中でも最大級の規模で約1,250頭の牛を飼っています。一般的には、モネンシンという抗生物質を使用します。モネンシンは腸の働きを良くする効果があり、そのおかげで成長も早くなります。もちろん生活クラブでは抗生物質はNG。約12ヶ月の間美生ファームで育てられますが、寝床に敷くワラやオガクズなどの敷料(しきりょう)をこまめにかえて牛舎を清潔に保つなど、牛にストレスを与えないようにすることで、抗生物質を使わずに大きく育てる大変さを教えていただきました。
ちなみに、アメリカなどでは短期間で効率よく肥育するためのホルモン剤を使用しています。輸入牛肉の消費量の増加が乳がんや子宮体がんの発生に関係しているのと指摘もあります。生活クラブの牛肉の脂肪の女性ホルモン濃度は輸入牛肉に比べて、低い値であることが確認されています。
【病気にならないよう愛情をもって】
次に、同じ乳用種去勢牛を扱っているけれど、スモール導入一貫肥育型の牛を育てている清水牧場を訪れました。北海道中心部から少し東側の足寄町にあります。
スモール導入一貫肥育とは、地元足寄町で生まれた生後1週間程度の仔牛を連れてきて育てることで、約19ヶ月育ててから出荷します。
清水牧場はご夫婦で切り盛りされていますが、スモール(=生後間もない仔牛)は病気になりやすく、きめの細かい愛情をたくさん与えないと元気に育たないので、大変苦労されているとのお話をしていただきました。
清水牧場では粗飼料(牧草や干草など)の自給も行っています。今年の飼料収穫時期はいつも以上に忙しくて、通常は7ヶ月齢くらいまでに、牛同士がぶつかって体に傷がつかないように角を除く「除角(じょかく)」をしないといけないのですが、体が大きくなりすぎて除角できずに角のある牛もいました。ちなみに、茶色のホルスタインは100~200頭に1頭いるそうです。
【いのちをいただく】
最後に、㈱北海道チクレンミート北見食肉センターと㈱北海道チクレン北見工場を訪れました。北海道の北東、オホーツク海に近いところです。ここでは、健康に育てられた牛がと畜され、モモやヒレ、バラなどの部位ごとにわけられるまでを視察しました。この様子は、「生活クラブのえほん 牛さんありがとう!」18・19ページに描かれています。詳しくは是非お読みください。
今回の産地点検では生産管理(牛の肥育形態)、飼養管理(飼料給与や衛生管理)、流通管理(農場出荷から組合員に届くまで)、加工管理(と畜から部分肉にわけられさらにパック詰めされるまで)の状況を確認できました。また、生産者の思いを直接聞くことができ、そして「いのちをいただく」意味をあらためて考えさせられました。
これらのことを皆に伝え、これからも食べ続けていこうと思います。