遺伝子組み換えなたねの自生調査報告会を開催 今年も504か所で調査し25検体がGM陽性反応
生活クラブは2005年から毎年、遺伝子組み換え(GM)なたねの自生調査を実施しています。このほど2017年の調査結果がまとまり、7月8日に東京都内で開催された全国報告会で発表しました。
港周辺でGMなたねの自生が続く
GMなたねは、輸入して陸揚げされる港の周辺や製油所に通じる幹線道路沿いを中心に、こぼれ落ちなどが原因で自生しています。これまでの生活クラブの調査では、なたねの水揚げのない八戸港や、内陸の群馬県前橋市でGMなたねが見つかるなど、GMなたね自生の拡大を示す事実が確認されてきました。
今年の調査では、検査紙を使った一次検査(タンパク質検査)を全国19都道府県、504か所の地点で行ない、陽性反応があったものは25検体でした。そのうち除草剤ラウンドアップに抵抗力を持つもの(RR)は5検体、除草剤バスタに抵抗力を持つもの(LL)は20検体でした。
千葉港、名古屋港周辺では、今年もGMなたねが見つかりました。鹿島港では大豆が大量にこぼれて落ちていて、なたねの自生も多く見られましたが、検査結果はいずれも陰性でした。神戸港では製油所の周辺を調査しましたが、自生が見られませんでした。製油工場は今年で閉鎖されることになっており、越年するなたねがないか、今後も注視していく必要があります。
GMなたねの自生が続く愛知からの報告
7月8日、GMなたね自生調査に取り組む全国の団体が東京都内に集まり、全国報告会が開催され、生活クラブから26名、全体で100名の参加がありました。基調報告では、西川芳昭さん(龍谷大学経済学部教授)が「主要農作物種子法廃止が農の営みに与える影響」をテーマに講演し、「種子は人類共通の財産。多国籍化学企業に種子供給を任せて、国内の種子供給をないがしろにしてはならない」と訴えました。
生活クラブからは、愛知の中野京子さんが報告しました。
生活クラブ愛知では、2008年から毎年春に、名古屋港周辺のGMなたねの監視と抜き取りを実施してきました。名古屋港ではGMなたねが陸揚げされ、港脇には日清オイリオの搾油工場があるほか、内陸部へ幹線道路で運ばれます。「今年は名古屋港周辺の定点観測に加え、道が悪く今まで避けてきた地点や、港にかかる大きな橋の上も調査しました。その結果、今年初めて調査した地点で、ラウンドアップ耐性なたねが見つかりました」と中野さん。「簡易検査で、試験紙に現れるラインが薄く陽性が疑わしかったセイヨウなたね1検体をPCR(遺伝子)検査に出したところラウンドアップ耐性との結果でした」。
集会に参加した生活クラブ群馬の木村香織さんは、「私たちの調査は全世界が認める調査。誇りを持ってやっていきたい」と感想を語りました。
9月22日(木)には参議院議員会館で、調査結果について環境省・農水省の担当者と意見交換を行なう予定です。これ以上GMなたねの自生が広がらないよう、厳しい対応を求めていきます。
【2017年8月9日掲載】