兵庫県漁連と初めての産地交流会を開催! 産地を訪れ、生産者との交流で深まる提携関係
この秋、生活クラブ生協の組合員ら12人が兵庫県漁業協同組合連合会(兵庫県漁連)を訪問、産地交流会を開催しました(2015年10月28~30日)。一行は、生活クラブ消費材の「淡路島ちりめん」(ちりめんじゃこ)の原料水揚げから製造までの工程を見学し、兵庫県漁連の水産加工センターなどを視察しました。
兵庫県漁連との産地交流会は今回が初開催。組合員が産地を訪れることで生産の現状や課題を知り、生産者と直接会って話し合うことで、共同購入を通じた提携関係の意義についてお互いの理解が深まります。水産物の自給力向上をめざす生活クラブと生産者の双方にとって、たくさんの成果が得られた交流会でした。
(2015年11月26日掲載)
世界的な人口増加のなかで重要度が増す水産資源
兵庫県は、瀬戸内海と日本海、さらには太平洋にも開けた海に面していて、多種多様な魚がとれる地域です。生活クラブ連合会は近畿地方の生産者との提携関係を強化しようと、2013年10月から兵庫県漁連との直接提携を始め、今回初めて組合員ら12人が産地を訪れ交流会を開催しました。
兵庫県漁連の突々(とっとつ)淳 参事は組合員を出迎え、「地元兵庫県の生活クラブ都市生活とは20年来のお付き合いになります。明石鯛の共同購入がきっかけで、当時は私が担当でした」と、懐かしそうに話します。兵庫県漁連は1994年に水産加工場をつくりましたがその時の担当も突々参事で、「バブル崩壊後は漁価が低迷していました。たくさんとれた時はさらに暴落したので、漁業者を救おうと加工場を立ち上げたのです」と明かしました。
一方、生活クラブ連合会の福岡良行専務は「世界的な人口増による食料危機が進行しています。そのなかで水産物は適正に管理をすれば、持続可能な資源です。しかし日本の漁業者は17万人と、5年間で3万人も減っています。生活クラブは産地を訪れることを通じて漁業の実情を知り、水産資源の自給力の向上に努めたいと考えています」と挨拶しました。
「淡路島ちりめん」一袋に作り手のいろいろな努力が
兵庫県・淡路島はちりめんじゃこの産地として知られており、生活クラブでは「淡路島ちりめん」として産地を指定して共同購入しています。組合員は淡路島を訪れ、原料魚の水揚げと、兵庫県漁連が指定する加工事業者の視察を行ないました。
ちりめんじゃこの原料はイワシの稚魚です。漁港で水揚げされると籠に移されます。「他の小魚が混じっていないことと、大きさが揃っていることがポイントです。サイズが均一でないと大きいものに干す時間を合わせるため、全体的に乾燥し過ぎの製品ができかねないのです」と、兵庫県漁連・流通加工事業本部の澤井徹統括は説明します。
加工事業者は、最終工程で天日干しをして水分含有率が約45%になるように調整します。「塩分も製品になった時に5%前後になるよう、漁獲されたサイズを考えながら茹でる塩水の濃度を微妙に調整しているのです」と澤井さん。
作業を視察した連合消費委員の伊藤香さんは「ふだん何気なく共同購入している『淡路島ちりめん』一袋に、作り手のいろいろな努力が詰まっていると知り驚きました」と話します。
生産者との出会いをきっかけに地域でもいっそうの交流を
一行は姫路に移動し、兵庫県漁連水産加工センターを視察しました。近代的な設備の整った加工場で「いかなごのくぎ煮」や「明石・播磨灘産たこのやわらか煮」などを製造しています。イカナゴは毎年2月から4月の旬の時期にとれたものを一度に加工し年間を通して供給していることや、タコは主に7月から9月にとれたものを冷凍保存し、その都度「やわらか煮」や「カルパッチョ」などに加工しているとの説明を受けました。
連合消費委員の古賀雅子さんは「兵庫県漁連が漁業者のために浜値を安定させようと、加工場を自ら立ち上げて事業をしていることがよくわかりました」と感想を述べました。
*浜値(はまね)=魚介類の水揚げ地で取引される値段のこと。
連合消費委員の小谷里香さんは「私は地元兵庫の生活クラブ都市生活の組合員ですが、兵庫県内で多種多様な魚種がとれることがあらためてわかりました。今回の視察で生産者の方々と知り合いになれたことを機会に地域で交流会などを開催し、魚食を広めていきたい」と抱負を語ります。
水産物は良質なたんぱく源のひとつですが、価格の低迷や漁業者の後継者不足などの課題を抱えています。それに対して生活クラブは、食べ方や調理方法を提案することで魚介類の利用を広げるなど、生産者とともに問題解決に向けた活動をすすめていきます。