「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」の活動を応援します
5月15日、「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」が東京地裁へ訴状を提出しました。1,063人の市民が原告となり、157人の弁護団とともに、日本政府に対する集団訴訟がはじまります。生活クラブ連合会は、食・命・暮らしを脅かすTPP秘密交渉に反対の立場から、賛助団体としてこの会に参加し、訴訟を応援しています。(2015年6月9日掲載)
※TPP=Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement 環太平洋経済連携協定
TPPは平穏な「食・命・暮らし」の安全を侵害します
日本政府は、日本国憲法が国民に保障する「知る権利」を侵し、TPP交渉の内容を秘密にしていて、また、この交渉による影響がさまざまな政策決定へ及ぶこと を否定しています。しかし、憲法が保障する「人格権」・「生存権」は、TPP交渉によってすでに侵害されはじめていると考えられます。
TPP 交渉によって侵害される食・命・暮らしの問題は枚挙にいとまがありません。一例を挙げるなら、日本政府がBSE(牛海綿状脳症)への対策=米国産牛肉の輸 入制限措置を緩和した事例もこれにあたります。この決定がなされたのは、日本のTPP交渉参加を米国が2013年4月に承認する直前でした。政府は「自主 的な政策変更でありTPP交渉とは関係ない」と説明しましたが、国内外の報道によれば、日本が米国へTPP交渉への「入場料」を払ったことは明らかです。
生命・身体を守るという「人格権」・「生存権」の根幹に対する具体的侵害のおそれがある時は、侵害行為の差止めを請求できる権利が憲法13条によって保障さ れています。また、これまでの判例によれば、生命・身体への直接的な危害にまでは及ばない生活妨害についても、「何人も、生命、身体の安全性を侵されるこ となく、平穏な生活を営む権利を有し、受忍限度を超えて違法にこれを侵された場合には、人格権に対する侵害としてその侵害の排除を求めることができ、また その侵害が現実化していなくとも、その危険が切迫している場合には、その予防として、あらかじめ侵害行為あるいは侵害の原因となる行為の禁止を求めることができる」とされています。
これらの権利にもとづいて訴えを起こしています。
憲法違反のTPP交渉にストップを
TPP 交渉の過程において、すでに国民の権利が侵害され始めていると考えられますが、もし、TPP交渉が妥結し、国会がこの条約の締結を承認した場合、国民の権利を守り育ててきたさまざまな制度や仕組みは、より大がかりに破壊されてしまいます。「人格権」・「生存権」・「知る権利」を支える法令等の改廃義務が、 国会や政府に課されるからです。
そこで、そのような事態を招く前に、「TPP交渉を止めること」、「この交渉が違憲である(「人格権」・「生存権」・「知る権利」の侵害にあたる)ことを確認すること」、「国民の権利を侵し始めていることに対して損害賠償を求めること」の三点を訴えることにしました。
提訴当日の様子や訴状は、「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」のホームページからご覧いただけます。ホームページ上の訴状の画像をクリックすると、訴状全文(全76頁)をお読みいただくこともできます。
TPP交渉差止・違憲訴訟の会 (生活クラブ連合会のサイト外に移ります)
訴状全文はこちらのページ
裁判所がこの提訴をどのように扱い、どのような判断を示すのか。生活クラブ連合会は、この会の活動を応援しながら今後も注視していきます。