再生可能な自然エネルギーを広めよう! 電力会社㈱生活クラブエナジー設立
原発のない社会をめざし、㈱生活クラブエナジー設立
自然エネルギーの電源開発や供給・販売のために、生活クラブは電力会社㈱生活クラブエナジーを設立。
3月には設立記念フォーラムを開催するとともに、4月から配送センターなどに電力の供給を始めました。
そして組合員宅へのグリーン電力供給の準備を2016年から始めようとしています。(2015年6月25日掲載)
自然エネルギー(Energy)事業に取り組みます
生活クラブは素性の明らかな「食べもの(Food)」を手にするために共同購入を始めました。また組合員どうしのたすけあいである共済をはじめ、子育てや介護など地域の「ケア(Care)」をすすめています。
そして生活に不可欠な「エネルギー(Energy)」の分野では、各地域の生活クラブからの出資により㈱生活クラブエナジーを2014年10月に設立しました。自然エネルギーが生み出す電気の共同購入をすすめることで、原発のない社会づくりに取り組みます。
首都圏の生活クラブ事業所などに電力供給スタート
㈱生活クラブエナジーは2015年4月から首都圏近郊の生活クラブの事業所、神奈川や千葉の生活クラブグループの社会福祉法人、関連会社の㈱生活クラブたまごや新生酪農㈱の牛乳工場、焼きそばなどの生産者である㈱共生食品など55ヵ所に電力の供給を開始しました。
今後は、組合員家庭への電力供給、提携生産者と連携した自然エネルギーの開発を検討していきます。
「日本は脱原発を短い期間で実現できる!」
3 月に東京で開かれた㈱生活クラブエナジー設立記念フォーラムでは、ドイツからベルリン自由大学教授・ドイツ倫理委員会のミランダ・シュラーズ氏を招いて講 演を行ないました。2022年までにすべての原発を停止することを決めたドイツですが、「30年かけて脱原発へエネルギー政策を転換した」とシュラーズ氏 は説明します。
最初の転機は1986年のチェルノブイリ原発事故。反原発派の政権が誕生し、反原発の法律が作られました。市民による自然エネルギーの拡大も脱原発を推進する力になりました。
シェーナウという小さな町でひとりの女性から始まった自然エネルギーへの取組みは、ドイツ全体に広がっています。彼女たちは生活クラブと同じように「エネルギー会社をつくって広めていった」とシュラーズ氏は話します。
ド イツでは福島第一原発の事故が原発停止を決定づけましたが、日本は再稼働に向けて動き出しています。しかしシュラーズ氏は「日本はいま原発を1基も動かさ ずに電力が維持できています」とし、「事故以降、太陽光パネルを設置する家が増え、市民が電力会社を作る動きがあります。日本はドイツよりも短い間に脱原 発ができるのではないか」と述べられました。
設立記念講演in関西
3月14日に開催した㈱生活クラブエナジーの設立記念講演会in関西には約160人が集まりました。子どもと一緒に参加する組合員が多く、若い人をはじめとする様々な年代の人の自然エネルギーへの関心の高さがうかがえました。
集会では環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長から日本の再生可能エネルギーの現状報告と、シュラーズ氏の講演会を開催。
「エネルギー政策は私たちがどのように生きたいか、次世代にどのような世の中を残したいかという倫理と選択の課題」とシュラーズ氏から学び、勇気と元気をいただきました。
生活クラブのエネルギー7原則
- 省エネルギーを柱とします。
- 原発のない社会、CO2を減らせる社会をつくります。
- 地域への貢献と自然環境に留意した発電事業をすすめます。
- 電気の価格や送配電のしくみを明らかにします。
- 生活クラブの提携産地との連携を深め、エネルギーの自給率を高めます。
- エシカルコンシューマー※として、再生可能エネルギーによる電気を積極的に共同購入します。
- 生産から廃棄までトータルに責任を持ちます。
※ エシカルコンシューマーとは「環境や社会に配慮した商品・サービスを選択し、購入・利用するなどの消費行動をつうじて、社会的な課題の解決に寄与していこ うという意思を持った消費者」のことで、エコロジーやグリーンなどをさらにすすめた「倫理的・道徳的な消費活動」に取り組む人々をいいます。
2016年から段階的に始める電気の共同購入についてお答えします
Q1 電気は共同購入できるの?
家庭への電力の小売は、これまで9電力(東京電力・関西電力など)に独占されていました。しかし、2016年度からは自由化されるため、消費者は電力会社を選べるようになります。
そのため㈱生活クラブエナジーから組合員宅へ電力を供給することが可能に、つまり生活クラブで電気の共同購入が可能になります。なお、電力会社を変更しても、新たに自宅へ電線を引く必要はありません。
Q2 ㈱生活クラブエナジーってどんな会社?
各地域の生活クラブが出資して設立した電力会社で主に電力の供給・販売、自然エネルギーの電源開発などを行ないます。
下にある「生活クラブの発電所」がつくった電気を購入したり、生産者といっしょに新しい自然エネルギーの電源を開発したりして、生活クラブのエネルギー事業において、中心的な役割を担います。
Q3 いつから生活クラブの電気を使えるの?
㈱生活クラブエナジーでは、2016年度からまず東京電力管内をモデル地域として、そこに住んでいる組合員への電力供給を開始する予定です。
2017年度から、モデル地域での実験をすすめながら対象地域を広げ、段階的に全国への供給をめざしていきます。
CO2を4746トン削減(相当)
左にある「生活クラブの発電所」で、2014年度に発電した量は合計1,121万kWhとなりました。
2014年度、センターやデポーなど生活クラブの事業所で使用した電気の合計は2,460万kWhでしたので、事業所で使っているほぼ半分程度の電気を自然エネルギーで発電したことになります。
この発電によるCO2削減効果は、4,746トンのCO2を削減したことに相当します。(CO2排出係数0.423)
電源表示を明らかにしよう!
いま、東京電力などが供給している電力は、火力や水力などの発電割合が明らかにされていません。生活クラブは食品の原材料と同じように、供給する電力の発電 のしかたを明らかにする必要があると考えます。消費者が電気を選べるようにするためには、選択のための情報が得られることが重要です。
2015年6月3回(24週)生活クラブOPINION アクションレポート