台湾・主婦連盟生協のシンポジウムに参加、生活クラブの福祉事業について報告しました
6月13日、台湾主婦連盟生協が台北市内で福祉シンポジウムを開催しました。パネラーとして招かれた生活クラブ共済連の伊藤常務理事と生活クラブ神奈川の五十嵐理事長が、生活クラブ生協の福祉事業の実践について報告しました。
台湾主婦連盟生協……正式名称は「台湾主婦連盟生活消費合作社」。組合員数61,702人(2015年5月現在)で、台湾で唯一の消費生活協同組合です。生活クラブ連合会は、韓国の幸福中心生協と3者で生協同士の「姉妹提携」を結び、1999年から交流活動を行なってきました。
(2015年7月14日掲載)
シンポジウムの会場となった国立政治大学には、福祉の市民活動に取り組む団体や研究者、生協組合員リーダーなど、130人を超える人が集まりました。
はじめに、国立台湾大学の王品助教授から、台湾の少子高齢化の課題について講演がありました。
講演を聞いた五十嵐理事長は、「まず驚いたことは台湾の高齢化率のデータです。2013年度の高齢化率が11.6%に対して、2025年には34.0%、さらに10年後には37.5%になるということで、日本よりも早いスピードで超少子高齢化社会に突入するということです」と、言います。
「その背景は、出生率の低さ―合計特殊出生率が1.13であることと、女性の労働参加率が25~29歳の90%をピークに、40代から50代になっても下がり続け、再度働くということが非常に少ない状態だということも特徴です。将来、女性の貧困が課題になるのではないかと感じました」。
日本もすでに超少子高齢社会に入っていますが、台湾も似た課題を抱える状況にあることがよく理解できる講演でした。
続いて、伊藤常務理事が「日本の高齢者福祉政策の変遷と生活クラブ運動グループの実践」について、五十嵐理事長は「生活クラブ神奈川単協『参加型福祉』活動の実践」について、それぞれ報告しました。
二人の報告に対しては、会場からたくさんの質問が出され、予定時間が足りなくなったため、企画の終了後に対応をすすめることにしたほど、生活クラブの福祉事業に対する関心は非常に高いものがありました。
「特に1991年の社会福祉法人の設立と特養の建設に向けた、組合員カンパ活動の経緯を紹介したときに、シンポジウムの参加者の表情が変わりました。また、福祉事業だけでなく、地域をつくり変えるため、自治体に政策提案をしていくことが大事であるという話をしたときにも、反応が感じられました。どちらにしても基本となる考え方は、協同組合のたすけあいの活動です。台湾では協同組合が共済事業をすることができないという説明がありましたので、すぐにはイメージを持ちづらいようでした。同じアジアの協同組合として、台湾主婦連盟が市民参加による福祉事業への意欲を持っていることは心強いです。みなさん本当に真剣で、食の共同購入事業から次の活動を作っていこうという意気込みが感じられました」(五十嵐さん)
翌日の6月14日にも、台北市内で台湾主婦連盟の組合員リーダー・事務局との意見交換会を開催しました。台湾の介護保険制度導入に対してどのような準備をすすめたらよいか、活動のリーダーにはどのようなことが必要かなど、具体的な質問が飛び交い、新しい福祉の事業に取り組んでいこうとする意気込みが感じられる場となりました。