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生活クラブ共済連、愛媛県西予市の「無茶々園」を視察 地域福祉の先進的な事業モデルに学ぶ

7月8~9日、生活クラブ共済連は「福祉事業推進会議」を愛媛県西予市(せいよし)の「地域協同組合 無茶々園(むちゃちゃえん)」で開催しました。
福祉事業推進会議とは、生活クラブの共済事業を担う「生活クラブ共済連」の会員単協や、地域福祉事業にかかわるワーカーズ・コレクティブや社会福祉法人、さらには提携生産者なども含めたさまざまなメンバーが集まり、生活クラブグループ全体の福祉政策を推進するために設置された会議です。
地域の生活クラブの福祉政策づくりの支援や、「生活クラブ 福祉・たすけあい8原則」の作成と広報、介護保険制度や社会保障政策にかかわる学習支援・調査研究・政策提案などの活動を続けています。
今回、各地からメンバーが集まる会議を「無茶々園」で開催し、高齢者支援の活動や生産現場の視察・見学を行ないました。

「地域協同組合 無茶々園」は愛媛県西予市の狩浜(かりはま)地区を中心に、柑橘類を主とした農産物の生産をはじめ、地元漁業者との連携で、ちりめん、ワカメ、真珠の生産にも取り組んでいます。事業を進める「無茶々園グループ」は、柑橘生産者の「農事組合法人無茶々園」、販売を担う「株式会社地域法人無茶々園」、大規模有機農業に取り組む直営農場などを運営する「有限会社ファーマーズユニオン北条」、そして福祉事業を担う「株式会社百笑一輝(ひゃくしょういっき)」の4つの組織からなる連合組織で「地域協同組合 無茶々園」が事務局機能を担っています。

狩江の暮らしと地域福祉を循環させた先進的な事業モデル、街づくりモデル

狩浜地区の基幹産業である農業は、昭和30年代(1955~64年頃)、さつまいも・麦から柑橘栽培へと切り替わりました。昭和40年代(65~74年頃)、全国的な生産過剰により販売価格が暴落。産地間競争を生き抜くため、農薬・化学肥料を多用した高級柑橘類の生産を行なっていました。
1974年、このような農薬や化学肥料の多用があたりまえの農業に疑問を持った当時の青年農業者数名が、農家らしい暮らしや生き方を探求し、有機栽培による伊予柑の生産に取り組みました。
スペイン語の「ムチャ」が「お嬢さん」を意味するところから「みかん畑のアゲハチョウ(お嬢さん)を追っかけようや」、また「無農薬、無化学肥料栽培なんてムチャなことかもしれないが、そこは無欲になって、無茶苦茶に頑張ってみようや」との意味を込め、その園地を「無茶々園:むちゃちゃえん」と名付け、40年続く礎を築きました。

むらの高齢化の問題、㈱百笑一輝の挑戦 
~高齢者が働けるデイサービス~

この地域には、社会福祉法人が営む高齢者福祉施設があり、ホームヘルパー講座受講者の雇用の受け皿となってきました。むらの高齢化が進む状況をなんとかしようと、無茶々園は既存の施設と協力し、生涯現役でいられる福祉のむらづくりを創造するため、2013年に福祉事業へ参入しました。
介護予防を重視し、高齢者が働けるデイサービスをめざし、2014年2月、住宅型有料老人ホーム・デイサービス事業所「めぐみの里」を開所しました。入所施設8部屋は満室、デイサービス(35人定員)は約30人の利用実績となって、利用者からも高く評価されています。
さらに2015年11月には2つ目の住宅型有料老人ホーム「海里(みさと)」を開所しました。
また、高齢者の食生活への心配から、地域の要望を聞き取り「配食サービス」に取り組みました。2009年、農家女性4人が有志の会「てんぽ屋」を設立し、週1回のお弁当の配食サービスを開始しました。
メニューはすべて手作りのおふくろの味、食材は地産地消を心がけ、高齢者や地域住民に好評を得ています。

廃校となった小学校の有効活用

2015年3月、明浜(あけはま)にある狩江小学校が廃校となりました。無茶々園では、小学校跡地の有効活用や地域の活性化について、地元の組織と2年間にわたり協議を行ない、国の「都市農村共生・対流総合対策交付金」を活用し、情報発信や観光事業の立ち上げなどに取り組んできました。2016年7月、狩江小学校跡地利用の運営協議会の代表法人となることから、これまでの経験をもとに、狩江小学校跡地を拠点に、地域住民や行政などと連携し、都市住民との交流を広げる観光事業による新たな仕事おこしの活動をはじめとして、さらに充実させています。
 

【2016年7月21日掲載】

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