組合員どうしのたすけあい「エッコロたすけあい制度」 生活クラブ都市生活(兵庫県)でも10月からスタート
「たすけあいって、何なの?」
生活クラブ生協都市生活は、兵庫県内の15市3町で活動しています。近年は班配送より個別配送を利用する組合員の割合が増え、暮らしの中での組合員どうしの支え合いやコニュミケーションの希薄化が懸念されています。
その一方で、組合員を対象とした「あったらいいな!こんなたすけあいアンケート」(2014年)では、「頼める人がいなくて困った体験」や「手助けをしたい想い」が数多く寄せられました。
困りごとを抱える組合員と、人のために役立ちたいという組合員が、それぞれおおぜいいることが明らかになったのです。そこで、ふだんの暮らしの中でのちょっとした困りごとを、おおぜいの組合員の力で解決する「たすけあい」のしくみの導入が検討されることになりました。
各地の生活クラブでは、日常生活のサポートを組合員どうしが互いに行なう「エッコロたすけあい制度(エッコロ共済)」が長年にわたって運営されてきました。たとえば、加入者が病気で寝込んだり入院したときには、本人やご家族の身の回りの世話や、子どもの送迎や一時預かりなどのサポートをした組合員(=ケア者)に給付金が支払われます。現在では14の生活クラブ生協で約21万人の組合員が加入しています。
生活クラブ都市生活では、2015年に「エッコロプロジェクトチーム」を発足させ、エッコロたすけあい制度導入に向けた活動をはじめました。チームに参加した関口江利子さんは「子育て真っ最中ですが、人の手を借りたいときに頼れる人がいなくて困ったこともあり、生活クラブの中にたすけあいのしくみがあったらいいなあと思っていました。ところが『たすけあいって、何なの?』という組合員も多く、エッコロのイメージを共有することから始めました」と言います。
制度内容や運営のしくみ、実例などを学習し、数年前にエッコロを導入した生活クラブ京都エル・コープからもアドバイスを受けました。さらにエッコロの活動実績が豊富な生活クラブ東京へ視察に行ったり、また生活クラブ神奈川の五十嵐理事長を招いての学習会では、たすけあいから地域福祉のとりくみへと構想がふくらむ機会になりました。こうした活動を経て、2016年6月の総代会でエッコロたすけあい制度の導入が承認され、10月の正式スタートに向けて加入よびかけの活動が展開されてきました。
ていねいな語りかけで共感が広がる
関口さんらは、配達の車に添乗して一人ひとりの組合員にエッコロたすけあい制度の趣旨を直接語りかけることを積み重ねました。地域で開かれる組合員のイベントにも参加し、手づくりの「エッコロ紙芝居」を使って、「組合員どうしのたすけあい」という言葉をはじめて聞く組合員にエッコロの制度内容や利用の仕方などを説明しました。
「ていねいに説明することで、子育てや将来の親の介護などを考えている人や、誰かの役に立ちたいと思っている人にたくさん出会い、手応えを感じました。あらためて人と人のつながりが大切だと話すこともできました。けれども、人に頼ることが不得手だったり、自分一人で解決することに慣れている若い世代の組合員からは、必要ないと断られることもありました。利用者の声が広がって、自分たちが使いやすい制度にしていくのが楽しみです」。
生活クラブ都市生活のエッコロたすけあい制度はスタートしたばかりです。日常生活のサポートや組合員活動の保障、つながりを作る「エッコロサークル」の取り組みを手始めに、組合員どうしのつながりを深めて互いにたすけあう関係を育み、だれもが暮らしやすい地域づくりをめざしていきます。
●エッコロたすけあい制度 月々100円の掛け金でつながるたすけあいの輪!(生活クラブ都市生活)
●組合員同士のたすけあいのしくみ「エッコロ共済(エッコロたすけあい制度)」(生活クラブ共済連)
【2016年11月8日掲載】