3R全国ネット主催『10.21振り返り集会』が開催されました
生活クラブも2010年から取り組んだ、容器包装リサイクル法の見直しを求める国会請願署名は、3R全国ネット合計で約40万筆にのぼり、2011年8月末の衆議院と参議院で採択されました。
これを受け、2013年9月に始まった環境省と経済産業省の容器包装リサイクル法見直しの合同会合(合同審議会)は、途中、1年半の空白がありましたが、2016年5月31日に終了することになりました。
3R全国ネットでは、これまでの審議会の経過や3R全国ネットの活動内容を振り返りつつ、今後について考えるための振り返り集会を10月21日に開催しました。
参加者は、北海道から九州まで、全国のNPOなど市民団体や生協組合員を中心に、学識者や事業者団体などから総勢96名の参加がありました。生活クラブからは、14名の参加でした。
集会の開始前に、司会者より、自民党衆議院議員の田中和徳さんと、民進党衆議院議員の田島一成さんから、振り返り集会についてのメッセージをいただいたことが紹介されました。
《第一部》
はじめに、開会のあいさつと合同審議会での議論経過について、審議会委員である3R全国ネット副運営委員長の中井八千代さんより報告がありました。
報告は、2003年にごみ問題に取り組む全国の市民・団体と共に立ち上げた「容器包装リサイクル法の改正を求める全国ネットワーク」の100万筆の国会請願署名の振り返りから始まりました。
そして、2010年から再チャレンジした、容リ法見直しを求める国会請願署名の2011年8月の国会請願採択。これを受け、2013年に始まった容リ法見直しの合同会合の審議経過。途中、一年半のブランクがあり、2016年1月から開始されたアリバイ的な審議経過などについて報告がありました。
最後に、私たち運営委員会の力量不足により、請願署名に協力していただいた全国の皆様に、今回の結果を、胸を張って報告できないのは、とても残念です、との真摯な発言がありました。
【講演1】
講演では、審議会委員でもある、東京大学大学院教授の森口祐一先生が、「資源効率性の高い循環型社会構築に向けた合同審議会の成果と課題、各当事者に求められる役割」を話されました。
冒頭、2011年の国会請願採択を経て、3R全国ネットが開催した10月25日の緊急院内集会にご登壇されたことについて触れられ、基本的な考え方は当時と変わっていないと話されました。
そして、日本のPETボトルリサイクルの場合、5万円/tの有価物としてリサイクルするために14万円/tの回収費用をかけていることの問題を指摘されました。続いて、法体系の全体像を説明された後、両論併記にとどまった審議会の経過について、永田座長の発言にも触れられました。
最後に、容リ法だけを単独で扱うことには限界があることを踏まえ、今後のリサイクルの方向性について提言されました。
【講演2】
次に、千葉大学大学院教授の倉阪秀史先生は、「パリ協定で目指すCO2削減からバックキャストで考える、日本のごみ問題解決のための処方箋」と題して話されました。
1970年に廃掃法(現廃棄物処理法)ができてから2020年に50年が経過することから、容リ法の問題だけを見るのではなく、廃棄物処理法を改正し、“廃棄物”の定義そのものを見直すべきではないかと提言されました。
そして、パリ協定後の世界についてコメントされた後、<日本は一人当たりの人工資本が世界一であること>を切り口として、日本は過剰保有社会であり、今あるものを使いまわしていくことが重要であること、ビジネスのスタイルをモノの販売から、サービスを販売する形態に移行していくことが必要であること、などが話されました。
《第二部》
賛同団体からの発言では、たくさんの団体から様々なメッセージが発言されました。
まず、一般の賛同団体より、全国びん商連合会副会長の宮永眞彦さん、全国生活学校連絡協議会前事務局長の鈴木和子さんから発言されました。
続いて、Rびんのリユースに取り組むびん再使用ネットワークの参加生協より、生活協同組合パルシステム東京地球環境担当理事の松野玲子さん、グリーンコープ共同体組織委員長の久保かおりさん、生活クラブ連合会理事の清水泉さん、東都生協組合員理事の稲田美智子さんから発言されました。
そして、3R全国ネットの活動として取り組まれた各地の3R政策地域研究会より、新潟のてtoて倶楽部共同代表の永澤由紀子さん、栃木の環境問題を考える会事務局の益子友幸さん、埼玉のNPO法人埼玉エコ・リサイクル連絡会理事の上領園子さん、東京・多摩地域のクリーンむさしのを推進する会副代表の白石ケイ子さん、山梨のNPO法人スペースふう代表の永井寛子さん、静岡の「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワークの壷阪道也さん、京都の京都市ごみ減量推進会議職員の堀孝弘さん、奈良の奈良エコライフ研究会代表の栗岡理子さん、大阪のRびんプロジェクト代表の西村優子さん、九州のワーカーズ・ごみ問題研究会代表の片山純子さんから発言されました。
全員で16人の方々の様々な取り組みやメッセージを共有することで、多くの参加者が元気になることができました。
なお、連合理事の清水さんからは、消費材に込められた意味合いや組合員活動であるグリーンシステムの成果を紹介した後、おおぜいの組合員がかかわった、126自治体議会の請願採択や約19万筆の国会請願の活動経過についての報告がありました。
そして、『今回の結果は残念ですが、生活者として行う、リデュース、リユースの2R(にある)が大事です』、これからは『作られた場所と捨てられる場所をわかって生活する、“2R(にある)くん”と共に進んでゆきましょう。』と締めくくられました。
《閉会》
最後に、初期の審議会に委員として出席していた、3R全国ネット前副運営委員長の羽賀育子さんが登壇し、集会を締めくくる閉会のあいさつが話されました。
【2016年11月9日掲載】