国内自給力の向上をめざすアースメイド野菜
生産者と一緒に土づくりからはじめる。それが生活クラブの野菜です。
化学合成農薬や化学肥料はできるだけ使いません。
また、「いつ・誰が・どこでどのように作ったか」という栽培履歴を
すべて明らかにすることを基本としています。
新鮮・安心・おいしい。
そんなサステイナブル(持続可能)な作物づくりに各産地で取り組んでいます。
国内自給力の向上をめざすアースメイド野菜
野菜は毎日の食卓に欠かせない食材です。生活クラブでは組合員と生産者が絶えず話し合うことで、市場では使用が当たり前になっている化学合成農薬や化学肥料をなるべく使わない野菜をつくってきました。しかし今年、農業人口がついに200万人を割り込むなど、日本の農業の未来は危機的な状態。
私たちは生産者と一緒につくってきた生活クラブの野菜を普及させることで、食べる人には安心感とおいしさを届け、生産者とともに後継者が育つ環境をつくっていきます。サステイナブル(持続可能)な生産と消費を実現するため、「アースメイド野菜」として多くの人にその価値を広めていきます。
アースメイド野菜がいよいよスタート!
育て方のちがいで野菜が注文できるように!
生活クラブは生産者と強固な提携関係を築くことで、化学合成農薬や化学肥料をできるだけ使わず、栽培履歴を明らかにした野菜づくりを目指してきました。そして、残留農薬は国の基準の1/10未満を目標に厳しく設定。放射能も国の基準の1/4にあたる25Bq/kg以下(生椎茸は50Bq/kg以下)とし、これを上回る野菜はお届けしない仕組みを確立しました。
提携産地の中にはサステイナブル(持続可能)な農業を追求し、化学合成農薬や化学肥料を使わない農法などに挑戦する生産者がいます。しかし、これまでの注文方法では生産者の実践を伝えきれませんでした。そこで「あっぱれ育ち」「はればれ育ち」「たぐいまれ」という新たなマークを設けて栽培方法を明らかにし、生産者の意欲的な取組みを組合員がわかって注文できる仕組みをつくりました。マークごとに決められた農法・鮮度でつくられた野菜が届きます。
アースメイド野菜の基準①
毒性の強い農薬を安全優先的に削減
日本は高温多湿なアジアモンスーン気候で産地によって気象・栽培条件は異なるため、農薬の使用状況はさまざまです。
生活クラブは毒性の強い農薬を削減指定農薬*と位置づけて、優先的に削減しています。2015年度は提携産地の取組品目のうち71.5%で不使用を達成しました。
「あっぱれ育ち」「はればれ育ち」「たぐいまれ」は、すべて削減指定農薬を使っていません。
*削減指定農薬は、これまで要改善農薬と表現していました。
アースメイド野菜の基準②
厳しい基準値を設定し、検査で達成を確認
野菜への残留農薬の自主基準値は国の基準の10分の1未満を目標にし、実際に組合員に届けている野菜を抜き取りして生活クラブ検査室で検査・確認しています。
1つの野菜で検査する農薬は、約300種におよびます。
また放射能の自主基準値は25Bq/kg以下と国の4分の1と厳しく設定し、これを超える野菜はお届けしません。野菜の放射能検査は検出下限目標を6Bq/kgとし、高精度の検査を行なうことで検査結果の信頼性を確保しています。
*写真左:残留農薬は野菜に溶媒を加えて液状にしてから検査します
*写真右:放射能検査は野菜をきざみ測定します
アースメイド野菜の基準③鮮度
徹底した検品で鮮度品質をチェック
生活クラブでは野菜の傷みや量目不足などの事故品を0.05%未満にすることを目標に、さまざまな対策を講じています。生産者から野菜が納品された際の検品もそのひとつ。
生活クラブの野菜の仕分けセンターである戸田デリバリーセンター(戸田DC)では、以下の基準でチェックしています。
検品を行なった野菜は戸田DCから各センター、組合員のみなさんのところまで、一貫して温度管理し鮮度や品質を保ったままお届けしています。組合員のみなさんも配達時に不在の場合は、野菜用の容器や蓄冷剤の用意をお願いします。とくに気温が高い4月~10月はぜひご用意ください。
*写真:戸田DCで野菜を検品するようす
アースメイド野菜の基準④産地
組合員との交流を行なう提携産地
生活クラブ独自の基準で野菜をつくり、栽培履歴を明らかにするのはもちろんのこと、畑見学など組合員との交流をする産地を「提携産地」といい、全国に71産地あります。アースメイド野菜(生活クラブのすべての野菜)は提携産地を中心に栽培しています。
ロゴマークについて
土から生まれ育った作物(緑)が太陽(赤)に照らされて、芽が出て育っていく様子を表しています。アルファベット「e」を図案化しました。
例えば今週の「食べるカタログ」の4~5ページを見ると…
※「あっぱれ育ち」「はればれ育ち」「たぐいまれ」野菜には、専用の生産者カードやシールがついています。
生産者と一緒につくるアースメイド野菜
「なるべく化学合成農薬は使わないように」、「新鮮なまま、届けたい」。生産者は食べ手の健康や暮らしを想像して、さまざまな工夫と努力をして野菜をつくっています。今週からスタートするアースメイド野菜にかける意気込みを生産者に聞きました。
食べたり交流することで産地づくりに参加を
生活クラブ 青果の会代表
(有)王隠堂農園(奈良県)代表取締役
王隠堂誠海さん
今年、日本の農業人口が200万人を割り、70歳以上が4割を超えました。
10年後には高齢農家の引退が見込まれ、このままでは国産野菜が食べられなくなる恐れがあります。新規就農者の育成をはじめとした産地づくりを急がなければなりません。
「あっぱれ育ち」「はればれ育ち」「たぐいまれ」ができたことで、野菜づくりの目標が明確になりました。どんな野菜づくりをめざすのか、私たち生産者は産地のビジョンが立てやすくなりました。
しかし産地づくりは、ひとつの生産者だけでできるものではありません。
生活クラブの提携生産者が地域で集まって、人手不足や過疎の問題などを話し合い、協同で対策することが重要だと思います。
私たち生産者は組合員のみなさんが望む野菜を、将来にわたってつくり続けていきます。みなさんもアースメイド野菜を食べることや交流を通じて、産地づくりにぜひ参加してください。
つくり方をわかってもらえることが励みに
(有)沃土会(埼玉県)生産者代表
丸山幸生さん
化学合成農薬や化学肥料を使わなかったり、減らして育てるなど、これまで努力してきたつくり方が新基準に反映されて、たいへん喜んでいます。
ちがいを組合員のみなさんにわかって選んでもらえることは励みになり、「これからもつくっていこう」という意欲につながります。
また新黒水菜小松菜や黒田五寸人参などに代表される「たぐいまれ」野菜は昔ながらの味がする特徴のある野菜です。育て方がむずかしいので生産量は多くありませんが、食べることで栽培の継続を支えていただければと思います。
つくり方や鮮度の基準を明確にすることには、当然、責任が伴います。生産者どうしで切磋琢磨して安全安心はもちろん、おいしい野菜をつくっていきます。組合員のみなさんには、「あっぱれ育ち」「はればれ育ち」「たぐいまれ」がどんな野菜かを早く覚えてもらい、いっぱい食べることで応援してほしいと思います。
【生活クラブ食べるカタログ アースメイド野菜特集 2016年11月1回号転載】