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日米のGM表示について意見交換

アメリカでは2016年に遺伝子組み換え食品表示法が制定され、2018年7月には表示ルールが決定される予定です。
アメリカの動向は、日本の遺伝子組み換え表示制度にも影響を与えます。
2017年9月、生活クラブ連合会は組合員2人をはじめとする代表団をアメリカに派遣して、遺伝子組み換え食品問題に取り組む市民団体「食品安全センター」とGM食品表示制度について意見交換しました。

遺伝子組み換え作物とは、微生物など他の生物から取り出した遺伝子を植物に組み込んだ作物です。特定の除草剤や害虫に強いトウモロコシや大豆、なたねなどが1996 年頃から実用化されています。食料自給率が低い日本には遺伝子組み換え作物が大量に輸入され、食品原料や畜産飼料として広く使われています。

遺伝子組み換え作物【Genetically modified organism=GMO】
●遺伝子組み換え【Genetically Modified=GM】
●遺伝子組み換えでない=NON-GM
●非遺伝子組み換え作物=NON-GMO


選択の自由のために、海を越えて手を携える

生活クラブ千葉・理事長 木村庸子さん

重要なのは表示義務の範囲

生活クラブの代表団が意見交換を行なった「食品安全センター」は、アメリカで遺伝子組み換え食品表示法の制定運動を担った団体のひとつで会員が約90万人います。その中心メンバーのジョージ・キンブレルさんは、今後決まる表示ルールについて次のように語りました。


「法律では、遺伝子組み換え原料を使用した場合は表示が義務づけられますが、問題はその対象範囲です。遺伝子組み換え作物の飼料で育てられた畜産物と、加工の過程で遺伝子が検出されなくなる植物油などの食品が表示対象になるかが焦点です。私たちはいずれも、表示すべきと考えています」

アメリカからGMトウモロコシを1,000万トンも輸入しているのに表示が少ない日本

一方「遺伝子組み換えでない」という表示は任意です。このような表示制度では、日本と同じ問題が起こる可能性があります。日本は年間約1,000万トンもの遺伝子組み換えトウモロコシを輸入しているにもかかわらず、表示義務の対象が少ないために「遺伝子組み換え」と書かれた食品を私たちが見かけることはほとんどありません。目にするのは「遺伝子組み換えでない」との表示ばかりで、これでは消費者に遺伝子組み換え原料使用の正確な情報が伝わりません。

遺伝子組み換えを食べたくない人が適切に食品を選択できるように表示義務の対象を広げ、「遺伝子組み換え」と表示される食品を増やす重要性を食品安全センターと共有しました。

日本でも2018年3月を目途に、遺伝子組み換え食品の表示制度の見直しが進められています。両国の表示制度はお互いに影響し合うので、これからも密接に情報交換し、一緒に表示制度を検討する関係がつくれたのは成果だと思います。

*食品安全センターのエイミー・ヴァン・ソーンさん(左)とジョージ・キンブレルさん(写真上)、アメリカを視察した生活クラブ代表団と食品安全センターのみなさん


増える「NON-GMO」表示の食品

アメリカでは遺伝子組み換え食品への関心が高まっています。
食品メーカーは消費者のニーズに対応するため、「NON-GMO(遺伝子組み換えでない)」と表示された商品を増やしています。

*右マーク:「オーガニック(有機食品)」は必ず「NON-GMO」なのですが、消費者にわかりやすいように両方のマークが表示されている商品もあります

㈱平田牧場 茂木 陽一さん

ガソリンスタンドなど多様な店で販売

4年連続の参加で毎年現地のスーパーを視察していますが、オーガニック食品の売り場や『NON-GMO』と表示がある商品が、年を重ねるごとに増えているのを実感します。また量販店やガソリンスタンドにあるコンビニエンスストア、空港の売店など、扱う店が増えていることがわかりました。

価格は『NON-GMO』と表示がある商品のほうが、表示のない商品に比べて2割ほど高くなっていました。この価格差を考えると、遺伝子組み換えでない食品が爆発的には増えないと思いました。

増加の背景は若者の健康志向

今回の視察で「アメリカの消費者は『NON-GMO』とは何かを、ほとんどの人が知らない」という話も聞きました。しかし、NON-GMOと表示された商品や販売店の広がりを見ると、関心をもつ消費者は確実に増えると思います。アメリカで「NON-GMO」表示の食品が増える背景には、子育て世代など若い人を中心とした健康志向があるといわれています。視察を通じて、健康に影響を与える恐れがあるとGM食品を敬遠し、NON-GM食品を求める風潮を感じました。

