利用者の尊厳を守る質の高い自立支援をめざして 「生活クラブ10の基本ケア」を進める研究会、技術修得研
生活クラブ安心システム連合に加盟する3つの社会福祉法人「いきいき福祉会(神奈川)」、「生活クラブ風の村(千葉)」、「悠遊(東京)」では、「生活クラブ10の基本ケア」を基盤に利用者に質の高い自立支援を行なうことをめざしています。そのために基本ケアを具体的にすすめるリーダー研究会や、職員を対象にした研修会を年間通して開催しています。
6月12日(日)の午前、東京都世田谷区の生活クラブ館で10の基本ケアの1つである「あたたかい食事をする」をどのように進めていくかを検討しているリーダー研究会が、社福職員50人が参加し行なわれました。世田谷区を中心に長年訪問歯科診療を進めている医療法人社団奉歯会の古荘健さんと歯科衛生士の渡辺美保子さんを講師に「食支援」について専門的な見地からの話を聞き、研修しました。
1999年から訪問歯科に取り組んでいる古荘さんは、高齢者が「食べる」ということを歯科医として支援してきました。口から食べ続けるためには、歯の治療を進め、さらには口腔内の衛生、唾液を出すためのマッサージ、食べる姿勢も大切ですと話し、とくに、唾液が出にくくなっている高齢者には「酸っぱいものを想像させる」「酸っぱいものをメニューに入れる」「食事前の口腔体操を行なう」「唾液を出す口腔内のマッサージをきちんと行なう」等を行なうことで唾液を出すように促すことができるということを説明しました。
さらに、渡辺さんの指導の下、参加者が自分の口を動かして、口の動かし方を習いました。
職員からは日常の介護現場での「食べた後の口腔ケアの方法や道具類」、「口を開かない人への刺激の仕方」などの質問が出ました。
「食支援」は食物の形態だけではなく、一人一人の食べる意欲をどのように引き出すのか、咀嚼に必要な唾液の効果、口腔内の衛生管理(誤嚥を予防する)などについてもより具体的な理解が進み「10の基本ケア」がまた一歩前進しました。
午後は、2017年度第1回の技術修得研修会が行なわれました。社福に入職して日の浅い職員や福祉関係の就職をめざす大学生も含め30人ほどが参加し、五十嵐新二さん(「風の村」エリアマネージャー)を講師に利用者が立ち上がる際の介助職員の動作について、さまざまなシチュエーションを想定した研修を行ないました。講師の実技説明を受けた後、参加者はグループに分かれ、利用者役の人の立ち上りを介助する実技を実際に行ない、足の位置どり、腕の置き方、体重移動の促し方などをお互いにチェックしあいました。今まで行っていた介助を見直し、利用者ケアの質を向上につなげたいと真剣に取り組んでいました。
3時間におよぶ研修を終え、参加者からは「介護の現場を知るいい機会となった」「論理的にはわかっていても、実際にやってみると難しかった」「現場に持ち帰って、多くの人と共有したい」などの感想が聞かれました。昨年、技術修得研修会に参加し、今年度から現場に出た職員の働きぶりに研修会での成果が見られたとの報告もされました。さらに風の村は今年度から次世代リーダーを育てる取り組みも始めたことが報告されました。技術修得研修会は引き続き開催される予定です。
【2017年7月25日掲載】