「原発事故被害者の救済を求める全国運動」第二期に向けて
2014年12月13日、東京都内の会場にて「原発事故被害者の救済を求める全国運動」(以下、「全国運動」)第二期東京集会が開催され、全国から約100人が参加しました。集会の様子を報告します。(2015年1月9日掲載)
2013年8月に結成された第一期の「全国運動」では、「1.子ども・被災者支援法の幅広い適用と具体的な施策の実施」、「2.賠償の事項問題の抜本的な解決のための特別立法」の2点を求めて請願署名や全国集会などを行なってきました。生活クラブもこの活動に賛同し、組合員による署名活動に取り組みました。その結果、「全国運動」全体では20万筆近くの署名が集まり、時効問題については3年から10年に延長する特例法を成立させることができました。しかし、いまだに、「子ども・被災者支援法」が有効に実施されているとはいえない状況があります。
集会では、「毎日新聞」記者の日野行介さんが、「東京電力福島第一原発事故 住民被ばくを巡る政策の裏を追う」と題して講演しました。日野さんは、福島の県民健康調査検討委員会の「秘密会」の存在を明らかにするなど、被ばくによる健康被害に関する現状を取材し、著書『福島原発事故 被災者支援政策の欺瞞』・『福島原発事故 県民健康管理調査の闇』(いずれも岩波新書)を発表しています。
日野さんは、被ばくをめぐる政策の焦点を「被ばくによる健康評価」の問題と見さだめ、復興庁関係者のツイッター暴言や「秘密会」などを取材してきた経緯を振り返りました。情報隠ぺいや改ざんが常態化している行政の姿勢には、「初めから結論づけ、それに沿った情報だけを被災者に発信する恣意的な姿勢」が現れているといいます。また、これらの取材を続けるなかで、報道者として見えてきた視点として、「原発事故の被害は健康影響だけはない。民主主義と、その基盤ともいえる情報公開を無視している」と鋭く指摘しました。
次に、「埼玉県における原発事故避難者がおかれている状況と今後の支援活動」として、愛甲豊さん(震災支援ネットワーク埼玉事務局長)が、長期避難者の住宅問題に対する深刻な不安と支援政策の必要性について報告。また、福島県三春町から自主避難しているましこりかさん(ココロとカラダを育てるハッピープロジェクト代表)は、福島から東京に母子避難した人たちがつながる場づくりや健康相談会の実施をすすめてきた経緯について、報告しました。後半では、「保養活動」、「関東における甲状腺自主健診の取組み状況」などについても共有しました。
今後の活動については、弁護士の海渡雄一さんが、「原発事故被害者救済を求める第二期請願署名運動の論点」として、以下の4点を提起して賛同を呼びかけました。
1. 原子力災害に伴う避難者の住宅問題の解決のための立法措置
2. 健診の支援・医療費減免措置
3. 子どもたちの保養プログラムを実施する国家体制の構築
4. 原発ADR(原子力損害賠償紛争解決センター)の和解案の完全実施
最後に、「全国運動」の共同代表である佐藤和良さんが、「力を合わせて大きな世論をつくっていこう」と呼びかけ、集会を終えました。
今回の集会に各地から参加した生活クラブ組合員は、「福島や関東から遠い地域では、原発事故のことが他人事になりがちな傾向があります。原発事故や被害者のことが忘れられることのないよう、活動を続けていきたいと思います」、「原発事故被害にかんする政府の情報隠ぺいは『民主主義の問題』、という日野記者の話が衝撃的でした。頑張っているメディア関係者を、読者としてきちんと支えることが大事だと感じました」と語りました。
生活クラブでは、「原発事故被害者の住宅・健康・保養支援の立法化と完全賠償の実現を求める請願署名」に、全国の団体と連携して取り組みます。