「FEC(Food、Energy、Care)自給圏」の価値を共有 台湾でアジア姉妹会議
生活クラブは、韓国の幸福中心生協(旧・女性民友会生協)、台湾の主婦連盟生協と三姉妹提携を結び、交流を続けています。2014年11月6日~9日に14回目となる「アジア姉妹会議」が台湾で開催され、生活クラブ連合会の女性委員会から7名と、加藤会長、連合会事務局2名が参加しました。
前回の姉妹会議(2012年・韓国)で、日本から「協同組合の共通の使命」として「FEC自給圏」(経済学者の内橋克人氏が提唱し、「食(Food)」、「エネルギー(Energy)」、「福祉(Care)」の自給をめざす思想)の考え方を紹介。それを受けて、今回の会議では「食の自給への努力」をメインテーマとして、各国の取組みを報告することとなりました。
(2015年1月19日掲載)
メインテーマ「食の自給への努力」
冒頭、生活クラブの加藤好一会長から、「協同組合ビジョンとしてのFEC自給圏構想」として、規制改革による農業破壊の動きなども紹介しながら、あらためて協同組合の役割を強調しました。
メインテーマ報告「私たちの第8原則~食の自給への努力」では、日本から清水泉さん(生活クラブ埼玉理事長)が「米の自給への生活クラブの取組み」を報告。「米予約の活動はどのようにすすめているのか」、「日本からの米の輸出はどのぐらいあるのか」、「日本では農地を宅地に転用する事例があるのか」など、積極的な質問がありました。
韓国からは「食の基本権を守るための幸福中心生協の在来種子保存」として、生協と女性農民と連携して「固有種」の穀物や野菜の保存と生産、消費の取組みについて報告。
台湾からは「共同購入を通じて地場農業を支持し食料主権を守る」として、国産小麦の自給率を高めるために、生産者と協力して共同購入品目の数を増やし、耕作面積を広げてきた経緯について報告がありました。
分科会「地域自主運営化の課題と解決方法」「食の安全への取組み」
午後は、二つの分科会に分かれて、議論を深めました。
◆分科会1
「地域自主運営化の課題と解決方法」では、「自分たちが望む参加型福祉拠点としての生活リハビリクラブ建設」として、桜井薫さん(さがみ生活クラブ理事長)が報告。
韓国からは、チェジョンスクさん(幸福中心ソウル生協理事長)が、「幸福中心ソウル生協の組織活動」として、2011年の単協設立以来、組合員教育やリーダー育成、組合員拡大に積極的に取り組んできたことを報告しました。台湾からは「主婦連盟生協のあゆみと課題」として、地域ごとの自立をめざして組織の再編成を行なってきた過程が報告されました。
◆分科会2
「食の安全への取組み」では、山下尚子さん(生活クラブ都市生活理事長)が、「『安全』は誰かにお任せするものではなくみんなでつくり続けていくもの」として、遺伝子組み換え、添加物、放射能対策などに関する生活クラブの政策を紹介。
また、韓国は「韓国の食品安全性を高めるための幸福中心生協の活動」、台湾も「食品安全対策」のテーマで報告。とくに、開催国の台湾では、近年、油やデンプンなど身近な食品をめぐる事件が相次いでおり、主婦連盟生協では、情報公開の徹底に努めながら、生産者との協力関係の構築、政府レベルでの食品安全対策の要求などに取り組んでいるとのことでした。
台湾の文化に触れて
姉妹会議の期間中は、会議だけでなく、さまざまな企画をとおして台湾の食文化や人々の生活、生協の日常的な活動に触れることもできました。
初日には、台湾主婦連盟生協の提携生産者「鴻福食品」を見学。環境保護や食品添加物削減をめざす考え方に共鳴し、2005年から同生協と提携して、国産小麦を使用した菓子などを生産しています。見学とともに、名産品である「パイナップルケーキ」作りも体験し、台湾の食文化に触れることができました。
3日目には、台湾主婦連盟生協の店舗を訪問。湖の脇の閑静な住宅街にあり、組合員は約700名。「組合員スペースで料理教室などの組合員企画を積極的に開催しています」と店長さんからお聞きし、共感を深めました。
午後は、台北市内の公園での生協主催の「まつり」に、日本・韓国からもブースを出展。生活クラブで用意したジュース、菓子などの試食には、多くの人が関心をもって手を伸ばし、あっという間になくなってしまいました。ステージでの挨拶では、土谷雅美・女性委員会委員長から、東日本大震災復興支援への感謝と継続的な関心を訴え、大きな拍手を浴びました。会場には50以上のブースが立ち並び、生産者や組合員などが、自慢の食材や日ごろの活動をアピール。天気にも恵まれ、多くの人でにぎわいました。
15年目の姉妹交流に向けて
今回の姉妹会議では、「FEC自給圏」の考え方を、三ヵ国の共有テーマとして確認することができました。2015年は韓国で交流会、2016年は「Care(福祉)」をテーマとして、日本で姉妹会議を行なう予定です。2015年は、姉妹会議の開始から15年目となります。15年の交流の積み重ねを、それぞれの活動に活かしていきます。