トウモロコシや大豆の栽培面積の9割以上が遺伝子組み換えのアメリカで、GM食品への懸念が広がっているのは、遺伝子組み換え食品に反対する私たちにとって歓迎すべきことです。食品安全センターのようにアメリカで遺伝子組み換え作物に反対する人たちと、連携した運動をつくれる可能性を感じました。


<遺伝子組み換え食品に生活クラブが反対する理由>
遺伝子組み換えは、生物の「種」の壁を越えて遺伝子を組み込みます。遺伝子組み換え作物を何十年と栽培し、食べ続けた場合の健康への影響、環境への影響はわかっていません。また遺伝子組み換え作物を開発しているのは一部の企業で、食の源である種子を企業に独占される恐れがあります。以上のことから生活クラブは1997年に「遺伝子組み換え作物・食品は取り扱わないことを基本とする」「やむを得ず使用する場合は、情報公開して取り組む」と決めました。

<対象の食品が少ない日本の遺伝子組み換え表示制度>
日本で認可されている遺伝子組み換え作物はトウモロコシ、大豆、ナタネ、じゃがいも、綿実、テンサイ、パパイヤ、アルファルファの8つです。しかし表示義務は納豆、豆腐、味噌などの原料に使用された場合など33種類に限られています。しかも全体の重量の5%以下であれば対象外となり、表示はされません。また家畜の飼料に遺伝子組み換え作物が使われても、食肉などへの表示義務はありません。


NON-GMトウモロコシの生産を要請

アメリカのトウモロコシ生産は世界1位ですが、遺伝子組み換えでなく分別管理されたトウモロコシは生産量のわずか1.5%しかありません。
遺伝子組み換えでないトウモロコシを今後も確保するため、種子会社などに「日本には需要が確実にある」とアピールをしました。

生活クラブ大阪・理事 小松原千恵さん

不透明な世界市場に対し提携の強化を

トウモロコシと同様に輸入の占める割合が多い大豆は、中国が遺伝子組み換え大豆の輸入を解禁したことにより、国際的に価格が高騰しました。そして、遺伝子組み換えでない大豆の栽培が減少する事態が起こりました。トウモロコシでも中国が輸入を解禁した場合は、遺伝子組み換えでないトウモロコシの栽培の減少やアメリカ国内の需要との奪い合いが起こる可能性があります。

したがってこれからも遺伝子組み換えでないトウモロコシを手にするためには、種子を開発するパイオニア社や集荷を担うCGB社などとの提携をさらに強めていくことが重要です。

そのパイオニア社とは遺伝子組み換えでない種子の開発で、生活クラブと提携する全農、CGB社が「長期種子供給協定」を結んでいます。この協定により遺伝子組み換えでないトウモロコシが、2022年まで日本に供給されることになっています。

種子会社からは心強い返答が

パイオニア社との懇談では、遺伝子組み換えでない種子の需要が徐々に増えていることがわかりました。栽培コスト削減のために農家が安い種子を選んでいること、オーガニック食品には確かな需要があることなどが理由です。

私は組合員を代表して「生活クラブには38万人の確実な需要があるので、これからも遺伝子組み換えでない種子をつくり続けてほしい」と要請しました。それに対しパイオニア社のブライアンさんは「生活クラブは中長期的な需要を示してくれるので、これからも種子をつくり続けていきます」と応え、心強く思いました。

パイオニア社の開発視点は病気に強い、おいしい、加工しやすいなどユーザーが望む種子をつくることで、最優先は生産性のよい種子の開発と聞きました。また新しい技術であるゲノム編集※による種子づくりを始めたことを知りました。

※「ゲノム編集」とは、遺伝子を狙ったとおりに操作できるとする技術です。従来の遺伝子組み換え技術と比べると、狙った遺伝子をかなり正確に操作(遺伝子配列を壊したり挿入したりする)できるため、時間とコストがかかりません。

消費材の利用を高めて需要を示そう

CGB社との話し合いでは「遺伝子組み換えでない種子の販売が伸びていることは知っているが、農家から入荷する量にあまり変化はない」と聞きました。アメリカの多くの農家は遺伝子組み換えでないトウモロコシを栽培しても、分別せずに出荷しているのが実態です。CGB社は契約農家以外にも遺伝子組み換えでないトウモロコシに需要があることを伝え、管理能力などを見極めながら、分別して出荷する農家が増えるよう活動していることがわかりました。

