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台湾での食品放射能検査に関するシンポジウムで講演

2014年11月10日、台湾で「食品中の放射能測定技術と現状に関する日・台シンポジウム」が開催され、生活クラブ連合会から講師を派遣しました。長年、姉妹交流を行なっている台湾の主婦連盟生協からの依頼に応えたもので、同生協の母体である「主婦連盟環境保護基金会(以下、「基金会」)が主催し、日本の食品放射能検査に関する情報共有を目的に開かれました。(2015年1月16日掲載)

シンポジウムには約100名が参加 「基金会」は1987年に設立され、女性による環境保護運動団体として、食や環境、女性の権利に関する社会的発言を積極的に行なってきました。近年、台湾で相次ぐ食品偽装問題についても、たびたびメディアに登場して、市民の立場から食品安全政策の充実を訴えています。
 2011年の福島第一原発事故以来、諸外国では、日本(とくに東日本)産の食品の輸入禁止や放射能検査、独自の政府基準の設置など、さまざまな対策を取っていますが、台湾では、行政による放射能検査体制や輸入規制が整わないまま、日本の食品が大量に入ってくる現状があります。「基金会」では、このような状況に危機感を抱き、今回のシンポジウム開催にいたりました。
 日本で食品の放射能検査を行なっている団体として、「有害化学物質削減ネットワーク(「Tウォッチ」)」と「生活クラブ」に講演の依頼があり、生活クラブ連合会から槌田博・品質管理部長が講師として参加しました。

日本の放射能汚染の実態と検査状況を報告

 シンポジウムは、台湾師範大学の国際会議場で開かれ、「基金会」会員のほか、政府や食品メーカー関係者、研究者など、約100名が参加しました。
 日本からは、中地重晴氏(「Tウォッチ」理事長・熊本学園大学教授)が、「日本における市民による放射能汚染測定活動」として、東日本大震災以降、津波による工場からの有害化学物質の流出調査、食品の放射能検査などを行なってきたことを報告。市民による検査活動の広がりにも触れ、結果のばらつきに対しては測定技術を高める努力と運動面・技術面のネットワークが重要と指摘。また、福島原発事故を契機に環境基本法が改正され、放射能も化学物質と同様に環境規制の対象に加えられたことから、放射能の環境中への放出量を管理・規制する法整備の必要性を訴えました。
生活クラブ連合会 槌田博・品質管理部長 生活クラブ連合会の槌田部長は、「生活クラブ生協の放射能汚染対応」と題して、福島第一原発事故による汚染の実態、事故以来の生活クラブでの検査体制の変遷、現在までの検査結果とおもな放射能検出事例などについて報告。「100mSv程度までの影響は判別できないから心配ない」「食品の放射能汚染は問題ないから安心して食べてください」といった政府や御用学者の態度に対し、「放射能はどんなに微量でも比例して確率的に影響がある」「わからないものを食べるのではなく、測定して知って考えて食べる」「原発はすべて廃炉にする」という生活クラブの基本的な考え方を伝えました。
 また、今回の原発事故で取り返しのつかない汚染を世界に拡大してしまったにも関わらず、日本政府が原発を再稼働しようとしていることについて、生活クラブは「放射能の測定を続けながら原発廃止の運動を継続します」としたうえで、台湾にも原発があることに触れ、「原発が稼働している限り、放射能の検査を続けてください。台湾の原発も廃止してください」と訴えました。
 河野益近氏(京都大学大学院工学研究科)は、「原発事故による放射能汚染―測定を通して知る放射能汚染の実態」として、福島第一原発以前および以後の汚染状況、内部被ばくによる健康被害と保養の効果などについて、さまざまなデータにもとづき多面的に報告。深刻に懸念されている海洋汚染についても太平洋の拡散シミュレーションを紹介し、放射能汚染がすでにアメリカ西海岸に到達していることを明らかにしました。

対策が求められる台湾の検査体制

主婦連盟環境保護基金会の林雅恵秘書 台湾からは、行政による食品の放射能検査機関である「核能研究所」の邱鍠盛副研究員が、検査機器(Ge半導体検出器とNaIシンチレーション検出器)と測定精度、検査数の現状について報告。
 これに対して「基金会」秘書の林雅恵氏の報告は、放射能検査に関わる台湾の食品行政について、検査結果は「検出」「不検出」のみで数値が公表されない、検査数が少なく公表も半年に一度だった、日本からの輸入食品に対して検査証明書の添付が義務付けられていない、などの問題点を指摘しました。日本からの食品の輸入が多い台湾の実態をふまえ、「検査体制の整備と情報公開、放射能の健康被害に対する積極的な情報把握に努めてほしい」と政府に求めました。

日本とも共通する台湾の原発をめぐる問題

総合討論 総合討論では、パネリストのほか行政庁担当者や国会議員、環境保護団体関係者などが登壇し、質疑を行ないました。
 日本からの報告に対して、品目ごとの検出下限値が異なる理由、検査データを情報公開するときの風評被害への配慮、調査のために被災地に入る際の防護体制、汚染された土壌や肥料の他国への販売有無など、多岐にわたる質問があり、関心の高さを伺わせました。
 生活クラブの検査については、政府基準以内であっても生活クラブ自主基準を超えた場合の生産者への補償のしくみ、汚染が判明した食品の処分方法、一般の食品小売店や他生協での検査実態など具体的な質問があり、槌田部長が回答しました。
 また、環境保護団体と政府関係者のやりとりで台湾の市民団体関係者と政府関係者のやりとりは、原発事故の際の食品供給・検査体制についての想定が甘く、縦割り行政で対応ができていないこと、水源の近くに原発があり水の汚染への想定がないこと、などが明らかにされ、国土に4つの原発を抱える台湾の原発問題の実態が浮き彫りになりました。

互いに学びながら、原発事故におびやかされない社会を

 「基金会」の報告では、市民団体などが声をあげ続けた結果、2012年6月には台湾政府による食品の放射能基準の緩和を阻止し、2013年11月には測定結果の公表が「半年ごと」から「毎日」に、2014年には放射能汚染された輸入食品名の公表、日本からの輸入食品の検査証明書の添付などが実現しました。また、自前の機器での検査活動も始めているそうです。
 国境を超えて互いの活動に学びながら、放射能による汚染の実態をきちんと知り、一人ひとりが判断できるしくみ、そして何より、原発事故の危険におびやかされることのない社会をつくっていくことの大切さを、あらためて感じました。

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