遺伝子組み換えなたね 自生調査の結果がまとまりました
生活クラブは2005年から毎年、遺伝子組み換え(GM)なたねの自生調査を実施しています。このほど2016年の調査結果がまとまり、7月2日に東京都内で開催された全国報告会で発表しました。
内陸部でも広がりの兆しが
GMなたねは、輸入して陸揚げされる港の周辺や製油所に通じる幹線道路沿いを中心に、こぼれ落ちなどが原因で自生しています。これまでの生活クラブの調査では、なたねの水揚げのない八戸港や、内陸の群馬県前橋市でGMなたねが見つかるなど、GMなたね自生の拡大を示す事実が確認されてきました。
今年の調査では、検査紙を使った一次検査(タンパク質検査)を19都道府県、461か所の地点で行ない、陽性反応があったものは40検体でした。そのうち除草剤ラウンドアップに抵抗力を持つもの(RR)は12検体、除草剤バスタに抵抗力を持つもの(LL)は27検体、両方の除草剤に抵抗力を持つもの(両耐性)が1検体でした。
今年も、八戸港(青森)、鹿島港(茨城)、千葉港(千葉)、清水港(静岡)、名古屋港(愛知)、神戸港(兵庫)の周辺でGMなたねが見つかりました。また、埼玉、神奈川、山梨、京都、兵庫の内陸部でも、陽性(擬陽性を含む)の検体が見つかり、GMなたねの広がりが懸念されます。こういった地域では、来年も調査を重点的に継続する予定です。
GMなたねの自生が続く千葉からの報告
7月2日、GMなたね自生調査に取り組む全国の団体が東京都内に集まり、全国報告会が開催されました。基調報告ではジャーナリストの大江正章さんが「地域から遺伝子組み換え作物を考える―脱成長と田園回帰」をテーマに講演し、「消滅する市町村に挙げられている中山間地の岐阜県白川町では、有機農業の新規就農者のラッシュが起こっています」と、遺伝子組み換えではなく有機農業で地域が元気になっている事例を紹介しました。
生活クラブからは、千葉の船水香さんが報告しました。生活クラブ千葉では、2005年からGMナタネの自生調査・監視活動が継続されています。「千葉港から内陸部の油脂会社に輸送される途中、トラックからこぼれ落ちた種子が発芽し、自生しているためです」と船水さん。「今年は3月中旬に、農民連食品分析センターや生活クラブ千葉の組合員が参加して、千葉市稲毛区のボーソー油脂千葉工場周辺と穀物サイロのある千葉港周辺で自生ナタネの抜き取りと検体採取を行ないました」。調査に参加した組合員からは、「GMナタネが輸送中にこぼれ落ちて自生が広がっている実態を知り、監視活動は地道な活動ですが、続けていくことに意味があると改めて実感しました」と感想が寄せられました。
10月20日(木)には議員会館で、調査結果について環境省・農水省の担当者と意見交換を行なう予定です。これ以上交雑が広がらないよう、厳しい対応を求めていきます。
2016年の一次検査の結果(RR:ラウンドアップ耐性、LL:バスタ耐性)
【2016年7月19日掲載】