今回の視察で、アメリカでも遺伝子組み換えでない食品や種子の需要が伸びていることがわかりました。しかし、きちんと分別管理されているトウモロコシはわずかしかありません。畜産品などの消費材の利用を高め、「遺伝子組み換えでないトウモロコシの需要は確実にあり、増えている」というメッセージを種子会社などに発信していく必要があると思いました。

*写真:パイオニア社の種子開発をする畑。中央が開発担当者のブライアンさん

*遺伝子組み換えでないトウモロコシを栽培するジェフ・バシェットさんと交流しました(左上写真)
今年のトウモロコシの作柄について説明を聞きました(右上写真)
親子孫と3代で農業を営むベッカーさん家族。畑を広げていく意欲にあふれていました(左下写真)
ベッカーさんにも「遺伝子組み換えでないトウモロコシを作り続けてください」と要請しました(右下写真)


トウモロコシの分別管理を確認

集荷施設と輸出施設を訪れて、遺伝子組み換えでないトウモロコシの分別管理を点検し、適正に行なわれていることを確認しました。

厳しい基準でトウモロコシを受け入れ

農家が収穫した遺伝子組み換えでないトウモロコシは、集荷を担うCGB社へ入荷の際に、遺伝子を組み換えたものが混入していないかの検査を行ないます。日本の法律では「意図せざる遺伝子組み換えの混入は5%以下」が基準ですが、CGB社では3%を基準にしています。「2016年度までは3.5%だったのを引き下げました。遺伝子組み換えでないトウモロコシの純度を高めるように、厳しい管理をしています」と、CGB社は説明していました。

検査で遺伝子組み換えでないことが確認されれば、専用の入庫口からサイロに移されます。そしてサイロからはしけに積む時は、さらに第三者機関による遺伝子組み換え検査が実施されます。検査結果は、はしけが輸出施設に着くまでに判明するようになっています。

今回の視察で代表団はイリノイ州にある2つの集荷施設を点検しましたが、農家からの入荷時、サイロでの保管、はしけへの積み込みと、いずれの行程でも分別管理する仕組みが確立されていました。

*写真:農家からの入荷の際に遺伝子組み換えを判別する検査紙

輸出までに3回の遺伝子組み換え検査を実施

輸出施設のある全農グレイン社にはしけが到着すると、サンプルが採取されて3回目の遺伝子組み換え検査が実施されます。各行程で検査を行なうことで、万が一混入事故が起こった場合でもどこに問題があったのか追跡が可能になり、原因究明ができる仕組みです。

到着した遺伝子組み換えでないトウモロコシを保管するサイロは、事前に掃き掃除とエアーで清掃され、汚れや不純物が残っている場合は水を使って洗浄されます。そしてアメリカ農務省の検査員がサイロの状態を確認します。検査員は輸出するトウモロコシの品質をチェックするために、全農グレイン社に常駐しています。

「生活クラブは作る側と食べる側との信頼関係を重視しています。CGB社、全農グレインとも徹底した分別管理をしており、遺伝子組み換えでないトウモロコシが信頼できる関係のもとで日本に運ばれていることが確認できました」と、代表団の木村庸子さんは述べています。

写真上:トウモロコシの輸送に使われるはしけ。
写真下:全農グレインの輸出施設と代表団メンバー


■遺伝子組み換えでないトウモロコシが届くまで


遺伝子組み換えでない飼料で、丹精國鶏を生産する決意を新たに

群馬農協チキンフーズ㈱ 阿佐美 菊男さん

丹精國鶏を生産する立場で参加させていただきましたが、食品安全センターとの意見交換では遺伝子組み換え表示法をめぐるアメリカ国内の動きや市場への影響を知ることができました。

また丹精國鶏の飼料に欠かせないトウモロコシが、厳格な手順で分別管理されている現場を見ることができて安心しました。農家との交流では、種代など生産コストと相場価格などから遺伝子組み換えでないトウモロコシを栽培するか否かを判断していると聞きました。場合によっては遺伝子組み換えトウモロコシに変わりかねない危険を感じ、中長期的に確保するために、日本の消費者や生産者がアメリカの生産関係者に向けて強いメッセージを発信していく必要性をあらためて感じました。

今回の視察を通じて、遺伝子組み換えでないトウモロコシを飼料に使った「丹精國鶏」の生産を継続していくことが、私たち生産者の使命だと決意を新たにしました。

【2017年12月25日掲載】

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