日本の伝統文化を守り、伝え続けること。㈱ミサワ食品
提携品目:くずもち 黒糖ふがし 他
㈱ミサワ食品は、江戸時代から宿場町として栄えた東京・足立区の日光街道千住新橋界隈で、昭和18年(1943年)に焼麩メーカーとして創業しました。その後、ふがし・くずもちの製造も手がけ、昭和50年代より生協向け製品の開発・供給を中心に、今日まで約70年歩んでまいりました。
麩は、平安・鎌倉時代より伝わる日本の伝統食品です。植物性たんぱく源として精進料理には欠かせない食材のひとつであり、最近では健康的な食品として多くの方々に見直されています。麩を使った料理などがテレビや雑誌に紹介されることも増え、うれしい限りです。私たちは、この伝統文化を守り後世に伝えるとともに、生活クラブの消費材を作り続けていきたいと思っています。
「麩」と「くずもち」の意外な関係
なぜ、同じ会社で「麩」のような水分の少ない製品と、「くずもち」のような水分の多い製品を作っているのですか?─これはよく聞かれる質問です。
あまり知られていませんが、実は両方とも主原料が小麦粉なのです! 小麦粉の2つの成分である「たんぱく質」と「でんぷん質」。そのうちのたんぱく質が麩の主原料のグルテンとなり、でんぷん質がくずもちの主原料の小麦でんぷんになります。
くずもちのモチモチ感は
小麦でんぷんを1年以上、自然発酵させて作る
小麦でんぷんはお菓子の原材料によく使用されますが、くずもちに使用している小麦でんぷんは一般的なものとは違います。1年以上、自然発酵させたものでないと、蒸し上げた後にあのようなモチモチした食感が出ないのです。水に浸してじっくりじっくり時間をかけて自然発酵させ、ほどよい粘度を持たせなければなりません。しかし、発酵させるとかなり酸味が発生するため、使う前にアク抜きを行ないます。発酵したでんぷんを撹拌し、水と混合して1日浸しておくとでんぷんが沈殿するので、上水(うわみず)を捨てます。
この作業を1日1回、3日以上かけて行います。手間と時間がかかるのですが、このアク抜きの加減が重要で、足りなければ酸味が強く残ってしまい、抜きすぎれば食感が失われてしまいます。ここは、くずもち職人の腕の見せどころです。こうしてできた小麦でんぷんに98℃のお湯を加えて練り上げ、せいろで蒸して仕上げます。
国産小麦粉100%で作る
東京下町の駄菓子の定番「黒糖ふがし」
一方、麩の原材料はグルテンと小麦粉。これに水を加えて生地を作ります。一般市場で流通している麩はほとんどが輸入小麦粉を使用したものですが、生活クラブの消費材はグルテン、小麦粉とも100%国産小麦使用です。
焼麩の場合は、グルテンよりも小麦粉を多く配合して生地の目を詰め、料理したときに麩が崩れないように重く固く焼き上げていきます。
ふがしの場合は、小麦粉よりもグルテンを多く配合して生地の目のすきまをあけ、大きく膨らませます。これにより軽く、ふわっと、サクッと焼き上がります。人気の「黒糖ふがし」は、これにコーティングした黒糖みつがほどよくマッチし、美味しいふがしに仕上がります。機械化をせず、職人達が一本一本ていねいに仕込み、手作業で焼き上げているからできるのです。くずもちほどではありませんが、麩の製造も手作業が中心の手間のかかる作業です。自然の素材の力を人間の手でさらに生かしていくのが伝統食品のこだわりだと思います。
全国各地の麩の生産者や、
東京下町のお菓子の生産者とも提携
生活クラブとの出逢いは1995年です。それ以前は輸入小麦粉を使用した焼麩・ふがし・くずもちしか製造していませんでした。価格競争や小麦粉への残留農薬の問題をきっかけに、国産小麦粉を100%使用した製品作りを始めました。何度も何度も失敗を繰り返し、やっと製品ができあがりましたが、手間がかかり、原材料費が高くなるため、なかなか扱ってもらえる取引先が見つかりませんでした。
そんなとき、生活クラブの生産者から生活クラブを紹介していただきました。当初は、生活クラブ神奈川の独自開発品としてふがしとくずもちを提案し、生産・供給を開始しました。1年後に「こまち麩」が弊社の生活クラブの消費材第1号となり、その後、ひとつひとつ生活クラブの消費材になっていきました。
自社製品としてはこの他に、「わらび餅」「ギモーヴ(ホワイトマシュマロ)」「苺マシュマロ」などの新しい消費材の開発も積極的に行なってきました。また、自社製品だけではなく、全国各地の麩の生産者とも提携し、「車麩」「庄内板麩」「なま麩」「花麩」なども供給できるようになりました。
お菓子については、東京下町のお菓子の生産者と提携し、「チーズドッグ」「ワッフル」「大きなバームクーヘン」「レモンラムネ菓子」「人形焼」「国産果汁の一口ゼリーミックス」「国産果汁のグミミックス」「たまごボーロ」「ひねり揚げ」「最中」など、たくさんのお菓子の供給もさせていただくようになりました。
今後も、消費材を開発・生産するだけでなく、たくさんの組合員の方と出逢い・語り・消費材の価値を伝えていきたいと思っています。
(2015年2月掲載)
※掲載時期によりパッケージが現在のものと異なる場合があります